児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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参議院予算委員会H25.5.8の児童ポルノ・児童買春

第183回国会 参議院予算委員会 第15号
平成二十五年五月八日(水曜日)
山田太郎君 またこの問題は引き続きやっていきながら、何とかして総理が言われる美しい国日本を私も守っていきたいと思っております。
 さて、ちょっと時間の関係で順番を入れ替えまして、児童ポルノ規制法について少し聞きたいと思っています。経済連携というテーマで政府が進めるクールジャパンの政策の一端を担います日本のアニメ文化、それに対する表現規制に関する質問です。
 まず、児童ポルノ禁止法という法律が平成十二年から施行されています。児童ポルノの取締りについて、数字だけ簡素に、警察庁、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(岩瀬充明君) お答え申し上げます。
 児童ポルノ禁止法第七条に定める児童ポルノ事犯の検挙件数、検挙人員でございますけれども、同法施行直後の平成十二年には百七十件、百六十四人でありましたが、その後大きく増加をしておりまして、平成二十四年には千五百九十六件、千二百六十八人の検挙と、いずれも過去最高を記録しているところでございます。
山田太郎君 まさに、児童ポルノに関する取締りが強化されまして、送致件数が最近急速に増えているということだと思います。そして、この二〇〇九年の国会に提出されて、当時廃案になりました児童ポルノ禁止法の改正案をまた再び国会に再提出することが自民党内で検討されています。私どものみんなの党の方にも説明に来ていただきました。
 ここで、日本の漫画やアニメの文化にお詳しい麻生副総理にお伺いしたいと思っているんですけれども、児童ポルノ禁止法の第二条三項の児童ポルノの定義はかなり不明確なところがあると思っています。この児童ポルノ規制の目的は、実在する被害者の児童を児童ポルノの写真や映像から守ろうというのが趣旨だと思います。
 しかし、今回の自民党が準備していらっしゃる法案は漫画、アニメ自体にも規制を拡大しようと、検討の附則事項が付いた法案となっています。しかし、アニメとか漫画には被害者はいません。漫画やアニメの登場人物は全て非実在の空想の創造物だからです。この創造物である日本の漫画やアニメにまでこの法案を適用するのはかなり混乱をするのではないかと、こんなふうにも考えています。第一、漫画やアニメの中で想像上の登場人物の肌が少しでも見えていたら行き過ぎた自主規制が行われて、日本の漫画やアニメが面白くなくなる、また廃れてしまうのではないかと危惧しております。是非ここのところを麻生副総理にお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣麻生太郎君) 好きそうな人がいっぱいいますけど、少なくともこれは所管外の話ですので、ちょっと私にあれを求められても困るんですが。
 これ最初にこの児童ポルノの規制というのを始めたのは、私が自民党の何かしているときにこれやらせていただいたのが最初だったので、それは一番最初。そして、今ではポルノの漫画、児童ポルノのところには成人という黄色に丸のやつで付けて黒字で成人と書いたものをしなければならないとか、一・二メーター以上、子供の手の届かないところにしなくちゃいかぬとかいうようなことにさせていただいたのが、私のときにやったのが最後の記憶ぐらいなんですが、現実問題として、今言われたように、これは表現の自由とかいろいろなものと関係するところで、当時、出版元と随分いろいろやり合った記憶がありまして、それ以後、随分、表現はかなり昔に比べれば良くなったんではないかとは思っております。
 ただ、この種の話は、これは多分議員立法で出しておられるんだと思いますので、これはちょっと山田さん、これ誰が自民党でやっているんだか知りませんけど、それと直接話をされていろいろやられた方がいいんであって、財務省に持ち込まれてもちょっと所管外という感じがいたします。
山田太郎君 麻生副総理なら理解していただけるかなと思って今回麻生副総理を指名させていただきました。表現の自由ということで憲法にもかかわる問題ですので、この件、安倍総理にもお伺いしたいと思いますが。
 実は、この自主規制、一九九九年十月時点でもうかなり自主規制がありまして、文化庁メディア芸術賞で大賞を取りました複数の漫画すら、この児童ポルノ法が通ったときに、紀伊国屋書店五十七店舗、それから大阪の旭屋書店、そんなところからもうなくなってしまったという事態を生み出しました。実は、水島新司先生の野球漫画「ドカベン」、つまり、私と同じ名前の山田太郎という人が主人公の漫画なんですけれども、その中でも八歳以下のサチ子という妹が入浴シーンで出てきておりまして、こんな本なんかも発禁本になる可能性もあると。そんなことが自主規制、あるいはまかり通りますと、私としてもちょっとこれはゆゆしき事態だなと、こんなふうに思っています。隣の国、韓国におきましても、やっぱり同種の規制を行ったために自主規制を始めて漫画やアニメが大きな影響を受けていると、こういうふうに聞いています。
 今、クールジャパンということで、非常に日本の若者の大切な大切な漫画やアニメ、この大きなうねり、流れを台なしにしないように、特に今憲法改正の議論もしています。憲法第二十一条の表現の自由のその先にあることがこの表現規制なのかと、こういうふうに疑われても仕方がないのかなと、こんなふうに思っております。
 是非、そういった点で、総理、この法案が国会に提出された場合に、総理自身あるいは自民党総裁としてどのようにお考えになって対処されていくか、お答えください。
内閣総理大臣安倍晋三君) 児童ポルノ禁止法については、議員立法として今後提出が検討されている改正案についてのお尋ねでございますので、現在検討中のものであるというふうに承知をしております。ですから、詳細について私がコメントすることは差し控えさせていただきたいとは思いますが、御指摘の実在しない児童を描写したアニメ等に関しどのような規制が必要なのかという問題については、こうしたアニメ等が児童を性の対象とする風潮を助長するおそれがあるという一方で、今、山田委員がお話をされたような表現の自由との関係もございますので、私は、慎重な考慮が必要であるということについてはそのとおりなんだろうと、このように思います。慎重な考慮が必要である面も踏まえながら検討を言わば慎重に進めていくべきものであろうと、このように思っております。
山田太郎君 しつこいようですが、一点、そのことで。小説においてはオーケーで、漫画、アニメは駄目なんでしょうか。仮に、漫画、アニメに関して検討されるんであれば小説はなぜ検討しないのか、その辺の差も是非、表現の自由という観点で総理からお伺いいただければと思います。
国務大臣麻生太郎君) 山田さん、これは時代とともにでして、世の中は表現は変わっているんだと思いますけれども、昔、発禁になった小説というのは幾つもありまして、今の私のところのせがれやら何やら見せても、これが何で発禁になったか理解しないと思います、普通にまかり通っている表現だから。だから、それは時代とともに表現が随分変わってきたことは確かだと思いますが、小説の方が子供が読まないんですよね。漫画の方が子供が読むものだから、どうしても漫画の方に目が行くというのが一番大きな、この種の話になっていった背景だというのだけは言えると存じます。
山田太郎君 この問題も非常に憲法にも抵触する重要な問題だと思いますので、引き続き議論をしていきたいと思っています。
 さて、次、シェールガスの話に移りたいと思います。