児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

撮影機器を密かに置いて録音録画する行為が,軽犯罪法1条23号の「ひそかにのぞき見」る行為に該当するとした事例(福岡高裁h27.4.15)

 夏井判事の気仙沼簡裁判決のアップデート。

事案
被告人は3回にわたり,デイサービス浴室脱衣所において,窓の額縁に置いた箱に,動画撮影機能を起動させた携帯電話機を仕込み,密かに,同所職員が着替え中の同脱衣所内を撮影録画した。弁護人は,軽犯罪法l条23号の「のぞき見た」に当たるためには,人が直接的に視認することが必要であり,本件のような撮影行為は同号の「のぞき見た」に該当しないと主張した。原判決は,軽犯罪法l条23号は人の肉体等のプライバシーを視覚的に保護することを目的とするものであり,機械を使って撮影録画される場合であっても直接見られる場合と同じく,プライバシーの侵害が生じるなどとして,同号の該当性を認めた。

判旨
そこで「のぞき見た」という用語の意味について見ると,ひそかに設置したカメラ等で撮影録画しながら同時進行的にその画像を見ることや,そのようなカメラ等で撮影録画したものを後日再生して見ることが「のぞき見た」に含まれることに疑問の余地はなく,これらの行為を「のぞき見た」と称しても格別の違和感はないものと思われる。ところで,後者の場合,プライバシー侵害の本質は,そのような方法で獲得された画像が,当人の知らない間に,他人の支配内に取り込まれることにあり,その後,当該画像を実際に見たがどうかは,行為の当罰性を分かつほどの大きな意味を持つものではないと考えられる。そうすると,本条号所定の場所を視認し得る場所に撮影機能のある機器をひそかに置いて当該場所を撮影録画する行為は,そのような態様の「のぞき見行為」の中核的部分を既に実現しているものということが出来る。そのような行為を行ったこと自体が「のぞき見た」に当たると解しても,成文の言葉の可能な意味の範囲内にあるということが出来るし,一般人の客観的な予測可能性を奪うものではないということが出来る。