児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

1号ポルノ・2号ポルノ・3号ポルノの3項製造罪の罪となるべき事実として「児童らに被告人と性交等を行う姿態をとらせ,これを所携のデジタルビデオカメラで撮影し」と摘示するにとどまっている事例(金沢地裁H24.9.5)

 理由不備です。強制わいせつ致傷が否認されたので、そっちに集中していて、裁判員も見逃しています。

 控訴棄却(金沢支部H25.3.7)になっているようですが、児童ポルノ製造の理由不備を主張すれば、破棄されているはずですよ。名古屋高裁本庁では破棄されていますから(名古屋高裁H23.7.5)。

 わからない人のために解説すると、「同児童らに被告人と性交等を行う姿態をとらせ,これを所携のデジタルビデオカメラで撮影し,その動画データを電磁的記録媒体である同ビデオカメラのハードディスクに記録させて保存し,もって,それぞれ児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態並びに他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した当該児童らに係る各児童ポルノを製造し」という「公訴事実」「罪となるべき事実」なんですが、2号ポルノ3号ポルノの製造罪も起訴するのであれば、「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(2条3項3号)」や「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(2条3項3号)」に該当する事実を記載しておかないと、2号・3号の製造罪では有罪になりませんよということです。殺人罪の訴因で「被害者の死亡の事実(いつどこでどういう行為でどういう死因で・・・)」が記載されてないのに、「もって人を殺害したものである」と書いてあっても、殺人罪にならないんですよ。

http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20130425ddlk17040549000c.html
被告は昨年9月に同地裁で別の強制わいせつ事件などで有罪判決を受け、控訴したが棄却。最高裁に上告している。

名古屋高裁H23.7.5
次に, (.2)の点について検討すると,原判決は,犯罪事実第1の2,第2の2,第3の2につき,法令の適用の項において,いずれも児童ポルノ処罰法7条3項,1項, 2条3項1号, 3号に該当すると判示しているのであるから,各犯罪事実において,同法2条3項1号のみならず3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実をも摘示する必要があるというべきである。しかるに,原判決は,上記各犯罪事実において各児童に「被告人と性交を行う姿態等」をとらせた上, これを写真撮影し,その静止画を記録媒体に記録させて描写し,もって「児童を相手方とする性交に係る児童の姿態等」を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した旨を摘示するにとどまり,児童ポルノ処罰法2条3項3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実を摘示していないのであるから,原判決には,上記各事実に関し,罪となるべき事実の記載に理由の不備があるといわざるを得ない。
論旨はこの点において理由がある。そして,原判決は,原判示第1の2,第2の2,第3の2の各児童ポルノ製造罪とその余の各罪とが刑法45条前段の併合罪の関係にあるものとして1個の刑を科しているから,結局,その余の控訴趣意について判断するまでもなく,原判決は全部につき破棄を免れない。
破棄自判
よって,刑訴法3-97条1項, 378条4号により原判決を破棄し,同法

提供 TKC
【文献番号】 25482699
【文献種別】 判決/金沢地方裁判所(第一審)
【裁判年月日】 平成24年 9月 5日

強制わいせつ致傷,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
金沢地方裁判所平成23年(わ)第187号,平成23年(わ)第255号,平成23年(わ)第269号,平成23年(わ)第317号
平成24年9月5日第三部判決
       判   決
無職 X 昭和41年○○月○○日生
 上記の者に対する強制わいせつ致傷,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官天田佑及び小武万佑子出席の上審理し,次のとおり判決する。
       理   由
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 別表記載のとおり,平成23年5月5日から同年8月16日までの間,前後5回にわたり,金沢市<以下略>ほか4か所において,被害児童A( 当時14歳)ほか4名がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,
1 同児童らに対し,現金の対償を供与する約束をして,同児童らと性交し,もって,それぞれ児童買春をし,
2 同児童らに被告人と性交等を行う姿態をとらせ,これを所携のデジタルビデオカメラで撮影し,その動画データを電磁的記録媒体である同ビデオカメラのハードディスクに記録させて保存し,もって,それぞれ児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態並びに他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した当該児童らに係る各児童ポルノを製造し、
第2 帰宅途中の高校生である被害者(当時16歳)に強いてわいせつな行為をしようと企て,同月29日午後7時15分ころ,石川県内の路上において,けが人を装い,同女に助けを求めるとともに,携帯電話機を入れた鞄が置いてある旨嘘を言って,同女を石川県内の空き地に連れ込み,そのころ,同所において,同女に対し,背後からいきなりその口を手でふさぎ,その場にしゃがみこませる暴行を加えた上,「騒ぐな。静かにしろ。殺されたいんか。」などと言って脅迫し,強いてわいせつな行為をしようとしたが,同女に抵抗されたため,その目的を遂げず,その際,上記暴行により,同女に全治約7日間を要する顔部・右大腿部・両下腿部擦過傷,右下腿部打撲の傷害を負わせ
たものである。

(証拠の標目)《略》
(事実認定の補足説明)
1 本件の主たる争点は,強制わいせつ致傷事件について,被告人が被害者の口を手でふさぐなどの暴行を加えた時点でわいせつ目的を有していたと認められるかどうかである。 

(法令の適用)
 被告人の判示第1の1別表番号1ないし5の各所為はいずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号に,判示第1の2別表番号1ないし5の各所為はいずれも同法7条3項,1項,2条3項1号ないし3号に,判示第2の所為は刑法181条1項(179条,176条前段)にそれぞれ該当するところ,各所定刑中判示第1の1別表番号1ないし5及び第1の2別表番号1ないし5の各罪についてはいずれも懲役刑を,判示第2の罪については有期懲役刑をそれぞれ選択し,上記の前科があるので同法56条1項,57条により判示各罪の刑についてそれぞれ再犯の加重(判示第2の罪の刑については同法14条2項の制限に従う。)をし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第2の罪の刑に同法14条2項の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役6年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入することとし,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)

平成24年9月5日
金沢地方裁判所第三部
裁判長裁判官 手崎政人 裁判官 辛島靖崇 裁判官 堀内隼