児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

脅迫,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列,私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反被告事件(横浜地裁h27.6.12)の犯罪事実

 

 【罪となるべき事実】
 被告人は,
第1 元交際相手であるA(当時19歳)の裸体等が撮影された画像データを保管していたものであるが,Aに自慰行為を見せるよう要求したところ,Aがこれを断ったことなどに立腹し,Aを脅迫しようと考え,別表1記載のとおり,平成26年8月18日午前7時31分頃から同月19日午前2時23分頃までの間,前後5回にわたり,被告人方において,自己のパーソナルコンピュータ(横浜地方検察庁平成27年領第861号符号6)を操作してインターネットアプリケーション「B」を用い,Aの携帯電話機に宛てて,「しなかったので写真ばらまきます後悔させてやる」「脅しだとおもっとればいいよばら撒かれてからきずいてもおそいで」などと記載したメッセージを順次送信し,いずれもその頃,Aに前記メッセージを閲読させてその内容を了知させ,もってAの名誉に危害を加える旨を告知して脅迫し
第2 同年12月13日午後11時9分頃,前記被告人方において,判示第1のパーソナルコンピュータを用いてインターネットを利用し,Aの陰部を露骨に撮影したわいせつな画像データ1点を,C社が管理するアメリカ合衆国内に設置されたサーバコンピュータに送信して記憶・蔵置させ,不特定多数のインターネット利用者に対し,同画像の閲覧が可能な状態を設定し,もってわいせつな電磁的記録に係る記録媒体を公然と陳列し
第3 平成27年1月2日午前11時43分頃から同日午後1時40分頃までの間,10回にわたり,前記被告人方において,判示第1のパーソナルコンピュータを用いてインターネットを利用し,Aの顔を撮影した画像データやAの氏名等が記載された「合格通知書」と題する書面を撮影した画像データなどとともに,Aの顔や陰部を撮影した画像データ及びAが被告人の陰茎を口淫する場面を撮影した画像データ等10点を,C社が管理するアメリカ合衆国内に設置されたサーバコンピュータに送信して記憶・蔵置させ,不特定多数のインターネット利用者に対し,同画像の閲覧が可能な状態を設定し,もって第三者が撮影対象者を特定することができる方法で,性交又は性交類似行為に係る人の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって,殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものである私事性的画像記録物を公然と陳列し
第4 Aの裸体等が撮影された画像データを保管していることを利用し,さらにAを脅迫しようと考え,別表2記載のとおり,同年2月3日午前11時16分頃から同月7日午後8時44分頃までの間,前後7回にわたり,前記被告人方及びその周辺において,判示第1のパーソナルコンピュータ又は被告人の携帯電話機を操作してインターネットアプリケーション「B」を用い,Aの携帯電話機に宛てて,「マンションにビラまくかな〜」「マンションより学校かいいかい?(笑)」「パパの会社にするかな?」「殺してシマウマえに死んでくれ」「えw今流行のストーカー殺人www」などと記載したメッセージを順次送信し,いずれもその頃,Aに前記メッセージを閲読させてその内容を了知させ,もってAの生命,身体,名誉等に危害を加える旨を告知して脅迫し
たものである。
 【証拠の標目】
(省略)
 【法令の適用】
 被告人の判示第1,第4の各所為は各包括していずれも刑法222条1項に,判示第2の所為は同法175条1項前段に,判示第3の所為は包括して私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条2項,2条1項1号,3号にそれぞれ該当するところ,各所定刑中いずれも懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中30日をその刑に算入し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し,なお同法25条の2第1項前段を適用して被告人をその猶予の期間中保護観察に付し,横浜地方検察庁で保管中のパーソナルコンピュータ1式(同庁平成27年領第861号符号6)は判示各犯行の用に供した物で被告人以外の者に属しないから,同法19条1項2号,2項本文を適用してこれを没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
  平成27年6月12日
    横浜地方裁判所第1刑事部
           裁判官  樋上慎二