写メの証明力。
原判決の判断には,検察官が指摘するとおり,論理則,経験則等に照らし,不合理な点が多々見受けられ,結論として破棄を免れない。以下詳述する。
1 本件携帯画像の撮影日時について
まず,原判決は,本件携帯が日付,時刻の手動設定機能を有していることを理由に,撮影日時情報が任意に設定された日時を反映するものでなく,常に正しい日時を反映するしくみになっているなどの事情が立証されない限り,本件携帯画像の撮影日時情報が,同情報どおりの日時に撮影されたことを推認する力は極めて低いとしている。
しかし,関係証拠によれば,本件携帯には,基地局から通知される時刻に同期させて正確な時刻を表示する自動時刻補正機能があること,本件携帯には,2 0 1 2年月日及び同年月日(注:この両日は公訴事実記載の各犯行日)のEメールの受送信記録があることが認められ,これらの事実からすれば,むしろ特段の事情のない限り,本件携帯画像は,その撮影日時情報どおりの日時ころに撮影されたものと推認できる。検察官が主張するとおり,本件では,被告人も本件携帯の日時を実際の日時と異なる日時に設定した記憶はなく,その可能性もないと思う旨供述しているところであって,上記推認の障害となる特段の事情はない。
弁護人は,押収時に本件携帯の自動時刻補正機能がONで、あったことの証明はない,被告人は携帯電話機の設定日時について任意に設定したかどうかは「記憶ではない」というに留まり,積極的に変更していないとは言っていない,基地局からの電波が本件高校の各部室内に届いていたことは証明されていないなどと主張して上記事実の推認を争うが,いずれの指摘もこれを揺るがすものとはいえない。
結局,原判決は,証拠の評価を誤った結果,抽象的にしか存在しない日時の手動入力という例外的可能性を過大評価し,本件携帯画像の撮影日時情報が,その情報どおりの日時ころに本件携帯画像が撮影されたことを推認する力を過小評価した点において,経験則に違背している。