児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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更新日:2016年7月7日長野県子どもを性被害から守るための条例を公布・施行しました 罰則は11/1から

 子ども=18歳未満の者
という定義なので、婚姻した児童も夜間外出制限を受けます

http://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/happyou/160707press.html
平成28年7月1日に長野県議会6月定例会で長野県子どもを性被害から守るための条例案が可決され、本日(7月7日)、同条例を公布し、規制項目に係る規定(第17条から第20条)を除き施行しました。

 なお、規制項目に係る規定については、平成28年11月1日から施行します。

「長野県子どもを性被害から守るための条例」(平成28年7月7日長野県条例第31号)

公布日 平成28年7月7日
施行日 平成28年7月7日

ただし、第17条から第20条の規定(規制項目)は、平成28年11月1日

第17条(威迫等による性行為等の禁止)
第18条(深夜外出の制限)
第19条(罰則)
第20条(適用除外)

http://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/happyou/documents/20160707shi1jorei.pdf
長野県子どもを性被害から守るための条例
(目的)
第1条 この条例は、子どもの性被害が、その心身に重大な影響を及ぼすものであり、かつ、その被害を生じさせる行為が、子どもの尊厳を害するものであることに鑑み、子どもを性被害から守るための取組に関し、基本理念を定め、及び県等の責務を明らかにするとともに、性被害の予防、性被害を受けた子どもの支援等に関する基本的施策及び必要な規制を定めることにより、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例(平成26年長野県条例第32号)と相まって、子どもを性被害から守るための取組を総合的に推進し、もって子どもの尊厳を保持し、及び健やかな成長を支援することを目的とする。
(適用上の注意)
第2条 この条例の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意するとともに、子どもの最善の利益を尊重しなければならない。
(定義)
第3条 この条例において「子ども」とは、18歳未満の者をいう。
2 この条例において「性被害」とは、次に掲げる行為による身体的又は精神的な被害をいう。
(1) 刑法(明治40年法律第45号)第176条から第178条まで、第181条、第225条(わいせつの目的に係る部分に限る。)及び第241条の罪に当たる行為
(2) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第60条第1項の罪に当たる行為
(3) 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条、第7条並びに第8条第1項及び第2項の罪に当たる行為
(4) 第19条第1項の罪に当たる行為
(5) 前各号に掲げる行為のほか、自己の性的好奇心を満たす目的で犯した罪に当たる行為
(6) 性的搾取、性的虐待その他の性の乱用に係る行為で前各号に掲げる行為に該当しないもの
3 この条例において「保護者」とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者をいう。
4 この条例において「学校等」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。)その他これらに類する施設をいう。
5 この条例において「県民運動」とは、全ての子どもが、自尊感情及び自己肯定感を育み、社会とのかかわりを自覚することができるように支援するとともに、子どもの健やかな成長を阻害する要因を除去し、安全で安心して暮らすことができる社会環境を整備すること等により、子どもを性被害から守るため、県、市町村、保護者、学校等、事業者、県民その他の関係者が相互に連携協力し、又は一体的に実施する取組をいう。
(基本理念)
第4条 子どもを性被害から守るための取組は、次に掲げる事項を基本として行うものとする。
(1) 子どもは、自己及び他者を大切に思う心を育み、性被害から自己を守るための正しい知識に基づいて自立的に行動し、健やかに成長していくべき存在であること。
(2) 県、市町村、保護者、学校等、事業者、県民その他の関係者が主体的かつ自主的に取り組むとともに、県民運動として推進されるべきものであること。
(県の責務)
第5条 県は、前条に定める基本理念(第15条において「基本理念」という。)にのっとり、子どもを性被害から守るための取組について総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 県は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、市町村、保護者、学校等、事業者、県民その他の関係者と連携協力するよう努めるものとする。
3 県は、県民運動を尊重し、それを積極的に推進するものとする。
(保護者の責務)
第6条 保護者は、その監護する子どもを守る第一義的責任を有することを認識し、子どもを性被害から守るために必要な教育並びに子どもが性被害を受けたときの保護及び支援を行うよう努めるものとする。
(学校等の責務)
第7条 学校等は、子どもが性被害の被害者及び加害者にならないようにするため、子どもを性被害から守るための人権教育、性教育及び情報モラル(情報化社会で適正な活動を行うための基となる考え方及び態度をいう。第11条第1項及び第2項において同じ。)
に関する教育を行うよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、子どもの性被害の防止に配慮するとともに、県が実施する施策並びに学校等及び地域の取組に協力するよう努めるものとする。
(県民の責務)
第9条 県民は、地域社会で子どもを育むことの重要性を認識し、子どもを性被害から守るため、主体的かつ自主的な取組を行うよう努めるとともに、県が実施する施策並びに学校等及び地域の取組に協力するよう努めるものとする。
(性被害の予防のための教育の充実)
第10条 県は、学校等における子どもに対する人権教育及び性教育の充実を図るため、教員等に対する研修、教材又は参考となる資料の提供その他の必要な支援を行うものとする。
2 県は、地域における子ども、保護者及び県民に対する人権教育及び性教育の充実を図るため、県民運動を推進する団体等への研修、教材又は参考となる資料の提供、専門的知識を有する者の派遣その他の必要な支援を行うものとする。
(インターネットの適正な利用の推進)
第11条 県は、学校等における子どもに対する情報モラルに関する教育の充実を図るため、教員等に対する研修、教材又は参考となる資料の提供その他の必要な支援を行うものとする。
2 県は、地域における子ども、保護者及び県民に対する情報モラルに関する啓発活動の充実を図るため、県民運動を推進する団体等への研修、教材又は参考となる資料の提供、専門的知識を有する者の派遣その他の必要な支援を行うものとする。
3 県は、情報通信事業者等との連携協力により、子どものインターネットの適正な利用を推進する取組を行うものとする。
(相談体制の充実等)
第12条 県は、子ども、保護者等が性に関する相談をすることができる体制を充実するとともに、子どもが悩み等を抱え孤立することのないよう、大人の見守り及び支援の下で、安心して過ごすことができる場の整備を促進するものとする。
(県民運動の推進)
第13条 県は、時代の変化に対応した県民運動の推進を図るため、県民運動を担う人材の育成、県民運動への県民、事業者等の参加を促進するための情報の提供、県民運動を推進する市町村及び団体等に対する研修その他の必要な支援を行うものとする。
(性被害を受けた子どもへの支援)
第14条 県は、性被害を受けた子どもが心身に受けた影響から早期に回復し、当該子どもが健やかに成長するため、関係行政機関、医療機関等と連携協力し、当該子どもの身体的、精神的な負担等の解消又は軽減に資する医療の提供、福祉に関する相談等の支援体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、性被害を受けた子どもが安心して適切な支援を受けられるよう、支援を行う者に対する研修の実施その他の必要な支援を行うものとする。
(啓発活動)
第15条 県は、市町村と連携協力し、基本理念に関する県民の理解の促進、子どもの性被害の予防等に関する施策等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。
(大人の責任)
第16条 大人は、真摯な恋愛を除き、判断能力が未熟な子どもに対し、性行為又はわいせつな行為を行うことは、子どもの成長発達を見守り、支える大人の責任として許されないものであることを自覚しなければならない。
(威迫等による性行為等の禁止)
第17条 何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならない。
2 何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じてわいせつな行為を行わせてはならない。
3 何人も、子どもに対し、自己の性的好奇心を満たす目的で、性行為又はわいせつな行為を見せ、又は教えてはならない。
(深夜外出の制限)
第18条 保護者は、通勤、通学その他の正当な理由のある場合を除き、深夜(午後11時から翌日の午前4時までの時間をいう。以下この条において同じ。)に子どもを外出させないように努めなければならない。
2 何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他の正当な理由がある場合を除き、深夜に子どもを連れ出し、同伴し、又は子どもの意に反しとどめてはならない。
3 深夜に営業を行う者は、深夜に当該営業に係る施設内又は敷地内にいる子どもに対し、帰宅を促すよう努めなければならない。
4 何人も、深夜に外出している子どもに対し、帰宅を促すよう努めなければならない。
(罰則)
第19条 第17条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2 前条第2項の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。
3 第17条第1項又は前条第2項に規定する行為をした者は、当該子どもの年齢を知らないことを理由として、前2項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該子どもの年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
(適用除外)
第20条 この条例に違反した者が子どもであるときは、当該子どもに対しては、この条例の罰則は適用しない。違反する行為をしたとき子どもであった者についても、また同様とする。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第17条から第20条までの規定は、平成28年11月1日から施行する。
(検討)
2 この条例の規定については、子どもを取り巻く社会環境の変化、この条例の施行の状況等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認められるときは、所要の措置を講ずるものとする。