児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

リベンジ・ポルノ防止法は憲法に適合しているか

 児童ポルノ法も同じ定義なので、参考になります。
 乳首で児童ポルノ・リベンジポルノというのはおかしいなあ。

松井茂記 リベンジポルノと表現の自由(2)自治研究91巻4号
二 リベンジ・ポルノ防止法は憲法に適合しているか
アメリカの状況に比べると、日本では、リベンジ・ポルノ防止法制定以前でも適用可能な刑罰の範囲が広いことと(わいせつの範囲が広くヌード写真はわいせつとされる可能性が高いこと及び名誉段損罪の成立の余地もあること)、民事的救済の余地が広いことに照らし(アメリカと異なり差止めも可能であり、さらにリベンジ・ポルノを募るウェブサイトの管理人にも責任を問いうること)、果たして日本で新たな刑罰規定を導入する必要があるのか疑問が提起されうるかもしれない
さらに、アメリカの州法と比較すると、提供等の禁止の対象とされる「私事性的画像記録」の定義が、親密な部分の画像ないしイメージについては、「衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」とされていて、「性的な部位」は「性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう」と定義されている。「周辺部」がどこまでをさすのか定かでなく、臀部や胸部が一部でも衣服をつけていない場合には、禁止されている私事性的画像記録に当たる可能性がある点、及び殊更に人の性的な部位が「露出され又は強調されている」という要件が暖昧である点には問題が残されているかもしれない。また、後述するように「性器等」は「性器、肛門又は乳首」をいうとされていて、男性の乳首まで含んでいる点で過度に広汎なのではないかとの疑問がある。アメリカの州法でも、女性の胸の乳輪の先より下の部分は一般にカバーされているが、男性の胸や乳首がカバーされているところはほとんどない。
次に性的行為に関する画像ないしイメージとしては、「性交又は性交類似行為に係る人の姿態」と「他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」とされており、性交類似行為の定義はないが、「性器等」の方は「性器、肛門又は乳首をいう」と定義されている。アメリカの州法に比較して、「性交類似行為」が厳密に定義されていない点は重大な問題であり(児童買春等禁止法でも同じ性交類似行為」という概念が使用されているが、定義はおかれていない)、また同様に、男性の乳首もカバーされている点でも問題が残されている。
他方禁止の対象となる行為については、一部の州法と異なり、第三者が撮影対象者を特定することができる方法で提供された場合にのみ処罰を加えている点及び処罰の対象が不特定又は多数への提供又はそのようないわば公表のための提供に限定されている点は評価できる。しかし他方で、処罰の対象がインターネット上のポスティングに限定されていないこと、腹いせや嫌がらせを目的としていることが要件とされていないことには疑問の余地がありえよう。
しかも、多くの州法と異なり、承諾のない頒布のみを禁止し、検察官に承諾の欠如の証明を求めるのではなく、被写体が第三者による閲覧を認識して撮影に同意した場合や提供した場合を例外とすることによって、おそらくは被告人にこのような認識の証明を迫ることになるであろう点にも疑問がありえよう。しかも、撮影ないし提供の際に第三者による閲覧を承諾していなくても、後に公表を承諾する可能性もある。だが、規定の上では、それでも公表は違法である。さらに、アメリカの州法と比較して、例外ないし抗弁が明記されていない点、とりわけ公共の利益が上回る場合の違法性阻却が明記されていない点には重大な疑問がありえよう。