児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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3項製造罪国外犯(横浜地裁H27.12.25)

 国外犯規定が適用されています。
 第一法規さん、公訴事実がわかりません。

横浜地方裁判所
平成27年12月25日
罪となるべき事実の要旨
  起訴状に記載された公訴事実(ただし、第2に「(住所略)」とあるのを「(住所略)」と訂正する。)と同一であるから、これを引用する。
適用した罰条
  平成26年法律第79号附則2条により同法により改正前の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項、1項、2条3項1号、2号及び3号、火薬取締法59条2号、21条、刑法45条前段、47条本文、10条、25条1項
量刑の理由の要旨
 まず、量刑の中心となる児童ポルノ製造の事案についてみると、被告人は、フィリピンの児童らの経済的苦境に乗じて、まだ10代前半の被害児童に対価を払って、被告人と性交する状況等をデジタルカメラで撮影するなどして児童ポルノを製造しており、その犯行態様は卑劣であって、被害児童らの心身に有害な影響を及ぼす悪質なものである。これによりまだ幼い被害児童3名が受けた影響は計り知れず、今後の健全な成長への悪影響も懸念される。また、被告人は、自らの性的欲求を満たすために常習的に犯行を繰り返す中で本件犯行に及んでおり、児童への悪影響を一切顧みない身勝手な態度は、強い非難を免れない。児童の権利擁護のため児童ポルノに係る行為等の処罰が国際的に強く要請される中で制定された法の趣旨を無視して、フィリピンまで渡航の上で犯行に及んでいた点も見過ごすことはできない。加えて、実包所持の事案は、その殺傷能力や所持量等に照らせば、実際に使用する意図がなかったことを差し引いて考慮しても、危険な犯行といわざるを得ない。
 以上によれば、本件犯情は、決して軽くみることはできないものではあるが、起訴されたのは児童ポルノ製造3件と火薬取締法違反1件であって、同種事案の量刑傾向も踏まえれば、前科前歴がない被告人については、刑の執行を猶予するのが妥当な事案である。その上で、その他の一般情状事実として、被告人の常習性が顕著な点等からすれば再犯の可能性が否定し難いことは若干不利に、被告人が、各事実を認め、二度と再犯に及ばない旨述べていることは若干有利に考慮して、主文のとおり量刑した。
第3刑事部
 (裁判官 大森直子)

 刑事確定訴訟記録法で起訴状を閲覧しましたが、被害児童の特定は「氏名不詳の通称シノブ 推定12~13歳」とされていて、被害児童は3名いるようです。