児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪の罰則に関する検討会

 強姦罪の法定刑の下限を上げるんですか?
 量刑を上げるには下限を引き上げるのが効果的ですが、量刑相場としては強姦既遂1罪だと3〜4年の実刑になるのがほとんどで、示談宥恕があると(親告罪ということで被害者の意向重視ということで)執行猶予になりますので、
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/houkoku/pdf/hbo07s-10.pdf
下限は5〜6年というところでしょうか。

http://digital.asahi.com/articles/ASGB05QN2GB0UTIL037.html
強姦(ごうかん)や強姦致傷などの法定刑は、これまでにも見直しの必要性が指摘されてきた。強姦は「懲役3年以上」だが、強盗が「懲役5年以上」で、強姦のほうが刑が軽いからだ。

 この日の初会合では、今後、強姦罪の法定刑を現行より重くすることや、同罪を問うために被害者の訴えを必要とする「親告罪」であることの見直しなど、八つのテーマを議論することを決めた。

 現行では「暴行または脅迫」を受けていることを強姦罪が成立する条件にしているが、これを緩和すべきかも議論する。当事者間の同意があっても立件できる被害者の年齢(現在は13歳未満)の引き上げも検討する。

 さらに、親から子への性的虐待を念頭に、地位を利用した性暴力に新たに罰則を設けるべきかも検討する。また、幼少期に受けた虐待を虐待と認識しないまま成人するケースも多いとされ、性犯罪の時効の撤廃などの必要性も話し合う。

 会議で「法改正の必要がある」との結論が出れば、法相があらためて法制審議会に諮問する。

■検討会で議論するテーマ

強姦罪や強姦致死傷罪の法定刑を引き上げるべきか

・現行で強姦罪などは告訴がないと罪に問えない「親告罪」だが、この規定を廃止すべきか

強姦罪は「暴行または脅迫を受けていること」が成立の条件だが、これを緩和すべきか

・「暴行または脅迫」がなくても強姦罪などが成立する被害者の年齢(現行は13歳未満)を引き上げるべきか

・親子間や上司と部下など、地位を利用した性暴力について、新たに罰則を設けるべきか

・現行で強制わいせつ罪が適用される「性交に類似する行為」について、より重い刑を適用すべきか

・「女性が加害者、男性が被害者」となるケースも強姦罪の対象にすべきか

・年少者などが被害者となる性犯罪について、一定期間は時効を停止すべきか。または時効を撤廃すべきか

 16歳に引き上げると、強姦罪の守備範囲が拡がって青少年条例はほとんど要らなくなるよね。

http://www.sankei.com/premium/news/141017/prm1410170003-n1.html
なぜ強姦の方が強盗より罪が軽いのか

 松島みどり法相は9月30日の会見で、性犯罪の厳罰化を検討する有識者会議「性犯罪の罰則に関する検討会」の設置を発表した。早稲田大学山口厚教授(刑法)を座長に学識経験者や実務家ら12人からなり、うち8人を女性が占める。
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 「法相の強いイニシアチブを評価する」と話すのは、千葉大学の後藤弘子教授(刑事法)。内閣府男女共同参画基本計画の策定に携わった経験を持つ「女性に対する暴力」の専門家だが、「強姦は“魂の殺人”とも言われる。新たな法整備や法定刑の引き上げなどは、これまで何度も提起されてきた問題だ」というほど、すでに各論点に関する議論は煮詰まっている。
なぜ強姦罪の方が強盗罪より軽いのか−。法務省刑事局は「強盗罪が成立するには、被害者の抵抗を『抑圧する程度』の暴行脅迫が必要だが、強姦罪の場合は被害者の抵抗を『著しく困難にする程度』となっている。つまり、暴行脅迫の度合いが強姦の方が強盗に比べ弱いため、法定刑も軽くなっている」と説明する。

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 一方、この決まりを厳密に運用すると、「15歳の中学3年生の男子生徒が12歳の中学1年生の女子生徒と性交をすると、男子生徒の行為は強姦罪に当たる」という事態を招きかねない。もちろん、通常は少年少女の恋愛に対しそのような運用はされないが、後藤教授によると、欧米諸国などでは性交同意年齢を日本より高い16〜18歳に定めたうえで、年齢の差が一定の範囲内であれば適用しないとする例外規定を設けることで、懸念される事態を回避している。

 それでは、性交同意年齢は何歳が適当なのか−。恋愛の自由との見合いも考え、後藤教授は(1)日本では婚姻可能な年齢が16歳以上である(2)義務教育である中学生は保護すべき−の2つの観点から、「16歳しか合理的な説明はありえない」と話す。早ければ今月中にも初会合を開く同検討会はどのような結論を出すのか、全国の被害者団体などから熱い視線が注がれている。