児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

共犯者(内縁の妻で被害児童Aの実母)と共謀のうえ,養子であるAに自己及び男性客らを相手に性交等をさせ,うちAに売春をさせた事案ではAから対償全額を受領し,Aに自己の陰茎を手淫等させて携帯電話機で児童ポルノを製造したとする児童福祉法違反・売春防止法違反等被告事件。懲役6年・罰金10万円(和歌山地裁H27.4.9)

 
 自己淫行の起訴は2件ですが「被害児童が14歳になった頃から自己を相手に性交させてきたものであるが,」と評価され、売春の児童淫行罪も起訴は1件ですが「被害児童は,相当期間にわたり被告人らから性的虐待を受け,しかも売春まで繰り返しさせられていた」と評価されています。

児童福祉法違反,売春防止法違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
       主   文
 被告人を懲役6年及び罰金10万円に処する。
 未決勾留日数中50日をその懲役刑に算入する。
 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
       理   由
(犯罪事実)
 被告人は,□□□□□□□□□□□□□□□□の養父であるとともに同児童の実母である□□□□の内縁の夫であり,前記□□□□と共に同児童を同居して養育しているものであるが,
第1 平成25年8月22日午後9時45分頃及び同月28日午後6時43分頃,2回にわたり,
   □□□□□の当時の被告人ら方において,前記□□□□(当時15歳)が満18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に,自己の陰茎を手淫及び口淫させる姿態をとらせ,これらを撮影機能付き携帯電話機で撮影し,その画像データ各1点を同携帯電話機本体の内蔵記憶装置に記録・保存し,もって児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し,
第2 前記□□□□と共謀の上,前記□□□□(当時16歳)が満18歳に満たない児童であることを知りながら,
 1 養父ないし実母の立場を利用して,平成26年7月21日頃,前記当時の被告人ら方において,同児童をして被告人を相手に性交させ,もって,児童に淫行をさせる行為をし,
 2 同年8月22日午後4時頃,和歌山市(以下略)所在の○◇に駐車中の□□□□使用の自動車内において,同人を相手に現金1万円の対償を受けて性交類似行為をさせ,もって,児童に淫行をさせる行為をし,
 3 同年8月初旬頃から継続して,同児童に対して,「車のローンとか,携帯電話代とか払わなあかんから,あんたも協力して。」「バイトの代わりになるやろ。2,3回するだけや。」などと申し向けて売春をするように要求し,よって,同児童をして,同月29日午前1時7分頃から同日午前2時50分頃までの間,和歌山市(以下略)所在のホテル△△△406号室において,□□□□を相手に現金1万3000円の対償を受けて性交させた上,その頃,同所において,前記□□□□が,同児童からその全額を受領し,もって,児童に淫行をさせ,かつ,同児童をして親族関係による影響力を利用して売春させた上,その売春の対償の全部を収受し
たものである。
(法令の適用)
罰条        判示第1の所為について,包括して平成26年法律第79号附則2条,同法による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,2条3項2号
          判示第2の所為のうち,児童に淫行をさせる行為をした点は,包括して刑法60条,児童福祉法60条1項,34条1項6号,親族関係による影響力を利用して児童に売春させその対償を収受した点は,刑法60条,売春防止法8条1項(7条1項)
科刑上一罪の処理  判示第2について,刑法54条1項前段,10条(重い児童福祉法違反の罪の刑で処断)
刑種の選択     判示第1の罪について,懲役刑を選択
          判示第2の罪について,懲役刑及び罰金刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(懲役刑について,重い判示第2の罪の刑に刑法47条ただし書の制限内で法定の加重)
未決勾留日数の算入 懲役刑について,刑法21条
労役場留置     刑法18条
訴訟費用      刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,被害児童の実母で内縁の妻でもある共犯者と共謀の上,養子である被害児童をして自己及び男性客2名を相手に性交ないし性交類似行為をさせ,このうち被害児童に売春させた事案では同児童から対償全額を受領したほか(判示第2),被害児童に自己の陰茎を手淫・口淫させる姿態をとらせ,これらを撮影機能付き携帯電話機で撮影し,児童ポルノを製造した(判示第1)という事案である。
 被告人は,被害児童が14歳になった頃から自己を相手に性交させてきたものであるが,自己の性的欲望を満足させるため,被告人に付き従う共犯者を加えた3人による性交を繰り返し行う中で判示第1及び第2の1の各犯行に及び,さらに,無計画な浪費等で生活が困窮するや,被害児童に売春等をさせて生活費を稼ぐことを企て,被告人に依存する共犯者と共謀し,判示第2の2及び3の犯行をも敢行したものである。被害児童は,相当期間にわたり被告人らから性的虐待を受け,しかも売春まで繰り返しさせられていたのであって,本件の悪質性は明白である。被害児童は,抵抗すれば被告人が怒って弟に暴力を振るうなど家族に迷惑がかかることを心配し,被告人らの要求を受け容れ堪え忍んできたというのであり,本件が被害児童の成長に与えた悪影響は計り知れない。共犯事件である判示第2の犯行の主導者が被告人であることに疑いを入れる余地はなく,被告人の刑事責任は重い。
 そうすると,被告人が,事実関係を認め,反省の態度を示していること,既に被害児童と離縁し,二度と被害児童の前に姿を現さないとの意思を表明していること,被告人にはさしたる前科がないことなど,被告人に有利な事情を十分考慮しても,主文の刑は免れないと判断した。
 よって,主文のとおり判決する。
(検察官松原彩,国選弁護人安田克己各出席)
(求刑 懲役8年及び罰金10万円)
  平成27年4月9日
    和歌山地方裁判所刑事部
           裁判官  河畑 勇