児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ行為の盗撮には、盗撮製造罪(7条5項)ではなく姿態をとらせて製造罪(4項)が適用される(大阪高裁h28.10.26)

 ハメ撮りを盗撮製造にした略式命令があるので、そう主張してみたら、盗撮製造罪ではないという判例ができました。奥村がそういうてるじゃなくて大分簡裁がいうてるんですが、「弁護人独自の見解であって,採用できない。」ということで奥村が怒られました。

大分簡裁h26.4.8
男性医師に罰金100万円の略式命令=大分
2016.04.16 
 女子高生2人に現金を渡してわいせつな行為をし、うち1人を盗撮したとして、大分簡裁は、大分大医学部付属病院の男性医師(28)に対し、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(買春、児童ポルノ製造)で、罰金100万円の略式命令を出した。処分は8日付。男性医師は自宅待機しており、同大は懲戒委員会を設置して処分を検討する。
読売新聞社

公訴事実
前記A が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,被告人が同児童の性器等を露出させた上,それを触る行為をビデオカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵のハードディスクに記録して保存し,もってひそかに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し

原判決
Aが18歳に満たない児童であることを知りながら, Aに,その性器等を露出させる姿態及び被告人が同性器等を触る行為に係る姿態をとらせ, これらをビデオカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵のハードディスクに記録して保存した。

阪高裁h28.10.26
法令適用の誤りの主張について。
論旨は,第10,第12及び第13の各2の製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。
所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。
しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。
いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。