児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「児童買春の示談」

 「示談で起訴猶予」なんて軽々しく示唆する弁護士サイトも見受けられるのですが、児童ポルノ・児童買春の罪が非親告罪とされたのは、「示談=不起訴」を避けるためだと説明されており、それにそう検察官がほとんどです。
 統計的には、金銭で填補できないので示談しないという保護者が圧倒的に多いと思います。
 なお、地裁レベルですが、保護者が提訴して、児童買春1罪による精神的苦痛を算出した裁判例もありますので、示談金額を問われればその数字を参考にしてます。

森山野田「よくわかる改正児童買春ポルノ法」
P84
(3) ところで、児童買春の罪は、被害者等の告訴がなくとも処罰することができることとなっています。
この点、児童買春に閲する罪については、被害者である児童の名誉等を守るため、刑法の強姦罪、強制わいせつ罪のように親告罪にするべきであるという意見もありました。
しかし、児童買春の罪については、加害者やその背後の組織の報復を恐れて告訴できなかったり、保護者への金銭の支払いで示談をし、告訴を取り下げさせたりするようなことが通常の性犯罪以上に多いことも考えられ、これを親告罪とすると、児童の保護を十分に図ることが困難となり、性の商品化を防止することができなくなるので、非親告罪としました。
なお、非親告罪としたことにより、被害者である児童の名誉等に不利益が生じないように、捜査・公判における配慮の規定(第12 条)をおいています。
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P167
Q25 強制わいせつ罪が原則として親告罪とされているのに児童買春罪を非親告罪としたのはなぜですか。
A強制わいせつ罪は、犯罪の性質上、これを訴追し処罰することにより被害者の精神的苦痛等の不利益が増すことが考えられることから、被害者の保護の観点から親告罪としているものと解されています。
しかし児童買春罪については、加害者やその背後の組織の報復を恐れて告訴できなかったり、保護者への金銭の支払で示談をし、告訴を取り下げさせたりするようなことが通常の性犯罪以上に多いことも考えられ、これを親告罪とすると、児童買春の相手方となった児童の保護や、児童を性欲の対象としてとらえる風潮の抑制、児童一般の心身の成長への重大な影響の防止を十分に図ることが困難になるので、非親告罪としました。