児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

須賀正行「元検察官のキャンパスノート 児童ポルノ」捜査研究750号

 紹介されている判例の弁護人は全部奥村弁護士です。
 裏返せば、弁護人が奥村でなければ、捜査機関はそう構える必要はありません。

はじめに今回は,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」について,「児童ポルノ処罰法」としての側面から検討することとします。
なお,いつものことですが,意見にわたる部分は筆者の個人的見解であることをお断りしておきます。
また,事柄の性質上,「児童買春処罰法」としての側面からの解説(本誌749号)と重複する部分があることをあらかじめお断りしておきます。

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児童の承諾に関して,被告人の児童との交際は真撃なものではなく,相思相愛の関係で児童の承諾があっても社会的に相当とはいえないとして,第7条第3項の児童ポルノ製造罪の違法性阻却が認められなかった事例があります(前掲札幌高判平19.3.8高裁刑事速報19・504)。これを裏返せば,児童との真撃な交際が社会的に妥当とされる場合に,その交際している者が児童の承諾のもとで性交しあるいは全裸の写真を撮影するなど,児童の承諾があり,かつ,この承諾が社会的にみても相当であると認められる場合には,違法性が阻却され,犯罪が成立しない場合もあり得るということになります。
「児童の承諾を受けている」との主張がなされることも多々あるかと思われますが,その場合には,その承諾が社会的に相当と認められるか否かの捜査を尽くす必要があると思います。

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4 捜査・取調べの留意事項
<捜査上の留意点〉
① 年齢知情
② 児童に姿態をとらせたこと
→第2条第3項各号の姿態
③ 被写体となる児童の,児童ポルノの製造に対する同意の有無
④ 真剣交際の抗弁の排斥
<被害児童の取調べ>
・なぜ,児童ポルノの相手方となったのか,その動機・原因小遣い銭が欲しかったという場合,月々家族から貰う小遣いの額やその使途を確認する必要があります。
−相手方を知った経緯
出会い系サイト,友人からの紹介等
.性交か性交類似行為か
−受け取った対償の使途状況
く被疑者の取調べ〉
(1) 犯行の動機・理由
① なぜ児童ポルノ製造行為に及んだのか
−他人に提供する目的の有無
② 相手方児童を知った経緯・方法
−インターネット出会い系サイトを利用していないか
.会員登録していないか
・他の児童の紹介を受けていないか
(2) 犯行の日時の特定
(3) 犯行場所の特定
−所在地
・建物の概要(ホテル・ラブホテル等)
(4) 年齢の知情(捜査上の留意点を参照してください。)
・いくつに見えたか,児童であることの認識の程度
−年齢を確かめた・ー児童と知ったうえで姿態をとらせ描写したのか
(5)犯行状況
−姿態をとらせた状況
−性行為,性交類似行為,全裸等
・描写方法…写真撮影,電磁的記録に係る記録媒体
(6) 犯行後の状況
(7) 提供(販売等)目的所持
−所持の形態,場所
(8) 収益の隠匿状況
−犯罪行為によって収益を得たことその収益取得の仮装方法等
(すがまさゆき)