児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

出会い系サイト規制法違反で少年が「書類送検」という報道と「児童も処罰される可能性がある」という弁護士のコメント

  「人を児童との性交等・異性交際の相手方となるように誘引すること」ということだろうと思いますが、インターネット事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律6条2号・4号違反は罰金刑・5号違反は罰則なしですので、少年法41条で警察から家裁に送致されることになっています。「送検」というのは誤報です。毎日も読売も誤報です。
 違反した児童は保護処分になって、刑罰は科されませんので、「処罰される可能性がある」というのも誤りです。

インターネット事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律
第二章 児童に係る誘引の禁止
第六条  何人も、インターネット事業を利用して、次に掲げる行為(以下「禁止誘引行為」という。)をしてはならない。
一  児童を性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、他人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)の相手方となるように誘引すること。
二  人(児童を除く。第五号において同じ。)を児童との性交等の相手方となるように誘引すること。
三  対償を供与することを示して、児童を異性交際(性交等を除く。次号において同じ。)の相手方となるように誘引すること。
四  対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。
五  前各号に掲げるもののほか、児童を異性交際の相手方となるように誘引し、又は人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。
第三十三条  第六条(第五号を除く。)の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。

少年法
司法警察員の送致)
第四十一条  司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

出会い系サイト巡り 少年2人を書類送検=長野
2013.04.27 東京朝刊 33頁 (全244字) 
 佐久署と県警少年課は26日、出会い系サイト規制法違反(禁止誘引行為)の疑いで少年2人を長野家裁上田支部書類送検した。
 発表によると、書類送検されたのは千葉県船橋市、中学3年男子(14)と東京都新宿区、高校1年男子(15)。
 中3男子は1月中旬頃、自宅で携帯電話を使って、高1男子は2月上旬頃、自宅で携帯ゲーム機を使い、それぞれインターネット上の無料掲示板に自分のわいせつな行為の相手となるよう誘う書き込みを行った疑い。2人は「15歳です。エッチなお姉さんいませんか」などと書き込んだという。
読売新聞社



出会い系サイト規制法違反:少年2人、容疑で書類送検 /長野
2013.04.27 地方版/長野 19頁 (全256字) 
 佐久署と県警少年課は26日、千葉県船橋市の中学3年の男子(14)と東京都新宿区の高校1年の男子(15)を出会い系サイト規制法違反(禁止誘引行為)容疑で家裁上田支部書類送検した。
 送検容疑は、男子中学生は1月中旬、自分の携帯電話を使ってインターネット上の異性を紹介する無料掲示板サイトに、自身が18歳未満であることを明らかにしてわいせつ行為の相手を誘う書き込みをした▽男子高校生は2月上旬、自分の携帯ゲーム機を利用して同じサイトに同種の書き込みをした――としている。2人とも容疑を認めているという。【野口麗子】
毎日新聞社

 少年法41条で保護処分になるので、ドットコムの弁護士が「書き込んだのが児童でも処罰の対象となり得ます」と言っているのも誤りですね。制度上最悪少年院です。施行前後の国会でも重ねて確認されています。

http://www.bengo4.com/topics/361/
児童が関わる「エッチな行為」への誘いは、子どもが書き込んでもアウト
まず、「出会い系サイト規制法」とは何か。
「いわゆる出会い系サイトの利用が原因となって起きる犯罪から、児童(18歳未満の少年少女)を保護する法律です。出会い系サイトの掲示板に、児童との異性交際を求める書き込みをすると『禁止誘因行為』にあたり、違反した際には100万円以下の罰金となります。
注意点は、この法律が児童からの誘いかけも規制していることです。児童を性交等に誘う書き込み、たとえば『エッチできる女子中学生連絡希望』などの書き込みがダメなのはわかりやすいですが、それだけでなく『人を児童との性交等の相手方となるように誘引する書き込み』は全て禁止されているのです。書き込んだ内容がこれに該当する場合、書き込んだのが児童でも処罰の対象となり得ます」

156-参-内閣委員会-12号 平成15年06月03日

○吉川春子君 これは正にストックホルム宣言とかそういうところからきているわけでございますが。
 それで、この法律が施行されますと、少女は出会い系サイトに書き込みをしたかどうかについて取調べを受けることになりますね。書き込みをしたことが分かると逮捕される場合もあるんですか、法務省、伺います。

○政府参考人(河村博君) 逮捕の要件を満たしておれば、身柄が法律に従って確保されるということになってまいります。

○吉川春子君 要するに、買春行為自体は法律で処罰されませんから、それまでなんですね、少年少女に対して。しかし、今度はインターネット、出会い系サイトの規制法で書き込み行為そのものを処罰しておりますので、罰金刑で処罰しておりますので、今度はその少女が書き込み行為をしていたかどうかということも捜査の対象になり、逮捕の要件が備わっていれば逮捕される、こういうことになるわけですね。
 そして、この本法に違反した児童が罰金刑が科せられるわけですけれども、その後どういう経過をたどるのか、その辺も法務省にお伺いいたします。

○政府参考人(河村博君) 御指摘の罰則につきましては、法定刑は罰金刑のみということでございますので、司法警察員は、罪に当たる、失礼、本法案六条に当たる罪を犯したと思料されますときには、検察官を経ずに直接家庭裁判所に事件送致がなされることになりまして、家庭裁判所におきましては、調査の段階で少年の要保護性が解消されて審判に付するのが相当でないと認めます場合には審判不開始の決定を、また調査の結果、審判を開始するのが相当と認められ、審判が開かれた結果、保護処分に付する必要がないという場合には不処分の決定、それ以外には保護観察等々の保護処分をすることになるわけでございまして、身柄の取扱いにつきましても、家庭裁判所におきましては、審判を行うために必要があるときなどに観護措置を取る、その上で、当該少年の健全育成を図る見地から最終的に適切な処分を行うということでございます。

○吉川春子君 その流れは分かりました。
 そのときに、少女の身柄拘束といいますか、それは具体的にどういう日数になりますか、お示しください。

○政府参考人(河村博君) 先ほども申し上げましたように、身柄拘束という要件に当たります場合に、もちろん少年でございますのでその辺配慮した取扱いを一般にいたしておりますけれども、必要であるということであれば拘束いたしまして、ただ勾留ということにつきましても、少年の場合には特別の扱いをしてまいるわけでございます。家庭裁判所におきましても、少年鑑別所におきまして必要な場合には観護措置を取ってまいるということでございます。

○吉川春子君 検察庁へ送らないということですから、逮捕勾留で最大二十二日、そして家裁では二週間、一回更新ということで四週間、こういう形で、その後、少年院一年から半年と、こういう形で、もちろん全部その要件がある場合ですけれども、そういう形で取り運びされるわけですよね。
 今は、とにかく少女買春、買春の相手方になっただけでは全く処罰されませんから、そういう目に遭うことは一切ないわけです。私は、警察なり家裁なりが少年ということを十分に配慮した取扱いをするべきだし、するべきものと考えておりますけれども、いろいろな場合はそういう法的な取扱いを受ける可能性が残されている。だから、やっぱり非常に少年少女にとっては負担の掛かることになるのではないでしょうか。
 何か間違っていたんですか、答弁が。

○政府参考人(河村博君) 申し訳ございません。
 先ほど一般論としての勾留の話をいたしましたですが、検察官を経由いたしませんので、直送ということで身柄の取扱い、鑑別所に参ります。また、罰金ということでございますので、これは観護措置期間ということで申しますと、原則二週間、最大更に二週間という、それが最大でございます。

○吉川春子君 ですから、私ちゃんと検察官に行かない一日を差し引いて今言いましたでしょう。それは答弁のとおりなんです。
 警察庁に伺いますけれども、出会い系サイトの規制によって、児童買春・ポルノ禁止法で買春の相手となった児童を処罰していない今の法律が全く無意味になってしまう。私は、こういうことは許されないと思うんですね。
 出会い系サイトの規制法案でも、今回の法案でも、児童買春その他の犯罪から児童を保護することを目的としているにもかかわらず、出会い系サイトへ書き込んで買春を誘引した児童を処罰する。これはやっぱり保護されるべき児童を処罰することになる。国際的な潮流にも反するんじゃないんですか、さっきから反しない、反しないとおっしゃっていますけれども。私は、実質的には大変負担を伴う、その後の手続に付される可能性があるという点で。処罰をすることは、してはならないというそういう理念とは逆のものだと思います。どうですか。

○政府参考人(瀬川勝久君) 現在の法体系とこの法律案が成立した場合の児童の処遇の違いという点についてのお話だろうと、御指摘だろうというふうに思います。
 私どもは、二つあるのではないかというふうに思います。
 一つは、この法律案の一番のねらいとするところは、実際に児童買春であれその他の犯罪であれ、具体的な犯罪被害に児童が遭う前にそれを防止をしようという考え方でございます。したがいまして、例えば今六条の事業者規制による各種の児童利用に対する規制という規定も本法律案ございますが、それと同時に、今御指摘、議論の中心になっております六条の不正誘引行為をした児童という点について見たときに、本法律案の考え方といいますのは、具体的な児童買春等の行為に至る前に、その不正誘引の書き込みをした段階でその児童に対して措置を講じて具体的な犯罪の被害を防止する、あるいは不正誘引のはんらんによる児童一般に対する悪影響を防止する、こういう考え方でございます。
 現状では、例えばインターネット、事業といいますか、この出会い系サイトに現在でも大変何といいますか、破廉恥とも言うような書き込みが行われているわけでございますが、それ自体が別に犯罪になるわけではございませんので、現在のインターネットの匿名性の状況からすれば、その児童を具体的に特定をして、その児童に対して何らかのケアをする、あるいは立ち直りの機会を与えるということができないわけでございます。
 この六条について、不正誘引について禁止をし、罰則を設けることによりまして、この段階においてその児童を具体的に特定をし、その児童に対する適切な処遇を図ることができるということでございます。
 それから、もう一点でございますが、現実に児童買春等の犯罪に至った場合に、今までは罰せられなくて今度は罰せられるということでございますが、実際にそういう現場に、現場といいますか、事態に発展した場合におきましても、その児童につきましては、確かに六条の不正誘引行為違反ということは成立をいたしますけれども、そもそも少年事件の取扱いとしまして、警察はその少年の健全な育成を期する精神をもって当たる、あるいはその規範意識の向上、立ち直りに資するように配意するという考え方に立っておりまして、その考え方に基づいて捜査に当たるということでございますし、身柄の拘束のお話もございましたけれども、これは私どもとしましては、少年事件一般について、犯罪捜査機関において身柄の拘束は少年についてはなるべくこれを避ける、やむを得ない場合を除き、任意捜査の方法により捜査を行うのが原則だと、こういう考え方で少年事件に当たっております。
 また、この法律は、法律に違反した場合でも罰金刑でございますので、身柄を拘束する場合というのは極めて特殊な場合に限られることになるだろうというふうに考えております。
 しかし、さらに、その場合であっても、先ほど法務省の方からも御説明ありましたとおり、家庭裁判所に直接送られるということでございますので、そこにおいて本当に少年に最も適切な処遇がなされ、そして立ち直りの機会が与えられる、こういうことになるだろうというふうに考えております。

○吉川春子君 いろいろとおっしゃいましたけれども、正に逮捕されて、その後の身柄の拘束、あるいは最後は少年院へ行くかもしれない、こういう状況の中で、一年近くあるいは一年以上、こういうふうに身柄の拘束に遭う、手続に乗るということは間違いないんであって、警察が濫用するかしないかという問題は別といたしまして、手続的にはそういうところに置かれるということが問題なんですよ。
 それともう一つは、実際にその買春の相手方になった少女を、これは子どもの権利条約や、あるいはストックホルムあるいは横浜の会議の国際的な合意で、こういう子供は被害者なんだから処罰しないんだと、こういうふうになっているにもかかわらず、こういう少女が実際にはそういう形で身柄の拘束、長きを伴う、そういう罰、罰金でも刑罰ですよね、刑法にちゃんと書いてありますけれども、そういうことを処するということが私はおかしいのではないかと指摘しているわけです。
 書き込んだときに何か危険が生ずると。ほかの大人が見てそれでやるかもしれない、あるいはほかの子供たちに悪い影響が与えるかもしれない、こういう理屈でもって、現に買春の相手方となった被害の具体的に発生している少女を罰金刑でもって処するということは、全く私は国際的なコンセンサスを得た理念を踏みにじるものではないかと思います。
 谷垣大臣、やっぱり罰金刑で身柄の拘束が伴い、家裁で審理され、鑑別所、少年院、こういうことは被害児童にとってずっと心に暗い影を落とすわけですね。非常にマイナスになる、そういうことも考えた上でこれはやる。いかなる人を処罰しても児童だけは処罰するまいと、さっき大臣が読み上げられましたストックホルムの宣言でも出ているわけです。だから、この法律は、児童買春・ポルノ法とそれから出会い系サイトの規制法は明らかに矛盾をしているわけなんですね。
 私は、大臣が、いろいろなユニセフの議連とかそういうところに携わり、この問題に具体的にタッチをされてきた政治家として、こういう問題、どう思うのか、日本のこういう対処の仕方、どうお考えになるんでしょうか、伺います。

国務大臣谷垣禎一君) 現実に出会い系サイトを利用することによって、確かに一番多いのは児童買春かもしれません。しかし、そのほかに強姦とか強制わいせつとか、場合によっては殺人までの被害に巻き込まれる子供たちがいる、それに対して我々は一体何をできるかということをやっぱり私たちは考えたわけであります。それで、こういうやり方でやるのが一番効果があるのではないか、保護できるのではないかという観点から考えたわけでございます。
 それで、吉川委員のおっしゃる、特に少年法の適用になった場合ですね。いろいろおっしゃいましたけれども、まず私は、もしそういう過程がなかった場合に、一体、先ほど局長も答弁いたしましたけれども、そういうところにある子供たちをどう、何というか、立ち直りのレールに乗っけていくかという手法がなかなかないなというふうに思います。少年法の体系は少年法の体系で、罰金以下というものを少年法で扱う場合には、刑罰をやっているんではなくて、一つのやはり私は少年の保護をどうするかという体系に乗っけて扱うんだろうと思います。
 私が余り裁判所のことを言ってはいけませんが、家庭裁判所は、やっぱりそういう意味では、日本の戦後、少年をどう育成していくかというものを考えたときに、いろいろな仕組みや制度を作ってきた日本なりの工夫の私は所産だと思います。そういうところにやはり掛けるというのが全部刑罰であるというようにおっしゃるのは、私は少し違うんではないかなという気がしているわけでございます。
 それから、ここから先はちょっとやや言いにくいんですが、先ほど少年院へ行って一年ぐらいというようなことをおっしゃいましたけれども、裁判官もなさった委員長がおられる前で言いにくいですけれども、私は今まで裁判所が罰金で少年院に送るというような扱いをしていることは余り見聞きしたことがありません。だから、大体の、いわゆる相場観というのからいいますと、これは相場観なんてちょっとあいまいなことを言ってはいけないんですが、相場観からいいますと、少年院に行くということは少し考えにくいんじゃないかなというのが私がこの法律を考えた、議論したときの私の言わば相場観でございます。

○吉川春子君 一つは、強制わいせつ、強姦、殺人、少ないけれども、この被害どうするかと大臣おっしゃったけれども、この数字、つかんでいないんですよ。もっとつかんでいて、こんなにあるからこの法律が必要なんだとおっしゃるかと思いましたけれども、出会い系サイトとのつながりではほとんどつかんでいらっしゃらない。
 それから、立ち直りのレールに乗っけて、どう乗っけていくかとおっしゃいましたけれども、やっぱりこの出会い系サイトを使っていろいろ買春行為に走る問題については、私も親でございますので一番心が痛みまして、これは警察や家庭裁判所の本来お世話になる話ではなくて、学校教育なり家庭なり地域なり、そういうところの教育力でもって解決されるジャンルに属するのではないか。
 だから、こういう問題が一杯発生している、警察としてどうしようかという、その取締りの観点だけからこの問題は絶対解決できないし、じゃ、出会い系サイトの規制法ができてどれだけこれが減るかということになると、それはまた未知数であろう。新たな手法も、また来週以降質問しようと思っているんですけれども、新たな手法も発生するから、ある意味では、規制する、また別の方法と、こういうふうになりかねなくて、本当は社会が病んでいるんだと思うんですね。
 こういうところからのアプローチこそ必要であって、すべて家庭や家裁で処理しようと。そこまで警察はやっぱりお出にならない方がいいのではないか。私は、その辺は価値観の違いかもしれないんですけれども、やっぱり警察というものは本来そういうものであろうというふうに私は思っております。
 少年院に送られる数が少ないか多いか、もうこれは現場の判断に任される問題でして、私はもう全く法律については素人ですので分かりませんが、そういう仕組みを作って、レールに乗せることができるということを非常に危惧をしているわけなんです。
 もう時間もないのであれなんですけれども、この次、引き続きやりたいと思いますけれども、やっぱり今度の法律は規制し過ぎだ。メル友を全面規制してしまう、こういう側面もあるわけでございまして、大臣、もう最後に何かおっしゃりたそうなので、今日の質問の最後に、積極的な、余り警察は介入すべきじゃないという立場で言っていただきたいなと思うんですが。

国務大臣谷垣禎一君) 吉川先生から誘導をされましたが、私は、吉川委員のおっしゃった、それはこういう問題は決して警察や家庭裁判所だけで解決できる問題ではない、家庭教育であるとか、あるいは学校であるとか社会の力とか、あるいは友人の力とか、そういうようなもので解決すべきものだというのは、私は全く、それは委員と価値観が違うなんということを申し上げません、全く賛成でございます。
 警察の力だけでできるなんというふうには考えておりません。しかし、現実にやはりそういう犯罪が起きているということを考えると、警察の側からできることは何かというふうに考えたわけでございまして、もちろん実際に、社会が病んでいるとおっしゃいましたけれども、それを解決していくためには警察の力だけでできるなんてうぬぼれてはおりませんので、いろんなところの総合力でやっていかないと解決できない、それは全く委員と同じです。

[001/001] 159 - 衆 - 予算委員会第一分科会 - 2号
平成16年03月02日
○西村(智)分科員 ぜひとも私の先ほど申し上げた点について、御答弁はいただけなかったんですけれども、慎重にお取り扱いをいただくということで理解をさせていただきたいと思っております。
 それでは、申しわけありません、通告をいたしておりました質問について移らせていただきます。
 青少年育成施策大綱、これは昨年の十二月に青少年育成推進本部の方から取りまとめをされました。昨年の九月から、インターネット事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律、これが施行されているというふうに承知をしております。この法律が制定されるときに、根本的な問題があいまいだという議論があったやに伺っておりますけれども、まずその関連から伺いたいと思っております。
 実は、昨日ですけれども、女子生徒が出会い系サイト、一般的に通称で出会い系サイト規制法というふうに言われておりますけれども、これで検挙をされたということでございますけれども、その概要についてお伺いをしたいというふうに思っております。規制法の何条に違反したのか、それから、その女子生徒はこの後どういうふうに法的な手続を踏むことになるのか、お聞かせください。


○関政府参考人 御質問の事件は、警視庁におきまして、三月一日に、インターネット事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の第六条第二号、不正誘引違反の被疑者として中学三年生の女子児童を家庭裁判所に書類送致したものでございます。
 本件におきまして、女子児童であります被疑者は、平成十六年一月、本年の一月十六日、自宅のパソコンから出会い系サイトの電子掲示板に援助交際を求める書き込みをいたしまして、人を児童との性交等の相手方となるように誘引したものでございます。
 この法律、出会い系サイト法によりますと、法の十六条で、「六条の規定に違反した者は、百万円以下の罰金」ということになっております。法定刑が罰金以下の刑に当たる犯罪を犯しました女子児童は、少年法に基づきまして家庭裁判所の方に送致されます。そうしますと、刑事罰を受けることがなく、家庭裁判所において保護のための適切な措置がとられるものと承知しております。

○西村(智)分科員 出会い系サイト規制法については、制定のときにいろいろな問題点が指摘されておったというふうに思います。
 先ほど審議官の御答弁ですと、家庭裁判所に書類が送られて保護の対象になるであろうということですけれども、第十六条においては、これはいわゆる児童も適用の対象になっておるわけでございますね。あるいは、インターネット事業者と申しますか出会い系サイトの提供者は、児童には利用させないというふうに規定をされておりましたけれども、それはいわゆる努力規定になっておりまして、責任、責務、これの所在が非常にあいまいであるということも指摘をされておりました。
 一方、児童かどうかを確認する方法でございますけれども、これも非常に甘い。なおかつ、加えて、家庭裁判所に当該児童が送られて以降の、いわゆるその後の指導体制、子供の育成を支える仕組みが見えないというようなことがさまざま問題視をされていたかというふうに思います。
 私は、その議論は今回のケースを通してみても明らかになったというふうに思っておりまして、根本的には法改正が必要であろうというふうに考えております。しかし、現状におきましては、違法行為をした後の児童に対する指導体制、これが必要であることは間違いございませんで、一定のそのためのプログラム、これをつくっていかなければいけないというふうに考えております。
 そこでお伺いでございますけれども、女子高生、女子生徒ですね、売買春を防止するためには、出会い系サイト規制法に規定をされております責務、これは、事業者は守ることはもちろんでございますけれども、児童自身に対する教育などの指導、そして出会い系サイト事業者やプロバイダーなどによる自主的な取り組みも必要であろうというふうに認識をしております。昨年十二月の青少年育成施策大綱、ここにおきまして若干の関心が払われているというふうに思いますけれども、これにどのように今後取り組んでいかれるおつもりか、今後どういう対策を講じられる予定か、それをお聞かせください。

[007/007] 156 - 衆 - 青少年問題に関する特別… - 4号
平成15年05月07日
○山谷委員 これから議論していく中でその辺が非常に議論の中心になっていくのではないかと思いますけれども、最後に、今回の出会い系サイト法案の中での制度論として、児童に対してどのように具体的な処分が行われるか、予定されているかということをお聞かせいただきたいと思います。
○瀬川政府参考人 この法律の六条では、不正誘引行為を禁止しております。すなわち、児童との性交等を伴う交際の誘引でありますとか、対償を伴う異性交際の誘引であります。これにつきましては、何人に対してもこれを禁止するということでございまして、こういった行為を行った児童についても適用となるわけでございます。
 これの罰則は十六条にございますが、百万円以下の罰金ということでございます。罰金以下の刑に当たる罪の事件につきましては、少年法四十一条の規定によりまして、検察官に送致されることなく家庭裁判所に直接送致をされるということになります。
 家庭裁判所における児童、少年の処遇につきましては、お答えする立場にはございませんけれども、少年法によりますと、少年法の規定を若干御説明させていただきますと、事件を重視した家庭裁判所は、調査官に命じて、その事件についての調査をまず行うということであります。
 その調査の結果、大きく三つの決定をするということであります。一つは、審判を開始しない、審判不開始、そこで事案は終結をするというものであります。二つ目は、審判を開始するという決定であります。それから三つ目は、児童福祉法の措置にゆだねるという決定であります。この大きく三つの決定をするということでございます。
 審判を開始したという審判開始の決定をなされた場合には、裁判所の行う処分、決定には大きく三つございまして、一つは、不処分、保護処分には付さないというものがございます。それから二つ目は、保護処分に付すということがあります。それから三つ目は、児童福祉法の措置にゆだねる、こういうことになります。
 保護処分に付すという決定がなされた場合には、これも大きく三つの対応が規定をされておりまして、保護観察所の保護観察に付する、二つ目は児童自立支援施設または児童養護施設に送致をする、三つ目は少年院に送致をする。
 このように少年法の規定では児童の処遇について定められているものと思います。
 いずれにいたしましても、家庭裁判所におきまして当該児童に対する最も適切な処遇がなされるものと私どもは理解をしております。
○山谷委員 教育的配慮から、ほとんどの場合が、保護者と子供との面談という形で恐らく終わるのではないかというふうに私も考えております。
 子供には、法律で規範を示して、犯罪を防止して、もし失敗を犯したらば教育的配慮をもって生き直すチャンスを与えるというような、そのような方向性でこれから議論が進むことを期待しております。
 どうもありがとうございました。

[005/007] 156 - 衆 - 青少年問題に関する特別… - 6号
平成15年05月13日
○瀬川政府参考人 お答えいたします。
 まず、現在の出会い系サイトの状況でございますが、平成十四年中に出会い系サイトに関係した事件は千七百三十一件ということで、平成十二年に比べまして十六・六倍というふうに急増しておるわけでございます。とりわけ、児童買春事件が千九百二件ということで大変大きな割合を占めているところでございます。しかも、その被害者の約八割が児童であるという状況で、深刻な状況になっております。
 児童の出会い系サイトの利用でございますが、現行は、出会い系サイトの利用について何らの法的規制もなされておりません。したがいまして、例えば、事例で申し上げますと、いわゆる迷惑メール等で出会い系サイトの広告が児童の携帯電話に届いたときに、その児童が出来心で出会い系サイトを利用しようとしても何らの注意表示、抑制をするようなものがないということで、簡単にアクセスができてしまうわけであります。
 アクセスをしてみたところ、児童による、いわゆるこの法律で言います不正誘引行為、援助交際を求めるような書き込みが非常にたくさんある、あるいは大人の側から児童に対して援助交際を求める書き込みもたくさんあるという状況でありまして、それを見た児童は、みんながやっている、自分も簡単にお金がもらえるというふうに思って、ほかの児童のまねをして気軽な気持ちで自分も不正誘引をしてしまうということであります。
 そうしますと、それに対して大変多くの返信メールが届きまして、その中から自分で条件がいいと思う人を選んでデートをしてみた結果、実際に性交の相手方等をさせられてしまって買春事件の被害に遭う、こういう状況でございます。
 この法律の効果についてのお尋ねでございますけれども、本法が成立し施行された場合には、まず広告メールが児童の携帯電話に届いた場合に、その広告メール自体に、このサイトは十八歳未満の方は利用してはいけませんというような表示がなされることになります。そうすると、普通の児童は、これは自分たちは使ってはいけないんだということで、そこで利用することはしないということが期待されます。また、好奇心があってそのサイトにアクセスしてみようという児童もいるかもしれませんが、アクセスしてみますと、そこにまた十八歳未満は利用してはいけないという表示があります。ここでまた多くの児童は、思いつきで、好奇心でアクセスした児童は利用を断念するだろうと思います。
 ただ、ちょっとやってみようかということでその先に進んだ児童でありますが、これにつきましては、年齢確認措置がございますので、あなたの年齢は何歳ですかということをまた聞かれます。ここでまた多くの児童が利用を断念するだろうというふうに期待をするところでございます。
 したがいまして、出来心や興味本位で利用することを防止する効果が非常にあるのではないか、こういうふうに思います。
 ただ一方、援助交際をしよう、金銭を得ようというふうに思っている児童も残念ながらいるわけでありまして、この児童は今のようなプロセスの中で、例えば年齢の欄について、年齢を詐称して、虚偽の年齢を記載することによって出会い系サイトの中に入っていくということになると思います。ただ、その場合でも、年齢確認措置等が有効に機能しておれば、児童からの書き込みというものは非常に少ないということになるだろうと思います。
 そしてまた、そこで実際、例えば二十歳だということで入っていった児童については児童ということでの検索ができませんので、児童を探す大人の側からしても非常に児童を探すことが不便になる。実際に、その児童は書き込みの本文の中で、自分は実は十六歳だというようなことを書くかもしれませんが、そういう児童を買う、児童を求める側から探すということは非常に難しくなるだろう。また、適正に運営しておられるサイト事業者にあっては、こういうような本文書き込みを見つけたときは、これは削除するということが期待をされるわけであります。
 しかし、そうではありましても、実際に年齢を詐称してサイトに入って、実は自分は十六歳だと本文に書き込みをすることはできるわけでありますので、完全に防止することはできないということになろうかと思いますが、その場合に初めてこの法律案で言います六条の規定が働くということになりまして、その児童につきましては家庭裁判所において立ち直りの機会が与えられることになる。このような仕組みになっておりまして、思いつきや好奇心で出会い系サイトを利用しようとする児童に対しては大変大きな効果が上がるものというふうに考えております。

○丸谷委員 今のお話の中で、今回の法律をつくることで、入り口から子供たちが入れないような形、書き込みをできないような形をつくることで、普通の子供たちはかなり今までの状況から一変して書き込みをしなくなるだろうというようなお話があったわけなんですけれども、実際、出会い系サイトというところを私も見てみました。普通の高校二年生ですという女の子が、本当にこの委員会で言葉にするのはちょっとなかなか厳しいものがあるんですけれども、とても私の口からは言えないような単語を、性的な単語を使って自分の体を売るための勧誘をしているわけですね。
 高校二年生です、普通の女の子です、遊んだりエッチをしたり、余り経験はないんですけれども、優しくしてお小遣いをくれる人がいないでしょうか、年上歓迎で、幾らぐらいかメールをしてくださいとか、あるいは、差しさわりのないところでいえば、十六歳の女の子が、これから援で会いませんか、援助交際の援ですけれども、会いませんか、一万円でよろしく、あるいは、夕方から渋谷か原宿で、生Fで援助をしてください、一万円でよろしくというようなことを書いて、本当に、普通の子供だとみずから言うような子供たちがこういう書き込みをしている現状を見ますと、果たして、みずからの意思でお金を稼ぐ方法としてネット上で売春をしている、あるいは買春の勧誘をする、この状況を、誘いに乗る大人あるいは同じ世代の買う方だけが悪いのかなという疑問が私には残ります。
 そういった意味において、児童の処罰ということもある程度仕方がないのではないかというような思いがするわけなんですけれども、本委員会の議論を聞いていましても、議論の一番の焦点は児童に対する処罰であろうと思います。十八歳未満の児童に対して本法案が示すような罰則規定を設けることで、児童の将来に暗い影を落としていくのではないかという懸念の声も聞かれるわけなんですが、この点について伺っていきたいと思います。
 まず、法務省に伺いますが、我が国の刑罰のある法律におきまして、児童のみを処罰の対象から除外する法律があるのかどうか、この点をお伺いします。

○樋渡政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねにつきましては、必ずしも網羅的に把握しているわけではございませんが、罰則のある法律におきまして、犯罪行為を行ったのが児童である場合に、児童であることを理由に処罰しないこととしているものは承知しておりません。

○丸谷委員 確かに、議員立法でできました児童買春、ポルノに係る行為を禁止する法律でも、これは、買う方が悪いんだという規定の法律ではありましても、児童に対価を示して性交をさせる買う側は、成人であってもあるいは未成年であっても、買うこと自体の行為が禁止されるわけですから、その買うという行為の主体主が児童であっても処罰をされるという法律になっています。
 一種、この児童買春・ポルノ禁止法という一面から、買う方だけが悪いんだ、大人だけが悪いんだというふうに見られがちなんですけれども、児童に対してお金を示して性行為をさせるということは、児童買春・ポルノ法でも、その主体主が児童であっても処罰されるということ、この性格を考えると、買春あるいは児童ポルノをやめさせるという目的から、これは処罰の対象は児童も含まれているのだろうというふうに認識をしています。
 そういった意味からして、今回の、出会い系に書き込みをさせない、あるいは対価を示して売春をさせないという目的を達成するためには、その書き込みの主体主が児童であっても処罰の対象となるというのは、理論的にはこれはかなっているものというふうに私は考えております。ただ、買春をする、あるいは書き込みをするというこの行為自体の温度差があるのではないかという議論もあるのではないかと思います。
 そういった意味で、児童の将来を考えると適切な処置をとっていく必要があるわけなんですけれども、本法律案第六条におきましては、違反をした児童の場合には、少年法に則して処罰されるものとなっておりますが、法務省に、少年法の趣旨をいま一度改めて確認をさせていただくとともに、法定刑が罰金以下の刑を犯した少年の処遇はどのようになっているのか、そして、これらの処遇は法律上の処罰に該当するのかどうか、この点をお伺いします。

○樋渡政府参考人 お尋ねにつきましては、少年の被疑事件について警察で捜査がなされた結果、罰金以下の刑に当たる罪を犯したと思料されたときは、検察官を経ずに、直接、家庭裁判所に送致されることとなっております。家庭裁判所では、このような少年に対しましては保護処分がなされることがございますが、検察官に逆送されて刑事処分を受けることはございません。
 このような保護処分は、刑罰ではないものの、少年の権利を制約する側面はありますことから、家庭裁判所においては、罪質、法定刑のほか、犯行態様、動機、さらに少年自身の犯罪傾向など、諸般の事情を十分に考慮し、少年の健全育成を図る見地から、事案に応じた適切な処分を行うものと承知しております。

○丸谷委員 先日の参考人質疑におきましても、保護観察であれ、試験観察であれ、少年法のもとで処罰を受けた子供は前歴として一生背負っていかなければいけないと、子供の将来性をおもんぱかった切実な意見も出されていましたし、これは非常に大事な視点だと私も思います。
 そこで、警察庁にお伺いをしますが、検挙された少年に関する記録はどのように保存をされるのか、外部に知られることがあるのかどうか。
 また、法務省は、少年法制定の精神から見て、犯罪を行った少年に関する記録の取り扱いがどのようになっていると承知をされているのか。
 また、国家公務員を採用する際、少年時代に犯罪を行ったことを理由として不採用となるのかどうか。この点は人事院にお伺いをします。

156-衆-青少年問題に関する特別…-7号 平成15年05月15日

○水島委員 民主党水島広子でございます。
 本日も、谷垣大臣に質問をさせていただきます。きょうは二十五分間という限られた時間でございます。聞きたいことはまだまだたくさんございますので、ぜひ大臣も、多くのことを聞けますように御協力をいただければ幸いでございます。
 さて、この法案では、もちろんここは青少年問題特別委員会ということでございますし、やはり子供たちが、実際にこの法案が成立していったときにどのように扱われるかということをきちんと検証しておかなければいけないと思います。
 この法案の六条に違反した子供たちは、実際に、具体的にどういう経路をたどっていくことになりますでしょうか。簡単にお答えいただければと思います。

○谷垣国務大臣 まず、この六条の規定に違反しますと、少年警察活動規則というのをつくっていまして、「少年の健全な育成を期する精神をもって当たるとともに、その規範意識の向上及び立直りに資するよう配意すること。」これがまず捜査の基本でありますね。そして、身柄の拘束につきましては、犯罪捜査規範において、少年についてはなるべくこれを避けることと規定されておりまして、やむを得ない場合を除いて、任意捜査の方法によるというふうにしております。
 それから、この法案第六条違反は罰金以下の刑に当たりますので、少年法でも、それ以上重くなりますと検察官のところに送致するということになるわけですが、家庭裁判所に直接送致されるということであります。
 そこで、事件を受理した家庭裁判所では、調査、審判が行われまして、保護処分あるいは児童福祉法の措置などが行われるということになります。それで、保護処分の中には、保護観察とか、児童自立支援施設または児童養護施設へ送致する、それから少年院送致というのも含まれております。なお、家庭裁判所において、審判不開始とか不処分ということもあるわけでありますが、こういう場合でも、訓戒とか保護者との面接、進路指導といった保護的措置が適宜行われることになるわけです。
 いずれにせよ、少年の処遇について専門的な知見を有します家庭裁判所が、当該児童の状況に応じた適切な保護処遇のための措置をとる、こういうことになっております。

○水島委員 子供が問題行動を起こしますときには、生育環境の問題だけではなく、精神障害などの可能性も当然考えなければならないわけでございますし、精神障害のときのその発現の方法、表現方法というのが大人の場合と随分違っていることもございますので、特に専門的な知識を持って注意をしていなければいけないと思いますけれども、子供の問題行動の裏に精神障害などの可能性が考えられますときには、どういう対応がなされますでしょうか。

○谷垣国務大臣 先ほども申しましたように、まず、少年法の規定で家庭裁判所に送致されるわけですが、精神障害等がある場合には、これを受けた家庭裁判所の調査、審判の過程においてこのことが勘案される。例えば医療措置を行うことが適当であるとして審判不開始とするというようなことも含めまして、裁判所で適切な措置、処遇を判断していただくということになります。

○水島委員 本当はそれが家庭裁判所で実際どういうふうに行われているか、本当に今の人員でできるのか、また、このたび人事訴訟法も成立するでありましょうし、家庭裁判所の仕事も本当にふえてくるわけでございますけれども、そんな中、家庭裁判所でちゃんとこの法案に対応できるのかということをいろいろ質問したいと思っていたところではございますが、裁判所、司法の独立ということで、この委員会には答弁に来ていただけないということでございました。
 本来、私も理事会で当初求めておりましたように、法務委員会との連合審査を行いまして、きちんと裁判所の現状を伺うべきだったなと思っているところではございます。
 本来、家庭裁判所におきまして、本当にこれだけのことをきちんとやっていただかなければならないけれども、実際のところは、かなり人員の大変さですとかいろいろな問題がございまして、どうも現場では必ずしも理想的に対応できていないというような情報も得ておりますので、そんな中、このような法案を提案される以上は、きちんとそのあたりまでぜひ話し合っていただきまして、連携をとっていただきたいと思っております。
 さて、先日の委員会で、大臣は、書き込んではいけないという規範を示すことは間違っていないと答弁をされております。私も、規範を示すことは結構だと思いますし、だからこそ、この法案の第六条で、誘引行為をしてはいけないということが法律上明確に禁止されているわけでございます。これについては、内容、細かな点はございますけれども、こういった規範を示すということは、私は結構なことだと思います。
 それであれば、第十六条の罰則規定について、児童を適用除外としてもよいのではないかと思います。個別のケースによっては、第六条の違反行為を繰り返すなどによって、少年法第三条の虞犯少年として家庭裁判所の審判に付されて保護処分の対象となることもあり得るわけでございます。
 ストックホルム宣言の精神を生かすのであれば、個々のケースによって現状に合った多様な対応をすることができるように、むしろ第十六条を児童に対して適用除外として、第六条の違反行為をした児童については、関係行政機関の連携のもとでの適切な指導等を行うとした方がよいのではないでしょうか。そのように法案を修正することはできませんか。

○谷垣国務大臣 できるだけ簡潔にお答えいたしますが、要するに、今まで出会い系サイトの危険性等につきましては、警察でも広報啓発、あるいは事業者もいろいろ自主規制をやってきたんですけれども、にもかかわらず、いわゆるここで言う不正誘引がはんらんしまして、結果としていろいろな児童が危害、犯罪に巻き込まれる、被害者になるというケースが多くて、また児童の健全な育成にも重大な障害となっている。
 それで、先ほど申し上げたような規範を定立したわけですが、委員の御批判のポイントですが、これまでの広報啓発あるいは自主規制というようなものの経緯からしまして、どうも、単に罰則なしで禁止するだけで実効が上がるとは考えられない。やはり実効性を考えますと、こういう手段が必要なのではないか。
 それから、もう一つ、今おっしゃった家庭裁判所の機能が十分かどうかという御議論は別途あるのかもしれませんが、これでほっておきますと、では、いわば法的な仕組みとして、あるいは行政として、書き込みをしてこういう場に巻き込まれていく子供たちに何をし得るかという手段がなかなかないということが現実にございます。やはりこういう手段を講じますと、家庭裁判所は、陣容が十分かどうかはまた別の議論でございますが、心理学を専攻した調査官などのシステムをあそこは持っておりますので、やはりそういう仕組みで立ち直りの機会を与えることができるのじゃないか。
 それから、虞犯とかそういうものを使えるのではないかというお考えをおっしゃいましたけれども、実はこれも、実務的に申しますとなかなか簡単ではございません。
 と申しますのは、名古屋高裁判例がありまして、一般的、抽象的に刑罰法令に触れるおそれがあるというだけでは実は虞犯少年の扱いができませんで、ある程度具体性を持った犯罪の蓋然性があることが必要だとされております。ということは、つまり、児童の不正誘引をするということが犯罪化されていて初めて、その犯罪を犯すおそれがあるから虞犯ということが出てくるわけでありまして、そういう刑罰なしに、不正誘引行為のみをとらえて虞犯少年として扱うことは、実は、実際上できない仕組みになっているというふうに理解しております。

○水島委員 ちょっと、私、法律が専門でないので、一つだけ確認させていただきたいんですが、罰則があって、大人の場合には適用となる、ただし児童は除くというような構成になっていても、その蓋然性が高いという場合に虞犯という扱いはできないんでしょうか。これは局長でも結構ですけれども。

○瀬川政府参考人 現実に少年の当該行為についてそれが犯罪になっていないということであれば、今大臣の答弁のとおり、これが犯罪を起こすおそれがあるということにはならないだろうというふうに考えられます。

○水島委員 今の御答弁につきましては、私はまた研究させていただきたいと思いますけれども、質問を続けさせていただきます。
 確かに、大臣がおっしゃるように、現状で子供が問題を抱えているというときに、本当にそれをトータルに受け入れるような、ある程度専門的な知見を持ったところで、人員がきちんと豊富にある、そんなところがないというのは、私もかねてから問題に思ってまいりまして、もちろん、先ほど私が提案を申しました関係行政機関の連携のもとでと、そのようなとき頭にございますのは、児童相談所とかそういったところがあるわけですけれども、では、現状、児童相談所が人員が十分にいるかというと、とてもそんな状態ではないということです。
 継続したケアが必要な子供たちの場合、むしろ、その本人に非があるか否かを問わずに、確かに、本人が悪いことをしていない、虐待の被害者であってケアを受けに通わなければいけないのに親がなかなかそれをさせないとか、子供の場合、かなり親子の力関係の中で、子供には意思があってもなかなか行けなかったりということもございますから、むしろその受け入れ体制をどこかにきちんとつくっていく。今大臣の頭にあります家裁をむしろそういう子供の権利を守るセンターとして、それは罪を犯した犯していないにかかわらず、子供をきちんと支えていくような場所として活用していくというように根本的に政策転換をしてもよいのではないかと、今大臣の御答弁を伺っていて思ったわけでございますけれども、そういったことに関してはいかがですか。

○谷垣国務大臣 裁判所の仕組みのあり方まで行政府にいる私が今御答弁をするのはちょっと出過ぎたことで、むしろ国会等で仕組みのあり方として御議論をいただくべきことかと思いますが、もともと、家庭裁判所ができましたのは、私も深く承知してはおりませんが、子供の人格というのはまだ固まったものではありませんので、可塑的なものでございますから、大人と同じように、犯罪を犯したからすぐ刑罰にかけるというようなことではよくない。もう少し総合的に、子供を保護し、育成していくためにどうあるべきかという観点からつくられた組織でございますので、そのあたりはまたいろいろ国会の方で御議論をいただければと思います。