児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

中田弘之「インターネット利用児童ポルノ事犯の態様に応じた取締り等の強化」捜査研究728

 強制わいせつ罪(176条後段)の撮影事例は、全部児童ポルノ製造罪をくっつけるようにすれば、検挙件数は2倍くらいになるでしょう。

イ低年齢児童を対象とした児童ポルノ愛好者グループによる性犯罪等を伴う製造・提供等事犯
(ア) 事犯の特徴
平成22年中に判明した児童ポルノ事犯の被害児童数は614人で,うち小学生以下の低年齢児童は126人と全体の20.5パーセントと約2割を占める。数値だけを見ると,決して多くはないと思われるかもしれないが.この数値は,被害が判明している児童のみであり,インターネット上には,明らかに低年齢児童であると分かるものの,いまだに被害児童が判明していない児童ポルノ画像も数多く存在している。低年齢児童は,わいせつ行為をされても自分が何をされているか理解できない場合や,理解していても逆らえない立場であるなどの理由から被害申告を期待できず,事件が潜在化しているケースが数多くあると思われる。このような被害申告が期待できない事例として,児童ポルノ提供事件で検挙した児童ポルノ愛好者を捜査したところ,低年齢女子児童に対して強姦や強制わいせつ等のわいせつな手段を用いて児童ポルノを製造していた事実が判明した。このわいせつ行為についての被害申告は被害児童等からなされておらず事件が潜在化していた。
この事例のように低年齢児童を対象とした児童ポルノ事犯には,事件の潜在化と児童ポルノ愛好者が介在すると考えられる。
では,児童ポルノ愛好者の犯行はどのようにして行われているのか。一般的にはまず,インターネットの児童ポルノ関連サイトを通じて知り合い,同じ趣味を持つ仲間としてグループを形成し,グループ内で児童ポルノ画像を交換するようになる。その交換手段としては,パソコンや携帯電話(スマートフォン)のメールに画像を添付して送信したり,インターネット上に専用サイトを立ち上げ画像を交換(公開)するほか「オフ会」と称して集まり画像を直接交換するなどの方法が挙げられる。愛好者グループ内では,メンバーが今まで見たことがない画像を持っていることが他のメンバーの賞賛を得ることから次第に自己顕示欲を強め,メンバーはオリジナル画像(通称「オリ画」) を製造するようになり,こうした画像を交換し合うことで,グループ内で犯行をエスカレートしていくことが懸念される。過去の事例では,画像交換で物足りなくなった愛好者らが「獲物」と称して通行中の児童に対して強姦や強制わいせつを行ったり,自分の娘を淫行するなどして児童ポルノを製造し, これらの画像を愛好者グループ間で相互に交換し,その後また製造行為を行うという悪循環を繰り返した結果,強制わいせつ等を伴う多数の被害児童を生んだ事案があった。