児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

<2ちゃんねる覚醒剤広告>削除放置 元管理人を書類送検

 児童ポルノ掲示板の判例が効いています。
 しかし、幇助なのかは疑問です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000037-mai-soci
送検容疑は掲示板が覚醒剤販売に利用されていると知りながら、昨年5月、50代の無職の男が売買を持ちかけた投稿を削除しなかったとしている。
 警視庁は昨年11月以降、元管理人の自宅や関係会社など約10カ所を家宅捜索していた。
 2ちゃんねるは1999年に元管理人が開設した国内最大規模の掲示板サイト。男性は2009年にシンガポールの会社に譲渡し、管理人を辞めたとブログで明らかにしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20121220-00000422-fnn-soci
書類送検された2ちゃんねるの元管理人(36)は2011年5月、2ちゃんねるへの書き込みで覚せい剤が売買された事件で、書き込みの削除要請を放置し、取引を助長した疑いが持たれている。
2ちゃんねるは2011年、警察当局などからの違法情報の書き込みに対する削除要請にほとんど応じなかったため、警視庁は2011年11月、2ちゃんねるの関係先などを家宅捜索をしたり、関係者から事情を聴くなど捜査を続けてきた。
その結果、元管理人が削除に関して最終的な権限を持っていたとして、書類送検した。
しかし、責任の軽重を考慮したことや、捜索を受けて以降、2ちゃんねるが違法な書き込みに対する削除要請に積極的に応じたり、自主的に削除を進めるなどしたため、今回逮捕は見送られた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000816-yom-soci
インターネット掲示板2ちゃんねる」で覚醒剤密売に関する書き込みが削除されず、放置されていた事件で、警視庁は20日、違法性を認識しながら放置した疑いが強まったとして、同サイトを開設した、元管理人(36)を麻薬特例法違反(あおり、唆し)のほう助容疑で書類送検した。
 同庁は昨年11月以降、札幌市のコンピューター関連会社など関係先を捜索するなどして捜査を進めていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000075-jij-soci
元管理人は家宅捜索時に、管理責任を否定していたとされるが、同課は関係証拠から、関与していた疑いが強いと判断した。
 捜査関係者によると、元管理人は昨年5月7日、2ちゃんねるに「02―1万円+P」と、隠語で覚せい剤の販売を示す書き込みがあったのに、長期間削除せずに放置して、販売しやすくした疑いが持たれている。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000018-asahi-soci
2ちゃんねる創設者を書類送検 麻薬特例法違反の疑い
朝日新聞デジタル 12月20日(木)13時44分配信
 インターネット掲示板2ちゃんねる」上の違法な情報を放置したとして、警視庁は20日、2ちゃんねるの創設者の・元管理人(36)を麻薬特例法違反(あおり、唆し)幇助(ほうじょ)の疑いで書類送検した。
朝日新聞社

参考文献
プロバイダの刑事責任 佐伯仁志
サイバースペース法律相談所(第63回)第三者がアップロードした違法情報とプロバイダの刑事責任 森 亮二
プロバイダの刑事責任--名古屋高裁平成19.7.6と東京高裁平成16.6.23 奥村 徹
アクセスプロバイダの刑事責任(1)ドイツテレサービス法における展開 石井 徹哉




参考判例

名古屋高裁h19.7.6
第2 法令適用の誤り(法令適用の前提となる事実誤認、憲法遷反を含む。)の論旨について
1主任弁護人の控訴理由第2(原判示2の行為は、幇助ではなく正犯の未遂である。)について
論旨は、要するに、原判示2につき、電子掲示板開設行為は、児童ポルノ公然陳列罪の正犯の未遂であり、これを公然陳列罪の幇助と認定した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があり、ひいては法令適用の誤りがある、というのである。
そこで、本件のようにインターネットの電子掲示板を利用しての児童ポルノ公然陳列罪における電子掲示板開設行為の性質を検討すると、後記2で説示するとおり、電子掲示板に児童ポルノ画像を送信して記憶、蔵置させ、不特定多数のインターネット利用者に対し、その画像データの閲覧が可能な状況を設定する行為が、児童ポルノ公然陳列罪の実行行為に当たると解されるところ、
?電子掲示板開設者が児童ポルノ画像をその電子掲示板に送信する場合(原判示1の場合)、電子掲示板開設行為は、自らが行う児童ポルノ公然陳列のための準備(予備)行為となるにとどまり、また、
?投稿者らが児童ポルノ画像を電子掲示板に送信する場合(原判示2の場合)、電子掲示板開設行為は、実行正犯である投稿者らが行う上記実行行為を、それ以外の方法で容易にする行為であって、自らのためにするものではないから、幇助行為に他ならない。
したがって、原判示2について、電子掲示板開設行為を幇助と認定した原判決に事実の誤認はないし、それに基づく法令適用の誤りもない。
なお、所論は、原判決の法令適用の前提となる事実認定が、同種事案における他の裁判例と異なるから、法の下の平等(憲法14条1項)に違反し、また、罪刑法定主義(憲法31条)にも違反する、という。しかし同種事案における他の裁判例の判断と異なることとなった場合、直ちに法の下の平等(憲法14粂1項)違皮や、罪刑法定主義(憲法31条)違反の問題が生ずるわけではないから、所論は、独自の見解であって、採用できない(もとより、同種事案における判断が裁判体ごとに異なる事態は望ましいことではないが、このような場合、上級審による見解の統一が図られ、又は多数裁判例の集積により自ずから一定の結論に収束していくこととなる。)。

名古屋地裁h19.1.10
(犯罪事実)
被告人は,甲が管理する所在のサーバーコンピュータに,不特定多数の者が児童ポルノの画像データ (電磁的記録)を送信することにより,自動的にその画像データが掲載されてインターネットを利用する不特定多数の者において,上記画像データを受信して再生閲覧することが可能となる電子掲示板「 」を開設した者であるが,
2別紙一覧表2記載のとおり,ABCDが,同年2月16日ころから同年3月3日ころまでの間に,ほか3か所において,こもごも,衣類の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノの画像データ合計11画像データを,上記電子掲示板に送信して記憶・蔵置させ,不特定多数のインターネット利用者に対し,上記画像データの閲覧が可能な状況を設定し,児童ポルノを公然と陳列した際,あらかじめその情を知りながら,同年2月14日ころ,上記被告人方において,インターネットを利用して上記サーバーコンピューターに上記電子掲示板を開設し,もって,Aらの上記犯行を容易にさせてこれを幇助した。