児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「一部報道で被害者の母親の実名が報じられたことで社会的不利益が生じた」という量刑理由(高裁那覇支部H25.6.6)

 弁論終結前に被害弁償が行われれば、弁償しない場合に比べて犯情が軽くなるから考慮されるのは当然で、2項破棄になります。刑事損害賠償命令が出ている場合には、被告人からすれば弁償関係の立証が容易になります。(ある高検検事が、原審裁判所の刑事損害賠償命令を不同意にしたことがありますが、高裁から注意されていました)
「一部報道で被害者の母親の実名が報じられたことで社会的不利益が生じた」というのは、原判決でそれを被告人に不利益に考慮したのを訂正したのだと思います。
 原判決は那覇地裁H24.6.15だと思われますが、勾留されていれば未決勾留日数の法定通算がありますので、実質刑期は懲役5年たらずになります。強姦既遂罪1罪の量刑としては「並み」です。

 しかし、琉球新報と沖縄タイムズって、コメント取りに行く識者も共通なんですね。

暴行の義父 1年減刑/高裁那覇「量刑維持は酷」
2013.06.07 沖縄タイムス
 2010年当時、沖縄本島内に住む小学生の義理の娘に暴行を加えたとして、性的暴行の罪に問われた被告の男の控訴審判決公判が6日、福岡高裁那覇支部であった。今泉秀和裁判長は懲役7年とした一審那覇地裁判決を破棄し、懲役6年を言い渡した。
 判決理由で今泉裁判長は「被害者の養父という立場を利用した人倫にもとる行為で、犯行は悪質極まりない」と指摘。被害者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、通学が困難になったことなども考慮し「刑事責任は相当に重い」とした。その上で、一審判決の量刑は「言い渡しの時点では、重すぎて不当とはいえない」と述べた。
 しかし、一審判決後に被告が損害賠償命令に基づく賠償金約880万円を支払ったことや、一部報道で被害者の母親の実名が報じられたことで社会的不利益が生じたことなどを踏まえると、一審判決の量刑維持は「いささか酷である」とし1年の減刑を言い渡した。

 同裁判は、家庭内暴力を受けた未成年の被害者が公判で傍聴し、意見陳述する異例の内容で、被害者らは被告に厳罰を求めていた。

 判決について強姦(ごうかん)救援センター・沖縄(REICO)の高里鈴代代表は「納得いかない判決だ。行為自体ではなく、社会的制裁があったかどうかで減刑されるのはおかしい。総じて性暴力に対する量刑が軽いのは問題だ」と批判した。

 沖国大の中野正剛教授(刑事法)は「減刑の理由は一審判決後、被告が裁判所の命令に素直に従い、賠償金を支払ったことが大きい。ただ、これで終わりでなく今後被告がいかに更生するかが問われる」と指摘した。

義父性的暴行/判決に被害者「短い」/識者、減刑理由に疑問も
2013.06.07 琉球新報

 被害者本人も家族らと傍聴席に座り、被告に言い渡された刑を見届けた。判決を聞いた被害者は一言「こんなものなのか」。母親から一審より刑が短くなる可能性があると聞いていたものの、一審と同様に「短い」と感じたという。

 一方、性犯罪に詳しい村上尚子弁護士は、損害賠償金の支払いが、減刑理由として考慮された点について「本来被害者が、量刑かお金を取るかの選択を迫られるのはおかしなこと」と指摘し、犯罪行為に対する処罰とは区別して、被害弁償が確保されるような在り方が望ましいと話している。

 また被害者の母親の実名報道が、被告の社会的不利益につながったことについて「被害者側の行動が量刑に影響するならば、被害者側は(公判中は)黙って暮らしていかないといけない」とし、犯罪被害者が萎縮することを懸念した。

 「強姦救援センター・沖縄(REICO)」代表の高里鈴代さんは懲役6年の判決に「軽い」と憤る。「性犯罪の量刑はそもそもすごく軽い。見舞金を払えば、相手が受け取らなくても反省の意思を示したことになり、減刑が計算されていく。罪の深さを考えれば、量刑はこんなものであるはずがない」と指摘する。

 被害者と母親には「被害から何年もかかって、やっと判決までたどり着いた。よくここまで頑張ったと思う」と話した。

 沖縄国際大の中野正剛教授(刑事法)は、減刑された理由について「損害賠償命令に素直に従った態度を酌量事由として取り入れたと感じる」と話した。

未成年被害者 異例の陳述/義父暴行控訴審初公判 高裁那覇支部/「一生刑務所に入って」
2013.05.11 沖縄タイムス

 2010年当時、沖縄本島内に住む小学生の義理の娘に暴行を加えたとして、性的暴行の罪に問われた被告の男(31)の控訴審初公判が9日、福岡高裁那覇支部(今泉秀和裁判長)であり、被害者が法廷で傍聴し、意見陳述した。未成年の被害者が陳述するのは異例で、被告に対し「一生、刑務所に入ってほしい」と厳罰を求めた。

 検察側は控訴棄却、被告側は減刑を求め、即日結審した。判決は6月6日。

 12年6月の一審判決は、被害者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、通学が困難になったことなどを重視。被告に懲役7年の実刑を言い渡した。被告側は暴行の事実を認めた上で、量刑が重いことを不服として、控訴していた。

 公判では、裁判長が代読する形で被害者が意見陳述した。「母が一緒じゃないと外出できず、犯人が来るのではと怖い。最初の判決は7年と短い。犯人は絶対許さない。一生、刑務所に入ってほしい」と述べた。

 母親も証人尋問で「娘には一生消えない事実が残った。周りの人も傷ついている」と訴えた。

 一方、被告側は「被害者の精神的負担のすべてを被告人に負わすのは必ずしも妥当でない」として減刑を求めた。

暴行の男に懲役7年/那覇地裁判決
2012.06.16 琉球新報朝刊 31頁 社会 1版 (全186字) 

 2010年に、未成年の女子と性的行為に及んだとして強姦(ごうかん)の罪に問われた被告の男(30)の判決公判が15日、那覇地裁であった。鈴木秀行裁判長は懲役7年(求刑同10年)を言い渡した。
 判決では、被告の男の犯行動機に酌量の余地はないとした。女子の被害は甚大で、被害者家族も厳罰を望んでおり、同被告が反省し、被害弁償を申し出ていることを考慮しても懲役7年が相当とした。
琉球新報社