児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

マンションのエレベータ内において,帰宅途中の原告X1に対し,「何年生?」と声をかけて,後方からいきなり同女の口を塞ぎ,ズボンの上から陰部付近を触るなどして,「痛い目見るよ。」などと言って脅迫し,さらに,同女の頬や唇に無理やりキスをするなどしたという強制わいせつ事件の慰謝料として72万円を認容した事例(東京地裁H21,10,28)

 1 前提事実(認定等にかかる証拠等は各文末に掲記した。)
  (1) 当事者等
   (ア) 原告X1は現在中学1年生であり,本件事件当時は小学4年生であった。原告X2は原告X1の父である。原告X3は原告X1の母である。(甲8,9,弁論の全趣旨)
   (イ) 被告Y1は現在高校2年生であり,本件事件当時は中学2年生であった。被告Y2は被告Y1の母である。被告Y2は左腕に障害を抱えており,夫を平成17年に亡くしているため,障害年金で生活している。(乙2,3,弁論の全趣旨)
  (2) 本件事件の発生
    被告Y1は,強いてわいせつな行為をしようと考えて,平成19年2月1日午後4時ころ,原告らが当時居住していたマンションのエレベータ内において,帰宅途中の原告X1に対し,「何年生?」と声をかけて,後方からいきなり同女の口を塞ぎ,ズボンの上から陰部付近を触るなどして,「痛い目見るよ。」などと言って脅迫し,さらに,同女の頬や唇に無理やりキスをするなどした。(争いのない事実,甲1,5,弁論の全趣旨)
    なお,被告Y1は,本件事件について,平成20年8月5日,同年に惹起した本件事件と同様の非行事件と併せて,中等少年院送致の処分を受けている。(甲1,7,弁論の全趣旨)
・・・
3 損害額,ことに慰謝料の金額如何について
   前記のとおりの本件不法行為の態様や本件不法行為によって原告X1の受けた心理的な影響(甲5,6,8,9)等,本件における一切の事情を斟酌すれば,本件慰謝料の金額は65万円とするのが相当である。また,本件事案にかんがみれば,本件事件と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害は7万円とするのが相当である。
第4 結論
  よって,主文のとおり判決する。
    東京地方裁判所民事第1部
           裁判官  三浦隆