児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

初公判 県教育庁幹部の男 無罪を主張

 被告人の関係者の方が見てたら、御連絡下さい。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20140821#1408616422
の続報。
 検察官の冒頭陳述によれば年齢を知っていたという証拠はないらしいので、弁護人は
  対償供与の約束があったから、青少年条例は適用されない。
  児童買春罪のみが適用される。
  児童買春罪については児童とは知りませんでした
と主張すれば、無罪になります。

  「年齢確認に必要な方法は尽くした。
  18歳未満とは知らなかった」
というのでは、適用されない青少年条例で裁かれることになるし、年齢確認義務の解釈は厳しいと思うので有罪になってしまいます。「過失処罰条項は国法に反するから無効」と言わないと。

初公判 県教育庁幹部の男 無罪を主張
http://www.otv.jp/newstxt/news.cgi?mode=detail&code=20141007181662
きょうの初公判で被告はみだらな行為をしたことは認めたものの、「年齢確認を十分にしたかという点については争います」と無罪を主張しました。冒頭陳述で検察側は、「被告はインターネットを悪用した事件に青少年が巻き込まれるのを防ぐ責任者だった」と指摘したうえで、「高校を卒業したか口頭で確認しただけで、年齢確認を十分に行わなかった」と主張しました。いっぽう弁護側は「年齢確認に必要な方法は尽くした。18歳未満とは知らなかった」と無罪を主張しました。

http://www.qab.co.jp/news/2014100759024.html
7日の初公判で被告はみだらな行為をしたと認めたものの年齢確認は尽くしたとして無罪を主張しました。これに対し検察側は年齢確認は口頭だけだったとして「被告は教育指導統括監を務めていた際青少年のネット被害防止に関するガイドライン作成に携わっていて中学生などが年齢を偽り売春している実態を知っていた」と指摘しました

http://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/5094556601.html
7日、那覇地方裁判所で開かれた初公判で、前所長は、わいせつな行為をしたことは認めた上で、「年齢確認に必要なことを尽くすことなくという点は争います」と述べ、相手が18歳未満ではないか年齢確認を尽くしたとして、無罪を主張しました。
このあと、検察は、冒頭陳述で、県教育庁の幹部職員という前所長の立場を踏まえて、「被告は、少女たちが年齢を偽って売春をしている実態を知っていたが、今回は、女子生徒に口頭で年齢を確認しただけで、『高校を卒業した』と聞きわいせつな行為をした」と指摘しました。
前所長は、ことし8月付けで、中頭教育事務所長の職を解かれ、県教育庁付けの職員となっています。


 条例の過失処罰規定に従ってしまうと、過失がないとされる余地は極めて狭くなります。この過失処罰規定の適用を「営業者」「使用者」に限定して、除外する主張をする必要があります。

沖縄県青少年保護育成条例
第22条
8項 第9条第2項、第10条第3項、第11条第1項、第12条第4項、第13条第3項又は第15条から第18条の4までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失のないときは、この限りでない。

沖縄県青少年保護育成条例逐条解説書h18
6 第8項の規定に違反した者については、青少年の年齢を知らなかったことを理由として処罰を免れ得ないこと及び年齢確認に関する無過失の挙証責任があることを規定したのである。
7 「当該青少年の年齢を知らないことを理由として」 とは、通常可能な調査が適切に尽くされているか否かによって決せられることになるが、具体的に相手方となる青少年に年齢、生年月日等を尋ね、又は運転免許証等公信カのある身分証明書の提出、あるいは、父兄に直接問い合わせる等客観的に妥当な確認措置をとったにもかかわらず、青少年自身が年齢を偽り、又は虚偽の証明書を提出する等行為者の側に過失がないと認められる場合をいう。
8 「過失のないとき」 とは、
(1) その者が青少年でないことを確認するにつき全く遺漏がなかったことを意味し、過失がないことの挙証責任は営業者等が負う。
(2) 過失推定規定であり、どのような手段・方法を講じれば過失がないとされるかは、年齢確認に用いた資料、その資料の入手方法、当該相手との面談状況等を判断し営業者として可能な限りの調査を尽くしているかどうかを、社会通念に照らして判断されるべきである。
(3) 青少年の身体的発育状況、態度、職歴、本人や紹介者等の単なる申告等からその者が青少年でないと信じたというだけでは足りない。
(4) 客観的資料として、本人の戸籍謄本、住民票、運転免許証等公信力のある書面等に基づく調査、保護者等に面接する等客観的に通常可能とされるあらゆる手段方法を講じて、当該青少年の年齢確認に万全を期した結果青少年でないと信じた場合にのみ過失がなかったと認めるべきである。
〔過失のないとき〕の判例(昭和34・5. 11最高裁判決)
児童及びその両親が児童本人の氏名を偽り、他人の戸籍謄本をあたかも本人のごとく装って提出した場合、他人の戸籍謄本をあたかも児童本人のものであるかのように使用することも職業の特殊性から当然あり得ることが容易に想像できるから、一方的な陳述だけでたやすく軽信することなく、他の信頼すべき客観的資料に基づいて調査をすべきである。この調査を怠っている場合、児童福祉法第60条第3項ただし書にいう年齢を知らないことにつき過失がない場合に該当しない。

沖縄県青少年保護育成条例逐条解説書s61
9 「当該青少年の年令を知らないことを理由として」とは、通常可能な調査が適切に尽くされていると言えるか否かによって決せられることになるが、具体的には相手方となる青少年に、年令、生年月日等を尋ね、又は身分証明書等の提出を求める等、客観的に妥当な確認措置をとったにもかかわらず、青少年自身が年令を偽り、又は虚偽の証明書を提出する等、行為者の側に過失がないと認められる場合をいう。
10 「過失のないとき」とは、具体的事業ごとに提出された客観的資料の種類、その提供の際の状況及びその確認方法の有無、難易等を総合的に検討して、社会通念に照し、通常可能な調査が適切に尽されているときをいう。

沖縄県議会会議録
議 事 の 概 要
昭和54年9月22日(土曜日)
午前10時45分開議
日程第1 乙第1号議案及び乙第2号議案(企画総務委員長報告)
   討 論 乙第2号議案 沖縄県議会議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例 
日程第2 乙第8号議案(経済労働委員長報告)
日程第3 乙第3号議案から乙第7号議案まで、乙第9号議案及び乙第10号議案(文教厚生委員長報告)
○文教厚生委員長(伊波広定君) ただいま議題となりました乙第3号議案から乙第7号議案まで、乙第9号議案及び乙第10号議案の7案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 委員会におきましては、各議案について関係当局の説明を求め慎重に審査を行ってまいりました。
 審査の過程における当局の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
 まず乙第3号議案は、青少年の健令な成長を図るため午後10時以降の外出禁止や、青少年に対するみだらな性行為等の禁止規定を設けるほか、これらの行為に対する罰則を強化するための改正であろとの、説明がありました。
 本案に関し、当該青少年の年齢を知らないことを理由として処罰を免れることができない、ただし過失のないときはこの限りでないとあるが、過失のないときとはどういうことかとの質疑がありました。これに対し、この規定は言い逃れをさせないということで年齢を知らなかったということでは許されないということである。しかし相手に年齢を聞き、その他証明書を求めて知ることのできなかったというようなときは無過失にするということであるとの答弁がありました。また、深夜外出については、基本的には取り締まるという立場よりは家庭の問題である。午後11時から午後10時に改めることによってよくなるかとの質疑に対し、これは深夜外出を制限することにより保護者に鑑護を要請する訓示規定であり、家庭でのしつけが大切であるとの答弁がありました。

追記
 児童買春罪のみの主張はしているようです。
 過失の議論は必要なし。

琉球新報20141008
被告の弁護人は、児童買春・ポルノ禁止法の付則により、児童買春行為には県条例は適用されないと指摘した。仮に適用されたとしても、被告は年齢の確認をしており、18歳未満と知らなかったことに過失はないと主張した。検察側は冒頭陳述で、被告は少女に口頭で年齢を確認し、「高校は卒業した」と聞いてそれ以上の確認はしなかったと指摘した。
・・・
沖縄タイムズ20141008
弁護側は、「被告には被害者が18歳未満との認識はなかったと強調。
仮に認識があったとしても、金銭を渡した被告の行為は買春行為に当たり「淫行の処罰を定めた県青少保護育成条例違反には問えない。児童買春・児童ポルノ禁止法は法と条例が重なる行為にいて、条例の効力を失わせている」と主張した。