判決書を閲覧して確認しました。
東京高裁H28.2.19が「撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為」というので、報道の事案は強制わいせつ罪にはなりません。
広島高裁H28.3.10はメールでの脅迫は、強制わいせつ罪の実行行為に該当しないとしていますので、それによると、報道の事案のメールでの害悪告知も強制わいせつ罪になりません。
脅迫して撮影送信させる行為を無理矢理新法に飛びついて強要+児童ポルノ製造罪にしようとするので、強制わいせつ罪の成立範囲が狭くなっているようです。
東京高裁H28.2.19
(1)強要罪が成立しないとの主張について
記録によれば,原判決は,公訴事実と同旨の事実を認定したが,その要旨は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,同女に対し,要求に応じなければその名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して,乳房,性器等を撮影してその画像データをインターネットアプリケーション「LINE」を使用して送信するよう要求し,畏怖した被害者にその撮影をさせた上,「LINE」を使用して画像データの送信をさせ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録し,もって被害者に義務のないことを行わせるとともに,児童ポルノを製造した,というものである。
すなわち,原判決が認定した事実には,被害者に対し,その名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず,さらに,撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為までを含んだものとして構成されており,強要罪に該当する事実とみるほかないものである。
広島高裁H28.3.10
(「前記犯行で製造した児童ポルノである静止画データを所持していたことを利用してBを脅迫し,Bに自慰行為をさせた上,その状況を録画で撮影させて,その動画データを自己のパーソナルコンピュータに送信させようと考え,平成28年3月17日午後11時03分頃から同月18日午前1時28分頃までの間,大阪府大阪市の被告人方において,インターネット通信ソフト「L」を使い,Bに対し,自慰行為をして,その状況を撮影機能付き携帯電話機で撮影し,その動画データを自己のパーソナルコンピュータに送信するよう要求するとともに,これに応じなければ,同静止画データをインターネット上に公開する旨告げ,その要求に応じなければ,同人の名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨告知して脅迫し,Bをその旨怖がらせ,よって,同日午前11時5分頃から同日午前11時53分頃までの間,京都府京都市内においてBに自慰行為をさせた上,これを撮影機能付き携帯電話機で撮影させ,その動画データをインターネットを介して自己のパーソナルコンピュータに送信させた」という行為につき)「強要のための脅迫行為が始まったときには,わいせつ行為の客観的危険性がまだ生じていないと認められるから,強制わいせつの実行の着手がない。
2015.08.31 NHKニュース (全449字)
交際していた女性の裸の写真を女性の知り合いの男性に送ったなどとして、21歳の会社員が、警視庁に逮捕されました。
逮捕されたのは、容疑者(21)です。
警視庁の調べによりますと、容疑者はおととし、以前、交際していた20代の女性に対して、「言うことを聞かないと困るのはあなたですよ」などと脅して裸の写真を送らせたほか、ことし6月、女性が10代のときの裸の写真5枚を知り合いの男性に送ったとして、強制わいせつや児童ポルノ法違反などの疑いが持たれています。
これまでの調べで、容疑者は、女性と別れたあと、3年前から「画像をばらまく」などとメールを送り、女性が連絡先を変えたため、ツイッターで知り合いの男性に写真を送って連絡先を聞き出そうとしたとみられています。
警視庁によりますと、容疑者は調べに対して容疑を認め、「女性のことが忘れられなかった」などと供述しているということで、警視庁は女性に再び交際を迫ろうとしたとみて調べています。