児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

弁護士法72条の解説(条解弁護士法第4版)

 募集要項によれば、町は登録しなくても法律相談に当たらせるつもりだったようです。
 登録しないと弁護士ではありませんし、町から給料をもらって法律相談を受けると、「報酬を得る目的で」ということになります。
 よその自治体では職員が登録して自腹で会費を払っているようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130914-00000012-khks-l04
相談乗れば非弁行為? 富谷の弁護士資格職員、力発揮できず
河北新報 9月14日(土)8時48分配信
 宮城県富谷町が4月に採用した弁護士資格者の職員が期待された力を発揮できずにいる。職員は弁護士登録しておらず、法律相談に乗るなどすると弁護士法違反(非弁行為)に当たる恐れがあるためだ。町は13日、登録へ向けた条例改正案を町議会9月定例会に出したが否決され、状況を打開できなかった。

 町が任期3年の期限付きで司法修習修了者の職員採用を決めたのは昨年12月。当初は町民の法律相談や行政訴訟への対応などの職務を想定していた。公務員の兼職禁止に触れないよう、弁護士活動に必要な弁護士会への登録をしないのが条件だった。
 しかしその後、仙台弁護士会から「弁護士会に登録のない者が業務を行うと非弁行為に当たる」と指摘があり、町は法律相談などを自粛した。
 現在、職員は条例作成時の審査・助言などに当たっている。
 13日の町議会では、職員の給料を月7万7000円増額し、弁護士会への登録費用に充てさせる条例改正案が出されたが「精査が甘い」「採用時の条例から作り直すべきだ」などと批判され、7対11の反対多数で否決された。
 若生英俊町長は「町側の思いが伝わらず残念。高い専門性を持つ職員の有用性は想定以上で、活躍の幅が広がるよう対策を考えたい」と話した。

 募集段階では、町民との法律相談が期待されていたようです。

http://www.town.tomiya.miyagi.jp/html/doc/topic/ninki-saiyou-h24.pdf
平成 25 年度採用
富谷町特定任期付職員(弁護士)採用試験 受験案内
1. 募集に至る経緯と背景
? 平成 24 年 12 月 7 日、富谷町議会定例会において「富谷町一般職の任期付職員の採用等に関する条例」が可決され、同 21 日に施行されました。この条例は、「地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律」及び「人事院規則 23-0 任期付職員の採用及び給与の特例」の関係条項を準用しています。
? 富谷町としては、市制移行の準備期間にあたる平成 25 年から平成 27 年までの 3 年間、条例・規則をはじめ、諸法令の体系整備を図り、コンプライアンスの徹底に専門家の力量を求めています。
? 現在、行政書士司法書士、行政相談員、人権擁護委員などが連携して、業務諸法令にかかる法律相談を実施していますが、相談者の増加と業務諸法令以外の法律相談業務のニーズと事例が増加しており、その対応に弁護士資格を有する専門技能を必要としています。
? 職員として、地域実情を把握し、多様な相談実例を通して、将来の独立に資する機会と位置づけています。
? 企業や住民の増加により、法による解決、訴訟需要の増加が見込まれます。
2. 富谷町で働く魅力
? 町及び郡域内に弁護士事務所がない「空白地」にあり、弁護士資格を有する意欲ある方に、公務員としての身分を有し、安定的な収入を得ながら、弁護士としての資質を高め、早期に独立できる基礎を築くことができます。
? 3 年(本人の同意を得た場合は最長 5 年)勤務ののち、地元での法律事務所開業を支援します。
? 支給要件を満たした場合、3 年勤務で約 90 万円、5 年勤務で約 150 万円の退職手当が支払われ、事務所開業資金に充てることができます。
・・
ア 住民向け法律相談及び支援
児童虐待、DV 等事案に対する法的相談及び支援
ウ 滞納整理、債権管理の推進、助言
エ 条例、規則等の制定・改正に係る法制支援
行政不服審査行政訴訟等への対応
カ 職員のコンプライアンス法令遵守)向上に関する事務
・・・
(※1) 任期は、勤務実績等により採用日から 5 年を限度に本人の同意を得て延長する場合があります。
※ 採用後の弁護士登録は必須ではありません(町の訴訟代理人には選任しません)。
※ 任用期間中は、地方公務員として営利企業等の従事制限など地方公務員法の服務規程が適用され
るため、公務に専念することになります。
・・・
7.給与等
(1) 特定任期付職員の給与(月額)は、原則として次のとおりです。
試験区分 職 種 給料月額
特定任期付職員 政策法務担当
事務職員 298、000円
(2) 上記(1)のほか、地域手当、期末手当(6月、12月)、特定任期付職員業績手当(12- 4 -月)が支給されます。(年収480万円程度)
(3) 時間外勤務手当は実績に応じて、通勤手当は通勤距離・交通手段に応じて支給されます。
(4) 退職時には宮城県市町村職員退職手当組合条例の規定に基づく退職手当が支給されます。(3年の場合約90万円、5年の場合約150万円)
(5) その他勤務時間、休暇、服務関係等は任期の定めのない町一般職と同様です。

弁護士の会費、個人負担に変更 明石市、議会批判受け /兵庫県
2012.08.29 朝日新聞
 明石市は28日、任期付き職員として今春に採用した弁護士5人について、所属する弁護士会費の公費負担をやめる、と発表した。9月から個人で負担してもらう。市はこれまで、5人分の毎月の会費計19万5千円を公費で負担していた。
 明石市は職員のコンプライアンス(法令順守)の徹底や市民法律相談などを目的に5人を採用。弁護士登録がなければ市民法律相談などの業務が出来ないとして、県弁護士会と日本弁護士連合会の登録に必要な会費を市が負担してきた。
 ところが6月市議会で、「弁護士でなければ出来ない業務があるのか」と議会側から批判の声が上がった。泉房穂市長は「個人負担はありえない」と突っぱねていたが、議会運営が難しくなることなどを考慮して方針を変えたとみられる。
 4〜8月に支払った会費計82万3100円の返還は求めない。5人は個人負担に応じており、業務内容は変わらないという。
 明石市によると、今年1月現在で東京都町田市や大阪府池田市などの15自治体が弁護士資格を持つ職員を採用しているが、いずれも登録は個人負担。明石市だけが公費で負担していたという。

条解弁護士法第4版
P601
第9章法律事務の取扱いに関する取締り
【l】本章の趣旨
本章は,法律事務の取扱いに関する取締りについて3か条を設け,弁護士又は弁護士法人でない者が法律事務を取り扱うことを業としたり,法律事務取扱いに関する虚偽の標示をなすこと等を禁止している。
弁護士及び弁護士法人は,基本的人権の擁護と社会正義の実現とを使命とし(法1条・30条の2第2項),広く法律事務全般を行うことを職務とするものとして(法3条・30条の5),わが国の法律秩序が形成されているのであるが,弁護士又は弁護士法人でない者が他人の法律事件に介入して跋扈すれば,法律秩序が紊乱され,国民の公正な法律生活を侵害するに至ることは必定である。そこで,このような非弁護士(非弁護士法人)の行為を禁圧するために本章の規定が設けられたのである。
本章は,条文の数こそ3か条と少ないが,弁護士制度ひいては司法制度に関わる重要な規定であって,判例の数も弁護士法中最も多い分野の一つである。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条弁護士又は弁護士法人でない者は,報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件及び審査請求,異議申立て,再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定,代理,仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い,又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
ただし,この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は,この限りでない。

【l】本条の趣旨
本条は,非弁護士(非弁護士法人)の法律事務取扱いの禁止に関する中心的規定である。その立法趣旨については,最大判昭和46年7月14日刑集25巻5号690頁が,次のとおり判示している。
「弁護士は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし,ひろく法律事務を行なうことをその職務とするものであって,そのために弁護士法には厳格な資格要件が設けられ,かつ,その職務の誠実適正な遂行のため必要な規律に服すべきものとされるなど,諸般の措置が講ぜられているのであるが,世上には,このような資格もなしなんらの規律にも服しない者が,みずからの利益のため,みだりに他人の法律事件に介入することを業とするような例もないではなく,これを放置するときは,当事者その他の関係人らの利益をそこね,法律生活の公正円滑ないとなみを妨げ,ひいては法律秩序を害することになるので,同条は,かかる行為を禁圧するために設けられたものと考えられるのである」
この意味で,本条は,いわゆる公益的規定であると考えられるほお,本条違反行為の効力に関する福岡高判昭和35・11・22下民集11巻11号2552頁,福岡高判昭和37・10・17民集17巻5号749頁等参照)。
この点につき,本条の目的は弁護士制度の維持・確立であると説くものがあるが(福原・282頁),そのように弁護士制度に限定するのではなし国民の法律生活の面をも考慮して,弁護士制度を包含した法律秩序全般の維持,確立と解するのが妥当であろう。
なお,平成15年改正法は,隣接業種の業務の範囲を定める法律の規定と本条との関係を明確にするため,本条但書に「又は他の法律」との文言を加える改正をした


P609
【3] 本条の成立要件
本条は,その違反について法77条に処罰規定を置いているので, 同条の構成要件を定めるものとなっている。
その構成要件を要約すれば,次のとおりである。
? 弁護士又は弁護士法人でない者
? 法律事件に関する法律事務を取り扱うこと
法律事件に関する法律事務の取扱いを周旋すること
?報酬を得る目的があること
?業としてなされること
そこで,以下?から?までの各要件について解説する。
1 弁護士又は弁護土法人でない者
(1)弁護士となるためには,法4条, 5条又は6条の資格を有し,更に法8条により日弁連に備え置かれた弁護士名簿に登録をすることが必要である。また,弁護士法人となるためには,弁護士法人の設立登記が必要である(法30条の9)。本条の取締りの対象となるのは,上記以外の者全般であって,たとえ弁護士となる資格を持っていたとしても弁護士名簿に登録されていなければ(例えば,司法修習を終了しただけの者),ここにいう弁護士でない者に該当する。なお,法7条の欠格事由のある場合,その発生と同時に弁護士資格を失うから,欠格事由発生以後になされた行為は,本条違反となるものである。


P611
2 報酬を得る目的
(1) 本条の取締りの対象となるには,報酬を得る目的のあることが必要である。
従って,本条違反の罪は,目的犯の性格を有するものである。
報酬を得る目的があるときに限って取り締まることとしたのは,法律事務を取り扱う者の法律知識がどの程度であるかについて何らの保証もないのにかかわらず,その不正確な知識に基づく活動に対して対価を取るということ自体が不当であること,事件を依頼する側の法律知識の欠如に付け入って不当に高額の報酬を取る弊害を防止する趣旨が含まれているからである,と説明される(福原・286頁)。
本章前注で述べたとおり,本条の前身である法律事務取扱ノ取締ニ関スル法律制定の際,一部に,非弁護士の存在にもある程度の意味があるとしてこれを容認する意見がみられ,弁護士側の一律全面禁止論との調整が図られたのであるが,この[報酬を得る目的があること」という要件もその調整の産物と見るべきものである(福原・286頁)。
従って,報酬を得る目的がなければ本条違反の罪は成立しないから,無料で奉仕する場合,大学の法学部等で教授,学生が無料法律相談を実施する場合,全く報酬に関係なく法律上の助言や指導を行う場合等は,本条違反にならない。
(2) ここにいう「報酬」とは,具体的な法律事件に関して,法律事務取扱いのための主として精神的労力に対する対価をいい、現金に限らず,物品や供応を受けることも含まれる。また,額の多少や名称のいかんも問わない,とされる(大判昭和15・4・22新聞4570号9頁は, l円50銭の供応でも報酬に該当するとしている)。委任事務処理上の必要費で,民法650条による償還請求が可能な費用(実費といわれるもの)については報酬の認定は慎重でなければならない。しかし,実費名目であってもその実質が法律事務取扱い又は周旋の対価である場合には報酬に該当するので,その実質についての慎重な検討が必要である。
報酬を受けるについては,必ずしも事前に報酬支払の特約をした場合に限られず,法律事務を処理するにあたり,事件の途中あるいは解決後に依頼者が謝礼を持参するのが通例であることを知り,これを予期していた場合でも,報酬を得る目的があるというを妨げない(東京高判昭和50・1・21東高刑時報26巻l号4頁 名古昆地判昭和47・2・10福原・加除式弁護士法535の53頁)。
報酬を得る主観的な目的があれば足りるから,現実に報酬を得たことによって本条違反の罪が成立するものではないことはもちろんである(前掲東京高判昭和50・8・5)。
また,報酬は,事件を依頼する者から受け取る場合に限らず,第三者から受け取る場合であってもよいと解するべきである。例えば,法律相談を業とする者が,無料法律相談と称して相談者から報酬を直接受け取らなくとも,その場所を提供している者等から報酬を受け取っていれば,本条に違反するとすべきである。更に,周旋については,周旋を依頼する者と周旋を受けた者の双方から報酬を受けた場合だけでなく,一方のみから受けた場合であってもよい。
しかし,報酬は,法律事務を取り扱うことやこれらの周旋をすることと対価的関係に立っていることが必要であり(ここにいう「対価的関係」とは,「等価」関係の意味ではない。報酬の額の多寡は関係ないことは前述のとおりである),直接的,間接的を問わず,この対価的関係がないときは,本条違反の罪は成立しないものと解される。けだし,「報酬」という概念は,一般に,一定の役務の対価として与えられる反対給付をいうものであって,対価的関係が当然の前提となっているものと解されるし,この要件を不要とすると,処罰の範囲が無限定になってしまうからである。従って,社交的儀礼の範囲内にあるとみられる季節の贈答等は,一般に報酬とはいえないであろう