児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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仮納付の裁判(法三四八)が略式命令の付随の処分中に含まれるかどうかの問題について

  判例 福岡高裁H26.2.26 http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20140306#1393832926

略式手続の研究s32(裁判所書記官研修所資料)P50
付随の処分
仮納付の裁判(法三四八)がこの付随の処分中に含まれるかどうかの問題については、積極、消極の両説がある。
仮納付が略式命令において消極に解される根拠として、刑の執行猶予の如く明文がないこと(法四六一)、仮納付の裁判の執行後、正式裁判の申立があった場合の措置についてなんら規定がないこと等があげられ、その他略式手続制度の特質等から疑問とされている。

裁判所書記官研修所昭和二八・二研修資料第六号「刑事実務の研究」一九〇〜一九二頁参照。
しかし、事件によって、略式命令の請求があった即日略式命令を発するような場合には、仮納付の裁判をすることは実益があるところから、これを積極に解すべきではなかろうか。正式裁判を申し立てた場合、・既に執行した仮納付金の措置について疑問があるが、東京簡易裁判所では、交通事件の略式命令については仮納付を命じている例がある(註)。


第一九回会で成立公布された「交通事件即決裁判手続法」(昭和二九年法律第一一一二号)は次のように規定されている。
第十五条裁判所は、即決裁判の宣告をする場合において相当と認めるときは、附随の処分として被告人に対し、仮に罰金又は
科料に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。

書記官研修所研修資料第6号「刑事実務の研究」1953 p190
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略式命令と仮納付の裁判
略式命令においては、仮納付の裁判は言渡すことができないものと解する。
略式手続は、通常の公判手続とはその性格を異にするもので、公判を聞くことなく従って口頭弁論、証拠調等の手続によらず、専ら書類叉は証拠物によって事実を審査し、罰金、科料につき略式命令を以て科刑、没収その他の附随処分を科することのできる簡易な訴訟手続であるところから、新法においては、略式手続につきその機能に、諸種の制限を閉して取扱の慎重を期することとした。
そこで略式命令において法第三四八条の仮納付の裁判を言渡すことができるかの問題であるが、同条の規定によると、罰金、科料叉は追徴を言渡す場合において、仮に罰金、科料叉は追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならないとしている。
一方略式手続に関する法第四六一条第一項には、略式命令では、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他附随の処分をすることができると規定するため、右の仮納付の裁判が、実体的終局裁判の附随処分と解せられるところから、略式命令においても仮納付の裁判の言渡をすることができるとの見解(註一) も存するところである。
しかしながら、略式手続が害面審理に基く簡易な訴訟手続であるという性質上の問題と、通常手続の規定は特に定める場合のほか時式手続にはその適用がないとすること、叉法第四六一条第一項には、刑の執行猶予の如く仮納付につき明文がなく、且司令仮納付の裁判庁執行後正式裁判の請求があった場合の措置について何等の規定がない。更にまた法第三四八条第二項には、仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡しをしなければならないとする規定等の上から彼此考察して、略式命令においては、仮納付の裁判は言渡し得ないものと解する(註二)
(註二)
(消極説)
ー、略式命令についても、附随処分として仮納付の裁判をすることができるかどうかは問題である。刑の執行猶予の如く明文がないこと(法四六一〉及び執行後略式裁判の申立があった場合の措置について何等規定がないことから否定的に解すべきであろうか。(横井新刑訴解説一四五頁)
2、略式命令で「仮納付」の言渡をすることができるかどうかは、略式制度の特質にかんがみ(法四六一Iの解釈)多少の疑問がある。(横川刑事裁判の実際一五五頁〉
3、仮納付の裁判を言渡しうるのは、罰金、科料、追徴の場合であるが、略式命令(四六一条)については言渡し得ないものと解する。(滝川外二名刑訴コンメンタール五〇〇頁)
4、問 略式命令については仮納付を命じ得るか。
 命じ得ない。(刑事裁判資料第六七号三二二頁)
5「略式命令をする場合に附随の処分をすることができるのは現行法と異ならないが、この場合新法が新たに設けた仮納付の裁判(新法三四八条)がこれに含まれるかの問題がある。しかし仮納付の裁判は、ただちに執行力を生ずるのであるから、公判審理に基く判決で言渡すのが相当であるので、略式命令でするのは許されないと考えるべきであろう(岸義解七二頁、刑訴下学説判例便覧七一一頁所載)