児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「満つるまで算入」

 未決勾留(勾留状執行後)がある場合は、量刑の問題として、罰金刑に算入することができ、「満つるまで算入」と呼んでいます。
 刑事確定訴訟記録法を知らないのは残念です。

刑法第21条(未決勾留日数の本刑算入)
未決勾留の日数は,その全部又は一部を本刑に算入することができる。
条解刑法
財産刑である罰金及び科料についても,算入され得ることは,刑訴法495条3項からも明らかであろう。その場合は,勾留の1日を何円に換算するかを定めて言い渡すことになる(主文は,「未決勾留日数中00日を,その1日を00円に換算して,罰金刑に算入する」というようになる。なお.自由刑については,勾留の1日が当然刑期の1日に換算される)

 ネット検索では、次の裁判例がヒットしますが、1日5000円の換算というので未決が60日以上あれば、罰金を払わなくてもいいことになります。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/737/036737_hanrei.pdf
主 文
被告人を罰金30万円に処する。
未決勾留日数中,その1日を金5000円に換算してその罰金額に満つるまでの分を,その刑に算入する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
(法令の適用)
被告人の判示所為は包括して刑法60条,平成18年法律第115号附則31条1項により同法による改正前の出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)8条2項1号,出資法2条1項に該当するところ,所定刑中罰金刑を選択し,その所定金額の範囲内で被告人を罰金30万円に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数中,その1日を金5000円に換算してその罰金額に満つるまでの分を,その刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。

量刑理由
他方,他の共犯者と比較して組織内での立場が高くなく,起訴に係る分が少ないこと,被告人は,結果として,多くの人に損失を与えた点を反省し,本件のような事業には二度と関わらないと述べていること,夫が当公判廷で今後の監督と支援を行う旨述べ,長男による支援も期待できること,これまでに,前科前歴がなく過ごしてきたこと,今回の件で相当期間にわたって身柄を拘束されたことなどの酌むべき事情も認められる。
そこで,被告人に対しては,主文掲記の刑に処するのが相当と判断した。
(求刑・罰金30万円)
平成20年5月15日
松山地方裁判所刑事部

http://www.bengo4.com/hanzai/1092/b_353733/?k=c6121&via=twitter
Q 2015年05月28日 03時10分
逮捕20日間の拘留後に起訴となり、裁判で罰金刑を受けた場合、拘留した時間を計算してもらい払わないで済む事
裁判結果を傍聴以外で第三者が調べること

K弁護士の回答2015年05月28日 03時15分
★ 傷害事件で逮捕20間の拘留後に起訴となり、裁判で罰金刑を受けた場合、拘留した時間を計算してもらい払わないで済む事はありえる事でしようか?
→ 未決勾留日数を参入して、その日数を労役場留置に換算するという制度はありません。

★ 裁判結果を傍聴以外で第3者が調べたり出来るものでしょうか?
→ 基本的にはできないでしょう。

★ 罰金刑の場合も裁判は略式裁判でないので何度か出廷するのですか?
→ 傷害の事実について争っておらず、公判が情状の取り調べがメインになるのであれば、第1回公判期日に即日結審して次回判決か、休廷後にその日のうちに判決になると思われます。

H弁護士の回答2015年05月28日 03時24分
傷害事件で逮捕20間の拘留後に起訴となり、裁判で罰金刑を受けた場合、拘留した時間を計算してもらい払わないで済む事はありえる事でしようか?

それは難しいと思います。

また、裁判結果を傍聴以外で第3者が調べたり出来るものでしょうか?

基本的にはないと思います。

後は、罰金刑の場合も裁判は略式裁判でないので何度か出廷するのですか?

特に事実関係に争いがなければ、審理が1回、判決で1回になります。
審理後に判決がある場合もありますので、その場合は1回で済みます。