児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

下着等買受罪は過失でも成立するのに、故意犯だと説明する実名の弁護士

 大抵の条例にはこういう規定があるんですが、「刑事事件専門」を謳う弁護士でもご存じないようです。
 相談者を安心させるには、まず、正確な知識であって、いい加減な知識で適当になだめていても、相談者が対応を誤るだけです。
 こういう相談はよくあって、田舎の警察だと、自称20歳が青少年かも知れないという申告を受け付けて調べてくれる可能性がありますが、めんどくさそうです。

東京都青少年の健全な育成に関する条例
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012150001.html
第二十八条 第九条第一項、第十条第一項、第十一条、第十三条第一項、第十三条の二第一項、第十五条第一項若しくは第二項、第十五条の二第一項若しくは第二項、第十五条の三、第十五条の四第二項又は第十六条第一項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第二十四条の四、第二十五条又は第二十六条第一号、第二号若しくは第四号から第六号までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
(平一六条例四三・一部改正)

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説h17
解説
本条は、・・・第15条第1項又は第2項の質受け又は古物資受けの制限、第15条の2第1項又は第2項の着用済み下着等の買受け・・・等の規定に違反した場合に、違反者は、その相手方の年齢が18歳に満たない者であることを知らなかったとしても、それを理由として処罰を免れることができないことを規定したものである。
本条でいう「過失」とは、注意すれば相手が青少年であるという事実を認識することができたのに不注意で認識しなかったことをいい、「この限りでない。」とは、過失がないと認められる場合は、消極的に本条の罰則適用を打ち消すとの意味である。すなわち、年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて責任を負わせないとしたものである。

Q 自称20歳からの下着買い受け行為 2014年06月05日 20時04分

A Y弁護士2014年06月05日 21時55分
女性が実際は18歳未満だった場合であっても,相手を18歳以上であると信じ込んでいたのであれば,犯罪は成立しません。
ご相談者様のケースでは,相手を18歳以上であると信じ込んでいたようですので,犯罪は成立していません。

もっとも,実際として犯罪が成立していなくとも,相手が事実18歳未満だったのであれば,犯罪の「疑い」をかけられる可能性は考えられます。
いきなり逮捕されることも,可能性としてゼロではありません。
ただ,今回のように,あくまで合意に基づく売買程度で,1回きりの話であれば,いきなり逮捕される可能性は,高くはないと思います。
万が一犯罪の疑いをかけられた場合でも,まずは警察から呼び出しが来るのが普通だと思います。

犯罪が成立しているとは限らない以上,特に自首をするメリットは少ないと思います。
万が一警察から呼び出しがあった場合には,弁護士にきちんと相談すれば,十分ではないでしょうか。

A 2014年06月06日 00時24分
非常にご不安な気持ち、お察しします。
おっしゃる通り、現実に捜査の対象になるなどした場合には、メールなどの証拠があれば強力です。ただ、残っていなくとも、こちらの話が一応筋が通っていれば、犯罪を証明する責任があるのは捜査機関ですから、こちらからの立証が必須というほどではありません。

さて、自首ですが、もちろん、一つの選択肢としてありえないわけではありません。犯罪は成立していないのですから、自首というより相談というべきかもしれません。それ自体は、警察には好意的に受け止められると思います。気持ちも落ち着くかもしれません。
ただ、警察が事件を認知している(知っている)可能性は低いでしょう。相手の女性もお金を稼ぎたくて売っているわけですから、自分から警察に被害届を出すというのは考えにくいと思います。こちらも連絡先が分からないので、警察が確かめるすべがないということです。真実を知りたくとも、警察も知りようがない、という可能性が最も高いと思います。

突然逮捕されたり、警察から呼び出されたりする可能性があるとすれば、相手の女性が被害届を出している場合です。しかし、それは相手の女性の行動からみて、あまり考えにくいのではないかということです。
ですから、今回のケースで検挙されることをそこまで心配される必要はないかとは思います。
が、どうしてもご不安な場合には、被害届が出ていないかだけでも警察に相談する、というのは一つの選択肢としてはありうるとはいえます(ただし、警察が教えてくれない可能性もありますし、「やぶへび」になる可能性もあります)。

Y弁護士 2014年06月06日 10時42分
18歳未満の相手から,相手が18歳未満と知って下着を買い受ける行為は,各都道府県の青少年保護育成条例に違反する可能性があります。
たとえば東京都ですと,30万円以下の罰金を科される罪となります(犯罪としては,軽微な部類に入るでしょう)。
※ お住まいの都道府県によって条例の内容が異なる可能性が高いのでお気をつけ下さい

(参考)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 青少年 十八歳未満の者をいう。

第十五条の二 何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。以下この条において同じ。)を買い受け、売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。

第二十六条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
四 第十五条の二第一項の規定に違反した者(第二十四条の四第一号に該当する場合を除く。)