児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつな動画ファイルをサイトに貼り付けた事案につき、頒布罪ではなく、陳列罪が成立するとした事例(京都地裁H24.7.20)

 争っているわけではないのですが、刑法改正後はどう説明するのかと思って、弁論要旨で「どうなるんですかね?」って疑問点を指摘したら、1か月かけてこの回答です。
 閲覧者はダウンロードしないと閲覧できないわけですが、ダウンロードまで立証されると頒布罪になるんです。じゃあ、公然陳列罪だと実害なしということになりますね。

京都地裁H24.7.20
2 わいせつ電磁的記録記録媒体「陳列罪」の成立について
判示第2の犯行につき,弁護人は,刑法175条1項前段の「陳列罪」ではなく,同項後段の「頒布罪」が成立する旨主張する。
しかしながら,当裁判所が認定した事実は,判示のとおり,被告人が,サーバーのハードディスクにわいせつな動画データを記憶,蔵置させて,不特定多数の者がその動画を認識できる状態を設定したというものであって,不特定多数の者が,閲覧するために当該ハードディスクにアクセスしてそのわいせつな動画を自己のコンピュータにダウンロードしたものではないから,「陳列罪」が成立するものである。

 法曹時報も引用したんだけどなあ。