児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「業者はなぜ、少女に売春をあっせんするのか。事件後、30代の県内業者の男にインタビューをしたところ(1)未成年は性や社会経験が少ないため、扱いやすい(2)中学生は男側のコンドーム使用の有無が判断しにくい(3)沖縄の子は目鼻立ちがはっきりしていて県外の客に人気(4)売春は少女たちの“花嫁修業”と考えている―などの背景が浮かび上がった。」という記事

 こんなこと県外の人が発言すると問題にされそうですが、沖縄からの発言のようです。
 沖縄特有の事情もあるんでしょうが、沖縄が特に多いということもないと思います。
 
 被害者像については、法律14条2項の調査研究結果があればわかるのに、業者のコメントしかないというのがおかしいですよね。15条以下の「保護」を励行すれば、被害者像が蓄積されているはずです。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
(教育、啓発及び調査研究)
第十四条  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることに鑑み、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。
   第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置

(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条  厚生労働省法務省都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2  前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条  国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十六条の二  社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
2  社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
3  厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な施策を講ずるものとする。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160113-00000020-okinawat-oki
■ネットは問題か
 しかし、根本的な問題はネットではない。売買春は通信機器の発展と連動してきた歴史がある。1990年前後はテレホンクラブやツーショットダイヤル、2000年ごろからは携帯電話が普及し始め、出会い系の掲示板に書き込む形で広がっていった。警察は新たなツールが登場するたびに規制をしているが、いたちごっこが続いている。
 変わらないのは、少女に売春をあっせんする男と少女を買う男の存在だ。売買春の根本的な問題の一つは、ここにある。

■男性側の意識
 業者はなぜ、少女に売春をあっせんするのか。事件後、30代の県内業者の男にインタビューをしたところ(1)未成年は性や社会経験が少ないため、扱いやすい(2)中学生は男側のコンドーム使用の有無が判断しにくい(3)沖縄の子は目鼻立ちがはっきりしていて県外の客に人気(4)売春は少女たちの“花嫁修業”と考えている―などの背景が浮かび上がった。
 買う男にも聞いた。30歳の男は、未成年の少女を扱う業者から届いた「女の子買わない?」とのメールをきっかけに買春を始めた。ソープより値段が手頃な上、少女が好みのタイプでない場合にはキャンセルもできる。「未成年の買春は犯罪なの?」と聞いてくるほど罪の意識は薄かった。
 少女が大人に“商品”のように扱われている実態があるにもかかわらず、買春に関わる男たちの姿は、なかなか浮かび上がらない。世論から批判や非難の声もほとんど聞こえてこない。
 刑も軽い。児童買春・児童ポルノ禁止法は5年以下の懲役か300万円以下の罰金、沖縄県青少年保護育成条例は2年以下の懲役か100万円以下の罰金で済む。
 そんな男たちに、少女たちは街頭でスカウトされ、SNSで紹介され、魔の手に絡め取られる。家族や友人関係の悩みに親身に耳を傾け、彼氏のように装い、“疑似恋愛”に持ち込む。出勤が続かない少女には「親や友達にバラす」と脅し、囲い込む。

■社会が問われている

 ブキッキオ氏は先の会見で、「(子どもの性被害の撲滅には)根源的な原因究明が必須であり、それは日本政府と沖縄県の共同の責任であると思っている」と指摘した。法、モラル、理性…これまでも問題視はされてはきたが、いかに遡上(そじょう)に乗せられるのか、突き付けられている。
 さて、問題をはき違えて実施された「県民集会」。その責任者であり、教育庁ナンバー2を務めたこともある幹部が2014年、児童買春容疑で逮捕された。18歳未満と知らなければ、児童買春・児童ポルノ禁止法は適用されない。結局、県青少年保護育成条例で起訴され、処分はわずか罰金50万円だった。
 2016年3月には最終調査報告、勧告が国連人権理事会に提出される。売買春に関わる大人は身近にいる。彼らに対し、社会の監視の目が生まれる契機となれるのか、社会のあり方が今、問われている。