児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

出所後の薬剤師免許取得に関して、「あなたの犯した罪の内容にもよるでしょうが、5年経過で刑が消滅します(刑法34条の2)から、通常は与えられるでしょう。」という弁護士の回答

 刑法34条の2第1項で、自由刑の実刑の場合は、「刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したとき」って書いてあるけどね。

第三四条の二(刑の消滅)
1 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

https://www.bengo4.com/iryou/b_424654/
Q 2016年02月11日 01時12分質問番号 424654

N弁護士 2016年02月11日 06時33分
実際あたえられるんでしょうか?
 あなたの犯した罪の内容にもよるでしょうが、5年経過で刑が消滅します(刑法34条の2)から、通常は与えられるでしょう。
また、もし与えられない場合不服申し立て制度があるみたいですが、弁護士さんの力を借りてなんとかなるものですか?
 広範な裁量に委ねられていますが、裁量権の逸脱濫用があれば不服申し立ては可能でしょう。

第23版薬事法薬剤師法毒物及び劇物取締法解説
薬剤師法
第5条
次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三罰金以上の刑に処せられた者
四前号に該当する者を除くほか、薬事に関し犯罪又は不正の行為があった者(薬剤師法第5条)
要旨
本条は、心身障害者、麻薬中毒者、罰金以上の刑に処された者等の者は、免許の相対的欠格要件として定めたものである
解説
前条は、厚生労働大臣が免許を与えるか否かについて裁量の余地がない絶対的
欠格条項であるのに対して、本条は、各号に該当する者について個々の事例に照らして厚生労働大臣が免許を与えるか否かについて裁量の余地があるところが大きな違いである。
①「心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者」とは、視覚、精神の機能の障害により薬剤師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断、意思疎通を適切に行うことのできない者をいう(薬剤師法施行規則第1条の2)。ただし、厚生労働大臣は当該者が障害を補う手段又は治療、障害の程度の軽減状況を考慮して業務遂行能力に応じて与えることとしている。
②麻薬等の中毒者を相対的欠格要件としたことは、薬剤師が人の生命及び健康に関する業務に従事するため健全な心身の保有者でなければならないことからである。
③第三号及び第四号に掲げる罰金以上の刑に処せられた者、薬事に関して犯罪、不正の行為があった者が相対的欠格要件としたことは、薬剤師の順法精神、法令の遵守を確保するためである。
本条中の用語について説明する。
①「麻薬」麻薬及び向精神薬取締法別表に掲げるものをいう。
②「大麻大麻草及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く(大麻取締法第1条)。
③「あへん」けしの液汁の凝固したもの及びこれに加工を加えたものをいう(あへん法第3条第二号)。
④「中毒者」麻薬等を連用して耐薬性の上昇、習慣性の固定、禁断現象の発現している者をいう。
⑤「罰金以上の刑に処せられた者」罰金以上の刑とは、死刑、懲役、禁錮及び罰金の判決が確定した者をいう。現に公判中の者又は控訴若しくは上告中の者は除外される。刑の執行猶予期間中の者は「刑に処せられた者」に含まれるが、刑の執行を受けることなく猶予期間を過ぎた者は刑の言渡しの効力を失う(刑法第27条)ことから、この場合には免許の相対的欠格条項に触れないことになる。
また、実際に刑の執行を受け、又はその免除を得た者も、一定の年限(禁鋼以上の場合は10年、罰金以下の場合は5年)を、罰金以上の刑に処せられることなく経過した場合には、刑の言渡しの効力はなくなる(刑法第27条の2)ことから、同様に免許の相対的欠格条項に触れないこととなる。
⑥「薬事に関する犯罪」薬剤師法、薬事法麻薬及び向精神薬取締法毒物及び劇物取締法、刑法第14章(あへん煙に関する罪)等に規定する犯罪をいう。
⑦「薬事に関する不正の行為」法令及び法令に基づく行政庁の処分に違反する行為をいう。
薬剤師法施行規則(昭和36年2月|日厚生省令第5号最終改正:平成25年|月9日厚生労働省令第2号)
(法第5条第一号の厚生労働省令で定める者)
第1条の2 法第5条第一号の厚生労働省令で定める者は、視覚又は精神の機能の障害により薬剤師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。
(障害を補う手段等の考慮)
第1条の3 厚生労働大臣は、薬剤師の免許の申請を行った者が前条に規定する者に該当すると認める場合において、当該者に当該免許を与えるかどうかを決定するときは、当該者が現に利用している障害を補う手段又は当該者が現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況を考慮しなければならない