児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

法務省大臣官房司法法制部付兼大臣官房付松本朗「児童福祉法34条1項6号にいう「淫行をさせる行為」における「淫行」及び「させる行為」の各意義並びに「させる行為」に当たるか否かの判断方法について判示した事例(児童福祉法違反平成28年6月21日最高裁第一小法廷決定)研修820号

 よくわかんないけど、学校や塾の先生と淫行すると、児童淫行罪になりうるということだね。

5児童福祉法34条1項6号にいう淫行を「させる行為」に当たるか否かの判断方法について
児童福祉法34条1項6号にいう淫行を「させる行為」の意義については,前記4で述べたとおり,最高裁判所は「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をも包含する」としているが,そのような行為に当たるか否かを判断する方法について, これまでに最高裁判所が具体的にこれを示した判例は見当たらない。
この判断方法について,本決定は, 「そのような行為に当たるか否かは,?行為者と児童の関係,?助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,?淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,?児童の年齢,?その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である。」と具体的に述べるに至った。
このように,本決定は,今後の児童福祉法34条1項6号違反事案を判断する上で重要な要素を具体的に提示したものとして評価することができるように思われる。

8おわりに
実務上は,青少年保護育成条例違反の事案を取り扱う場面が多く,児童福祉法34条1項6号の適用事案を取り扱う機会は必ずしも多くないのではないかと思料されるところ,本決定は, これまで積み重ねられてきた裁判例の立場を踏襲するものではあるが, 同号にいう淫行を「させる行為」の該当性を判断するに当たり, どのような要素に着目すべきかを考える上で示唆に富むものであり,実務上参考になるものと思われる。