児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

中学生に対する数回の強姦被害を理由にした損害賠償請求事件(訴額300万円弱)で、暴行脅迫を否定した上で、親固有の損害賠償請求権を否定した事例(某地裁H26.11.18)

 高知地裁H22.6.18も同旨です。

某地裁H26.11.18
争点2 (原告親に対する不法行為責任の有無)について
(1)原告親は,本件事案においては,被害者である原告子の近親者として固有の損害賠償請求権がある旨主張するところ,確かに,原告子が本件各淫行等の被害を受け,その精神的苦痛を負っている様子を目の当たりにしたことにより,原告子の親としては,被告に対し,憤り,悔しさ,悲しみ等の感情を抱いたのは至極当然であり,それ自体は十分に理解することができる。
しかしながら,本件各淫行等は,前記認定説示のとおり,原告子の人格,尊厳を侵害する不法行為であるが,原告親に対して向けられた不法行為ではなく,原告子が本件各淫行等の被害を受けたことにより,親としての上記のような感情とは別に,原告親自身の人格,尊厳を侵害されたものとはいえないから,原告子とは別個独立した原告親固有の権利ないし法的利益の侵害を認めることは困難である。
また,原告子が,本件各淫行等の被害によって多大な精神的苦痛を受けたことは前記認定説示のとおりであるが,本件全証拠を検討しても,医学的に見て重大な後遺障害を負ったとまでは認められないことからすると,交通事故等において重大な後遺障害を負った場合に被害者の近親者に固有の慰謝料請求が認められる事案と同視することもできない。
その他本件に現れた一切の事情を考慮しても,被告の原告子に対する不法行為に基づく損害賠償責任を負わせるにとどまらず,さらにその母である原告親に対する不法行為責任を肯定しなければ著しく社会正義に反するものとまではいえない。
(2) したがって,原告親の被告に対する請求は理由がない。

高知地裁H22.6.18
(2) 原告親について
被害者の親は, 被害者が生命を侵害された場合に比肩すべき精神上の苦痛を受けたときは, 加害者に対して固有の慰謝料請求をする乙とができると解されるところ, 本件においては, 上記判示のとおり, 原告娘が被告から受けた被害の内容及び程度は深刻で重大なものであるとは考えられるものの、原告親に固有の慰謝料請求権を発生させるものとまでは認められない。