児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

トラブル事例|セックストーションについて

 警察は恐喝罪という扱いですね。
 騙してわいせつ行為させているので、準強制わいせつ罪っぽいですが、行為の意味は認識しているので、承諾はあるということになります。

http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/police3/extortion.html
「セックストーション」(「sex、性的な」と「extortion、脅迫」を合わせた造語)
次のような犯罪が増加しています。
1 スマートフォン用アプリを通じて仲良くなった異性から、卑猥な写真や動画を見せ合おうと持ちかけてくる。
2 言葉巧みに専用アプリをインストールさせる。
3 そのアプリは実は不正プログラム(ウイルス)で、スマートフォン内の電話帳やメールアドレスのデータを盗み出す。
4 卑猥な写真や動画を送らせたうえで、盗み出した電話帳の宛先に手当たり次第にばら撒かれたくなければお金を払えと脅す。

http://www.ipa.go.jp/security/txt/2014/12outline.html
(1)セクストーション(性的脅迫)の事例

セクストーションとは、「sex(性的な)」と「extortion(脅迫)」を組み合わせた造語です。被害者のプライベートな写真や動画を入手して、それをばらまくなどと脅迫する行為を指す言葉です。
海外ではセクストーションの存在は広く認識、問題視されており、ここ数年では次のようにインターネットやネットワークサービスを悪用した事例が報告されています。
【事例①】
2013年1月、米国。複数の女性の電子メールや Facebook のアカウントを乗っ取るなどで、ヌード写真を検索して不正に入手し、「Facebook に写真を投稿する」と脅迫して逮捕された。
【事例②】
2013年11月、米国。女性が所有するパソコンに搭載されたWebカメラを遠隔操作してヌード写真を盗撮し、「写真をネット上にばらまく」と脅迫して逮捕された。
【事例③】
2014年5月、フィリピン。主にフィリピン国外在住の高齢男性を標的としてSNSを通じてプライベートな動画のやりとりを持ちかけ、入手した動画を「家族や友人にばらまく」と金銭をゆすり取っていた犯行グループ58人が逮捕された。
(2)SNSや不正アプリを利用したセクストーション

国内では最近、下記のようなSNSと不正アプリを用いた手口によるセクストーション被害が多発しているとみられます。
SNSを通じてコンタクトを取ってくる
ビデオチャットでプライベートな動画のやりとりをしたいと、ビデオチャット用のアプリ(実際は電話帳を窃取する機能がある不正アプリ)をインストールするように持ちかけてくる
(アプリをインストールさせてから、プライベートな動画のやりとりを持ちかけてくる場合もある)
不正アプリを通じて電話帳の情報を窃取され、プライベートな動画のやりとりを行ったときの動画データを保存される
窃取した電話帳の登録者にプライベートな動画をばらまくと脅され、金銭を要求される
セクストーションの手口では、SNSや不正アプリの機能が巧妙に使われています。SNSでのやりとりを通じて相手を油断させ、不正アプリにより入手したプライベートな動画データを脅迫のネタにします。被害者が恥ずかしさや後ろめたさから周囲に相談しにくい状況を作っており、非常に狡猾です。
なお、プライベートな動画データだけでなく電話帳の情報も同時に窃取する手口の意図は、不特定多数が閲覧するインターネット上に公開されるより、身近な人にさらされるほうに、被害者が脅威を感じやすいため、と考えられます。
また、公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所によれば、出会い系サイトの登録者に対して接触し、プライベートな写真を要求する手口も確認されています。要求に応じて写真を送付すると、サイトの運営者から「サイトで禁止事項としているプライベート写真の送付が確認された。これが問題となりシステムエラーが発生したため至急連絡がほしい」と警告メッセージが送られ、システムが故障したことへの補償金を要求される、というものです。
なお、万が一、セクストーションと思われる被害に遭い、プライベートな動画をばらまくと金銭を要求された場合には、相手に対してうかつに連絡することは避け、警察へ相談することを検討してください。しかし、一度、相手の手に渡ってしまった情報は削除することも、取り返すことも困難です。また、警察への相談の有無や金銭の支払い有無に関わらず、ばらまかれてしまうことを抑止することも困難です。
(3)セクストーションへの対策

 セクストーションへの対策として、次の2つが有効です。
アプリは信頼できるマーケットから
メールやSNSを通じて第三者にアプリをインストールするよう促された場合でも、送付された添付ファイルやURLをクリックして、アプリをインストールしてはいけません。アプリは信頼できるマーケットから入手してください。

プライベートな写真や動画は第三者に渡さない
SNSを通じて知り合った実際に会ったことのない相手はもちろんのこと、例え友人や恋人であっても第三者に見られたら困るプライベートな写真や動画を撮影させたり、そのデータを送ったりしてはいけません。セクストーション被害に限らず、リベンジポルノ※5などの被害の可能性もあります。

図3:プライベートな写真や動画は撮影しない、第三者に渡さない
図3:プライベートな写真や動画は撮影しない、第三者に渡さない
特定の相手に写真や動画を渡すことは、インターネットに公開することと同じという認識を持つことが重要です。また、データを所有しているだけでもウイルス感染等により外部に流出する可能性も考えられます。インターネットに公開されて困るような写真や動画は、そもそも撮影しないことが賢明です。
※5 リベンジポルノ: 別れた恋人に対する報復の手段として、交際時に撮影したプライベートな写真や動画をインターネットを
通じて不特定多数に配布、公開する嫌がらせ行為。



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