児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

福岡県青少年健全育成条例(いわゆる淫行条例)違反事件につき被害者の供述の信用性判断を誤った事実誤認があるとして控訴審が1審判決を破棄し無罪を言い渡した事例(福岡高裁H23.1.27)判タ1357

 児童は嘘付かないという先入観を捨てましょう。


キ 以上によれば,関係証拠上,平成21年3月19日に,被害少女が本件ホテルを利用した可能性が高い一方,その相手が被告人であるとは認められないことになる。そうすると,被害少女は,同日,被告人以外の者と本件ホテルを利用した可能性が高いと考えざるを得ないが,この事態を合理的に説明するとすれば,同女の記憶違いであるか,あるいは,同女が被告人以外の者との関係を秘匿するために,現に性交の相手となったことがある被告人について,その日時や場所については虚偽を述べている可能性を考えるしかない(被害少女は,被告人以外にもポケゲーのサイト上で知り合った複数の男性と思われる人物に携帯電話メールアドレスを教えたり,あるいは,教えてもらったりしており,その後,携帯電話メールで直接やり取りをしていることがうかがわれ, しかも,その中には, ドライブに連れて行ってあげると誘う者に対して,同女から携帯電話メールアドレスを教えているケースもあること(当審検21). そして,同女は,上記の職務質問の際に,被告人の本名や実際の年齢を知り,被告人に嘘をつかれていたことを知って.捜査の当初のころは,被告人に対して怒っていたこと(1審公判供述)からすると.既に警察や保護者の知るところとなった被告人を相手として供述した可能性は否定しきれない)。
ク小括
以上のとおり,被害少女の公判供述は,同女が平成21年3月19日に本件ホテルで男性と性交したという限度では信用することができるが,その相手の犯人が被告人であるという点については,信用することができないといわざるを得ない。