児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「強姦致傷被疑者釈放、示談成立でも「起訴される可能性はある」と弁護士が解説」という記事

 一旦不起訴になったのを再度捜査再開するのを「再起」というのですが 現実的には起訴されることはありません。
 示談成立の場合「刑事処分を求めない」という趣旨を示談書に入れますので、再起はありません。

検察講義案h24
p33
(7) 再起
不起訴処分又は中止処分に付した事件について,再び捜査に着手する場合をいう(89頁第2(注)①
p89
第2 不起訴処分
検察官の行う終局処分のうち,公訴を提起しない処分を「不起訴処分」という。事件を不起訴処分に付するときは,不起訴裁定書により不起訴の裁定をする。
(注) ① 不起訴処分は,判決のように既判力を生ぜず,これによって,公訴権を消滅させるものではない。したがって,不起訴処分後,新たな証拠を発見し,又は訴訟条件を具備するに至り,あるいは起訴猶予を相当としない事情が生じた場合などは,時効が完成しない限り,いつでも再起して公訴を提起することができる。

検察統計年報 7 罪名別被疑事件の受理の人員 −自動車による過失致死傷及び道路交通法等違反被疑事件を除く−
強姦致死傷罪 総受 再起
2006 420 0
2007 471 3
2008 384 3
2009 358 2
2010 336 0
2011 363 0
2012 345 0
2013 349 0
2014 321 0
2015 245 0

しかも起訴率低迷してますからね。

強姦致死傷罪 総数 起訴件数 不起訴件数 起訴率
h18 390 253 110 69.7%
h19 436 239 156 60.5%
h20 367 198 137 59.1%
h21 308 139 137 50.4%
h22 295 110 148 42.6%
h23 317 128 162 44.1%
h24 286 129 135 48.9%
h25 323 123 173 41.6%
h26 281 85 165 34.0%
h27 217 104 87 54.5%

弁護士ドットコム 9月9日(金)15時13分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160909-00005098-bengocom-soci
釈放、示談成立でも「起訴される可能性はある」と弁護士が解説
弁護士ドットコム 9月9日(金)15時13分配信
9月9日午後、強姦致傷容疑で逮捕された俳優が勾留中の群馬県警前橋署から釈放された。14時20分すぎ、前橋署から出たさんは、叫ぶように「この度は皆さまに多大なるご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございませんでした」と声をあげ、深々と頭を下げた。
さんは先月23日、宿泊先の前橋市内のホテルで女性従業員に乱暴したとして前橋署に強姦致傷容疑で逮捕されていた。スポーツニッポンなどは示談成立で不起訴処分になったと報じている。
前橋警察署は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し「本日14時に釈放しました。不起訴かどうかはコメントできない」と話した。
●「不起訴処分」「処分保留」で釈放
釈放されたことによって、さんが起訴される可能性はなくなったのか。冨本和男弁護士は、「起訴される可能性はあります」と指摘する。
「釈放の理由が明らかではないということですが、理由は大きく2つ考えられます。ひとつは、検察が不起訴処分を決めたこと、もうひとつは、起訴か不起訴か処分を決めずに釈放した(処分保留)ということです。
たしかに、不起訴処分の場合、検察官が『起訴しない』という判断をいったんはしています。そうすると、今後、起訴されることはないと考える人もいるでしょう。
しかし、不起訴処分には、将来起訴することを禁止するような効力はありません。最高裁でも、検察官が一旦不起訴にした罪を後日になって起訴しても、憲法39条の二重処罰禁止に違反しないとした判決があります。
仮に示談が成立していたとしても、強姦致傷は非親告罪なので、被害者が告訴を取り下げたとしても、起訴される可能性はあります。
したがって、さんの釈放の理由がなんであれ、今後起訴される可能性がなくなったというわけではありません」
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp
弁護士ドットコムニュース編集部