児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童淫行罪につき真剣交際の主張が退けられた事例(札幌高裁H19.3.8.)

 最初から堂々と真剣交際を主張しないとだめなようです。

札幌高裁H19.3.8
5 違法性が阻却されるとの控訴趣意について(控訴理由第10及び第11)
 論旨は,要するに,児童の真しな承諾があり,かつ,被告人と児童が本件当時結婚を前提に相思相愛の関係で交際していたのであって,児童淫行罪及び児童ポルノ製造罪は,いずれも違法性を阻却するのに,両罪を認定した原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 そこで,検討するに,なるほど,児童との真しな交際が社会的に相当とされる場合に,その交際をしている者が児童の承諾のもとで性交しあるいはその裸体の写真を撮影するなど,児童の承諾があり,かつ,この承諾が社会的にみて相当であると認められる場合には,違法性が阻却され,犯罪が成立しない場合もあり得ると解される。しかし,本件においては,児童は当時14歳ないし15歳である上,被告人と児童の交際は,児童の保護者に知らされず,その許可を得ていないこと,被告人は中学教師で児童はその教え子であるが,被告人は,平成15年3月ころ,同僚の教師から教え子と性交等することが問題である旨注意され,さらに,同年5月には,児童の母親から学校に対し児童と被告人との関係につき抗議が来て,上司から改めて教え子との私的交際を禁ずる旨の注意を受けながら,その後本件交際を本格的に開始し,交際中の平成16年11月に交際の噂が出て問い質された際には,当該児童の虚言であると交際を否定する弁解をしていたこと等に照らすと,被告人の児童との交際は真しなものとはいえず,いかに相思相愛の関係であっても,また,児童の承諾があってもそれが社会的にみて相当とは到底いえない。したがって,本件においては違法性は阻却されない。
 その他所論がるる述べる点を考慮検討しても,論旨は理由がない。