児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春の年齢不知事案につき青少年条例違反(過失)で有罪にした事例(那覇地裁H27.01.07)

 これは控訴すべき事案です。

理屈は
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20140821#1408616422
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20141009#1412799417
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20141215#1418371425
で説明しました。

「この法律で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失う」と言う場合は、(趣旨は比較しないで)行為のみを比較して、重複したら条例は効力がありません。これまではそう解釈してきました

【事件番号】 岡山地方裁判所判決昭和45年11月19日
【掲載誌】  刑事裁判月報2巻11号1245頁
       判例タイムズ259号240頁
       刑事裁判資料229号204頁
       刑事裁判資料229号216頁

(弁護人の主張に対する判断)
 その一、岡山市売春等取締条例三条は売春防止法附則四項の規定により失効しており、処罰の根拠とはなりえないとの主張について
 岡山市売春取締条例(以下単に市条例という)は昭和二八年八月四日公布の日から施行せられているところ、その後売春防止法(以下単に法という)が制定され、同法附則四項に、地方公共団体の条例の規定で売春又は売春の相手方となる行為その他売春に関する行為を処罰する旨を定めているものは昭和三三年四月一日同法の全面施行と同時に効力を失う旨規定せられているので、市条例三条が法の施行によつて効力を失つているかが一応問題となる。そこで検討するに、法附則四項により効力を失うのは売春又は売春の相手方となる行為その他売春に関する行為を処罰する旨を定めているものに限られ、しかも法にいう売春とは対償を受け、又は受ける約束で不特定の相手方と性交することをいう(法二条)であつて、性交類似行為は含まれないから、市条例の規定中、法にいう売春に関する規定は法の右施行と同時に効力を失うこととなるが、性交類似行為に関する処罰規定は効力を失うものではない。また法附則四項の「その他売春に関する行為」とは法二条にいう売春を助長する行為(周旋、売春をさせる契約、売春を行う場所の提供、売春の対償の収受、前貸、資金提供等)をいうものと解すべきであるから、性交類似行為はこれにあたらない。市条例で売春とは報酬を受け又は受ける約束で不特定の相手方と性交又は性交の類似行為をすることをいう(同条例二条)のであるから、市条例三条の「売春の目的をもつて相手方を誘つた者」には、性交をする目的で誘う場合と性交類似行為をすることを目的として誘う場合があるわけであり、前者の場合には法にいう売春にあたるからこれに関する範囲では市条例三条は法附則四項によつて効力を失つているから、市条例三条による処罰はできないところであり、法五条によることとなるが、後者の場合は法にいう売春には含まれないから、後者の場合の処罰規定としての範囲内では条例三条は有効に存読しているから、性交類似行為の相手方勧誘行為は市条例三条により処罰することができると解せざるを得ない。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
附 則 抄
(条例との関係)
第二条 1
地方公共団体の条例の規定で、この法律で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとする。


青少年条例の年齢確認義務を前提にすると過失はあることになるので、この主張は失当だと思います。一回性の淫行には年齢確認義務は適用されないという主張にしないと。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150107-00000079-jij-soci
出会い系サイトで知り合った女子中学生にわいせつな行為をしたとして、沖縄県青少年保護育成条例違反罪に問われた被告(60)=懲戒免職=に対し、那覇地裁(荒金慎哉裁判官)は7日、求刑通り罰金50万円の判決を言い渡した。被告側は控訴しない方針。
 荒金裁判官は「教育行政に長年関わり、青少年の健全な育成に配慮する立場で、責任は軽くない」と述べた。弁護側は「口頭で年齢確認をした」などと無罪を主張していた。