児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年条例違反無罪判決(名古屋簡裁)

 公刊されていませんが長野県にも出回っているようです。

http://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/documents/siryou4-1.pdf
「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交」(最高裁判決による第二類型の性行為)の解釈が争われた判例
【事件の概要】
○ 行為者は、当時 31 歳の会社員であり、妻と1歳になる子供がいた。H18 年2月に飲食店の副店長として異動になり、アルバイトをしていた児童(17 歳、女子高生)と知り合った。
4月ころから児童と話す機会が多くなり、児童から見たい映画があると言われて、4月末ないし5月初めころ、学校が終わった後に自宅の近くまで車で迎えに行き、映画を見に行った。この後もメール交換やドライブデートなどをしていた。何回かデートをした後、性行為をしないかとメールで尋ねたところ、まだ早いとの返事であったが、児童に対し、正式に付き合っているつもりでいる旨の話をして性行為の同意を得たため、5月 11 日にホテルで性行為を行うに至った。
その後、5月から7月にかけて数回性行為を行ったが、ドライブや映画、食事などのデートをし、2人でディズニーランドに行くという約束もしていた。
7月 24 日にも同様にホテルで性行為が行われた後、行為者は児童を家まで送っていったが、児童の母親がこの事実を知り、警察署に申告をするに至った。
○ 被控訴人は、職務上、児童が17歳であることを知っており、児童も行為者に妻と子供1人がいることを知っていた。児童、行為者のいずれも結婚することは考えておらず、行為者は児童に対し
て妻と離婚するつもりはない旨を告げていた。また、行為者は、性行為の対価として金銭を渡したことはなく、児童を騙して性行為に至ったという事実もなかった。
○ 行為者は愛知県青少年保護育成条例違反の罪により逮捕、勾留され、略式命令を受けて罰金 40万円を納付したが、その後名古屋簡裁に正式裁判を請求したところ、名古屋簡裁は行為者の行為は
淫行には当たらないとして無罪を言い渡し、控訴期間経過によりこの判決が確定した。
○ この無罪判決を受けて、行為者は警察官、検察官等が違法な逮捕状請求、公訴提起等をしたとして愛知県及び国に国家賠償法に基づく損害賠償請求を行ったが、第一審及び控訴審判決において、上記事件が最高裁判決の「第二類型の性行為」に当たるかどうかが判示されている。