児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

子供守る条例案に懸念 県弁護士会が反対意見書=栃木

 単純所持罪を全国で条例化して広めていこうという作戦です。
 地方の単位会がいきなり意見書書こうとしても、児童ポルノ事件なんてほとんど扱ったことがなく、今まで何の問題意識もなかったのでので、通り一遍の指摘しかできませんよね。
 普通の「水着」は3号ポルノに当たりません。問題は「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断基準です。
 だいたい条例作ってもほとんど検挙できないので実効性がないんですよ。

子供守る条例案に懸念 県弁護士会が反対意見書=栃木
2013.03.06 読売新聞
 条例案では、13歳未満を子供と定義し、つきまといや声かけなどを規制している。県警が県議会2月通常会議に議案を提出した。現状の法律では取り締まれない「犯罪の前段階の行為」を取り締まるのが目的と説明する。例えば、児童買春・児童ポルノ禁止法が提供目的の18歳未満の画像所持を規制しているのに対し、条例案は13歳未満のポルノ画像(子どもポルノ)を正当な理由なく所持しただけで規制対象にした。
 県警は条例制定を目指す背景として、今市市(現・日光市)の小学1年の女児(当時7歳)が2005年12月に殺害された未解決事件をあげる。さらに、10年前と比べて、13歳未満が性犯罪の被害となる割合が高くなったとする。一方の弁護士会は、「性犯罪全体の数が大幅に減っており、13歳未満に対する性犯罪が以前より増加したとはいえない」との立場だ。

 弁護士会が神経をとがらせる一つが、条例案の禁じる「不安を与える行為」と「威迫行為」。声かけやつきまといを想定するが、「あいさつも含め、地域のコミュニケーションの機会を奪いかねない」と懸念する。また、子どもポルノの定義が「衣服の全部または一部を着けておらず性欲を興奮させるもの」などとなっている点についても、「水着姿でも該当する余地がある。行き過ぎた規制になる可能性がある」と反発する。

 同様の条例は奈良、京都、大阪3府県で施行されている。京都では制定前の11年9月に府弁護士会が反対の意見書を出したが、昨年1月に全面施行された。京都市内の弁護士は「保護者なども含め、もっと議論を尽くすべきだった」と話した。

 ◇条例案と弁護士会の意見のおもな対立点
論 点 条例案の趣旨/弁護士会の意見
条例の必要性・・・性犯罪被害にあう子どもの割合が増えている/性犯罪全体の数が減少。必要性は低い
子どもポルノの単純所持・・・規制で性犯罪の抑止を期待/画像の定義が不明確
画像などの廃棄命令・・・流通・拡散を防止できる/調査される人の権利を侵害する恐れ


 栃木県は動かない児童ポルノに被害者は居ないって考えているようですが、3項製造罪ではそれを「流通危険があるから被害者有り」として処罰しているわけで、よく考えていないというか、京都府の議論をよく考えないで導入しただけという感じですね

児童を犯罪の被害から守る対策について(報告書)
http://www.pref.tochigi.lg.jp/n01/houdou/documents/houkokusyo.pdf
児童ポルノを所持する行為について
児童ポルノを所持する行為の罰則については、国会でのこれまでの審議状況や、児童ポルノを所持する行為自体に直接的な被害者がいないことなどを考慮すると、所持する行為自体に罰則を設けることには、抵抗もあるところである。
本県条例での児童ポルノ単純所持規制の目的が、所持者を取り締まることではなく、児童に対する性犯罪を誘引するおそれのある危険な物を根絶することであることを考慮すると、所持する行為を直接処罰の対象とするのではなく、所持者に対して廃棄を命令する方法が、本県条例の目的に沿うものと思われる