児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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犯罪被害者らの損害賠償命令制度 徳島地裁利用わずか5件

 そもそも、民事判決を取るというだけである程度被害者感情が満たされるという制度趣旨ですよね。
 「給付判決って資産がないと執行できない」って先に言っちゃうと「弁護士のくせに被害者に泣き寝入りしろというんですか!」と立腹されるのですが、必ず最初に言うことにしています。

犯罪被害者らの損害賠償命令制度 徳島地裁利用わずか5件
2012.08.17 徳島新聞
犯罪被害者や遺族が刑事裁判手続きの中で被告に損害賠償を請求できる「損害賠償命令制度」の導入から3年半が過ぎたが、徳島地裁での利用件数は6月末までに5件にとどまっている。使いやすい制度との評価がある一方で、被告に賠償する資力がないケースが少なくなく、利用が伸びない要因になっているとの見方がある。
損害賠償命令制度は、殺人、傷害、強姦(ごうかん)、強制わいせつ、逮捕監禁などの事件が対象。刑事裁判の裁判官が引き続いて賠償命令についての審理を担当し、原則4回以内の審理で決定する。
徳島弁護士会犯罪被害者支援センター委員長の白川剛弁護士は「民事訴訟と違って被害を一から立証する必要がない。申請手数料も2千円で済む。被害者にとって利用しやすい制度だ」と評価する。
だが、徳島地裁によると、制度の利用件数は2009年1件、10年2件、11年0件で、12年は6月末時点で2件。3年半にあった対象事件の被告数は約150人で、示談が成立したケースも少なくないとみられるが、利用の割合は低い。
理由の一つに、被告に資力がなければ賠償を得られないことが挙げられる。徳島地裁では制度を使って和解が成立しながら、被告からの支払いが一切なかったケースがあった。担当弁護士は「被害者は加害者を許せず賠償命令を申し立てたが、最終的に不満が残ったようだ」と振り返る。
内閣府の10年の調査でも、全国で賠償命令が出た19件中、賠償金の支払いがあったのは1件。この場合も賠償命令4千万円のうち800万円しか払われなかった。
制度成立を働き掛けた全国犯罪被害者の会(東京)の松村恒夫代表幹事代行は「被害者が賠償金を得られないのは問題。被害者は心身の傷とともに経済的な損失も被る。被害回復をスムーズに行う制度をいかに構築するか、課題となっている」と話した。