児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

15歳に対する強制わいせつ致死事件について、3883万6999円を認容した事例(津地裁刑事部H27.6.5)

 訴額は5056万8843円
 犯罪被害者等給付金が控除されています

刑事損害賠償命令事件
津地方裁判所平成27年(損)第1号
平成27年6月5日刑事部決定
(基本となる刑事事件・平成26年(わ)第98号(強制わいせつ致死被告事件))
審理終結の日 平成27年5月7日

       決   定

申立人ら代理人弁護士 國田武二郎
同 脇本志乃
同 鈴木亮
相手方 ■■■■
法定代理人親権者父 ■■■■
同母 ■■■■


       主   文

1 相手方は,申立人らに対し,それぞれ金3883万6999円及びこれに対する平成25年8月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 申立人らのその余の請求をいずれも棄却する。
3 手続費用はこれを5分し,その4を相手方の負担とし,その余は申立人らの負担とする。
4 この決定は,第1項に限り,仮に執行することができる。

   請求の趣旨及び当事者の主張の要旨

第1 請求の趣旨
 相手方は,申立人らに対し,それぞれ5056万8843円及びこれに対する平成25年8月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 当事者の主張の要旨
1 事案の概要
 本件は,基本となる刑事事件の被害者である亡■(以下「亡■」という。)の相続人である申立人らが,同事件で有罪判決を受けた相手方に対し,不法行為に基づき,申立人らに生じた損害の賠償を求めた事案である。
(1)前提となる事実
 申立人■は亡■の父であり,申立人■は亡■の母であること及び別紙記載の犯罪事実(以下「本件犯罪」という。)は,当事者間で争いがない。
(2)争点
 本件の争点は,本件犯罪のために申立人らが被った損害の額である。
2 争点に関する当事者の主張の要旨
(1)申立人らの主張
 損害賠償命令申立書及び第1準備書面記載のとおり
(2)相手方の主張
 損害の額について争う。

       理由の要旨

第1 認容されるべき損害の額
1 亡■の損害
(1)葬儀費用 132万8775円
 証拠(A1〜A4)によれば,申立人らは,亡■の葬儀費用として132万8775円を支出したことが認められることから,これを本件犯罪と相当因果関係のある損害と認める。
(2)死体検案費用 5000円
 証拠(A5)によれば,申立人らは,亡■の死体検案費用として5000円を支出したことが認められることから,これを本件犯罪と相当因果関係のある損害と認める。
(3)死亡慰謝料 2200万円
 関係各証拠によれば,本件犯罪の内容として,わいせつ行為に対する強固な犯意の下,相手方が亡■に対して,生命に対する危険性の高い行為を,そのような危険性を認識しつつ行い,甚だわいせつな行為に及んだだけでなく,同人を死亡させたことなどが認められることから,そのことを踏まえて,上記金額を本件犯罪と相当因果関係のある死亡慰謝料と認めるのが相当である。
(4)逸失利益 4047万8952円
 亡■は,死亡当時15歳の女性であったことから,その逸失利益は,基礎収入を468万9300円,生活費控除率を45%,就労可能年数を18歳から67歳までの49年間(ライプニッツ係数15.6949)として算定した4047万8952円と認めるのが相当である。
(計算式)
468万9300円×(1−0.45)×15.6949=4047万8952円
(5)相続
 亡■の損害合計6381万2727円(上記(1)〜(4))の損害賠償債権について,申立人らは,各2分の1である3190万6363円を相続することになる。
2 申立人ら固有の損害
(1)固有の慰謝料 各500万円
 関係各証拠により認められる本件犯罪の内容からすれば,申立人らは,養育中の亡■の死亡等により多大な精神的苦痛を負ったと認められる。そこで,前記1(3)記載の申立人らが相続する亡■の死亡慰謝料額も踏まえつつ、本件に顕れた一切の事情を考慮すると,上記金額を本件犯罪と相当因果関係のある申立人ら固有の慰謝料と認めるのが相当である。
(2)損害の填補 各160万円
 証拠(A6)によれば,申立人■は,平成26年5月30日,160万円の支給を受けたことが認められる。本件に顕れた一切の事情を考慮し,これを本件犯罪に関する犯罪被害者等給付金と認め,申立人■についても同様に同給付金を受給したと認めるのが相当であるから,上記金額を損害額からそれぞれ控除する。 
(3)弁護士費用 各353万636円
 本件犯罪の内容,本件損害賠償命令事件の審理の経過,上記認容額その他本件に顕れた一切の事情に鑑み,申立人らにつき,上記金額を本件犯罪と相当因果関係のある損害と認める。
3 以上によれば,申立人らが本件犯罪について相手方から賠償を受けるべき損害額は,それぞれ3883万6999円及びこれに対する本件犯罪の日以降の遅延損害金ということになる。
第2 結論
 以上の次第であるので,申立人らの請求は,それぞれ3883万6999円及びこれに対する平成25年8月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余についてはいずれも理由がないので,主文のとおり決定する。
平成27年6月5日
津地方裁判所刑事部
裁判長裁判官 増田啓祐 裁判官 山口智子 裁判官 山川勇人

別紙
(刑事判決で認定した犯罪事実)
 被告人は,少年であるが,強いてわいせつな行為をしようと考え,平成25年8月25日午後11時頃,三重県三重郡α大字β××××番地所在の空き地付近路上において,徒歩で通行中の■(当時15歳)に対し,いきなりその背後から鼻口部を手で塞ぐなどし,そのまま同人を上記空き地に連れ込み,引き続き,同所において,更に同人の鼻口部を手で塞ぎ,その着衣を無理矢理脱がせるなどの暴行を加えて同人の反抗を抑圧した上,その乳房,陰部等を手でもてあそぶなどし,もって強いてわいせつな行為をし,その際,上記暴行に起因する鼻口部閉塞により,その頃,同所において,同人を窒息死させた。