児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

衆議院青少年問題に関する特別委員会平成23年10月25日

179-衆-青少年問題に関する特別…-3号 平成23年10月25日

平成二十三年十月二十五日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 稲津  久君
   理事 川村秀三郎君 理事 笹木 竜三君
   理事 竹田 光明君 理事 道休誠一郎
   理事 柚木 道義君 理事 あべ 俊子君
   理事 松浪 健太君 理事 池坊 保子君
      相原 史乃君    岡田 康裕君
      岡本 英子君    川口  浩君
      阪口 直人君    高橋 英行君
      橘  秀徳君    富岡 芳忠君
      畑  浩治君    松岡 広隆君
      三宅 雪子君    室井 秀子君
      森山 浩行君    山崎 摩耶君
      山田 良司君    山本 剛正君
      湯原 俊二君    小渕 優子君
      棚橋 泰文君    馳   浩君
      宮本 岳志君    吉泉 秀男君
    …………………………………
   国務大臣         蓮   舫君
   内閣府副大臣       中塚 一宏君
   厚生労働副大臣      辻  泰弘君
   内閣府大臣政務官     郡  和子君
   内閣府大臣政務官     園田 康博君
   文部科学大臣政務官    城井  崇君
   政府参考人
   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    三浦  守君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           有松 育子君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           桑田 俊一君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           石井 淳子君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        伊澤  章君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬食品局長)            木倉 敬之君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局長)           山崎 史郎君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房技術総括審議官)       西本 淳哉君
   衆議院調査局第一特別調査室長           横尾 平次君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十五日
 辞任         補欠選任
  橘  秀徳君     相原 史乃君
  初鹿 明博君     高橋 英行君
同日
 辞任         補欠選任
  相原 史乃君     畑  浩治君
  高橋 英行君     阪口 直人君
同日
 辞任         補欠選任
  阪口 直人君     山本 剛正君
  畑  浩治君     岡本 英子君
同日
 辞任         補欠選任
  岡本 英子君     橘  秀徳君
  山本 剛正君     岡田 康裕君
同日
 辞任         補欠選任
  岡田 康裕君     初鹿 明博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 青少年問題に関する件
     ――――◇―――――

○あべ委員 自由民主党あべ俊子でございます。
 きょうは蓮舫大臣に幾つか、所信を受けましての質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、大臣、児童ポルノの日本の実態について今どのように考え、また御存じでしょうか。

蓮舫国務大臣 児童ポルノに対する国際的な取り組みというのが国連を中心に極めて積極的に行われていることは認識しているところでございます。
 翻って、我が国におきましては、特にここ数年間の急速なインターネット環境の広がりを踏まえまして、あるいはお子様の携帯電話の保有率の高まりに伴いまして、また一方で親御さんのフィルタリング等への認識がまだそう高くないということも相まって、残念ながら、児童ポルノ取り締まりという関係で先進国というレベルまでは行っていない、ここは政府で取り上げて各省の調整をして、しっかりと取り組んで改善をしていきたいと認識をしております。

○あべ委員 世界から批判されているということはかなり長く続いておりまして、特にG7の先進民主主義国の中で処罰をしていないのは日本だけであるというのは言うに及ばず、ICMEC、児童誘拐、児童の性的搾取などの問題にグローバルに取り組んでいる団体が二〇一〇年に発表いたしました二〇〇九年次の調査によりますと、既に世界百九十六カ国中七十四カ国で児童ポルノの単純所持の処罰化を行っています。EU諸国では、既に単純所持どころか、意図的に児童ポルノのサイトにアクセスすることを処罰化していく方向であります。
 ところで、大臣、二〇〇九年に自民党公明党児童ポルノ法の改正案を出しました。当時野党でありました民主党とぎりぎりでやっと話し合いがついたところで解散になりまして流れてしまったものでございますが、先般の国会で自公案民主党案が対立しています。これは単純所持の部分が特に大きかったわけでございますが、大臣、民主党が出した案をごらんになったことはございますか。

蓮舫国務大臣 今回の質問通告をいただきまして、改めて概要というのを、御党と公明党が出されているもの、私どもが出しているもの、今委員が御指摘の部分で、御党が出されているものは、児童ポルノを所持し、これに係る電磁的記録を保管してはならないとなっておることに対して、我が党の出している案に関しましては、児童ポルノまたはこれに係る電磁的記録等を有償でかつ反復して取得したもの、これに対しては罰金刑をもたらす、御党のには罰則がないというふうに理解をしております。

○あべ委員 単純所持に関して有償かつ反復でなければ罰しないというふうにしている民主党案について、大臣はどうお考えですか。

蓮舫国務大臣 あべ委員にまず前もって申し上げておきたいのは、この法案の作成に私自身が携わっておらなかった、またこのときに所管の担当をしておらなかったものですから、必ずしもその経過というのは、申しわけございません、民主党を代表して私が負っているわけではございません。
 ただ、委員、ここはやはり相当微妙なやりとりといいますか、どちらの立場に立つ、例えばイメージで言いますと、私も子どもを持つ親でございますから、あるいは何らかの形で自分の子どもが被害に遭った場合を考えたときに、単純所持そのものだけでも、やはりそれは許しがたい。これは親としても、大人としても、当然そう思うわけであります。ある種、先ほどおっしゃったような、児童の性的搾取や性的虐待の一環だと思っているわけです。
 ただ、他方で、何らかの形で、犯罪なのか、ターゲットになるのか、いじめなのかわかりませんけれども、今はメールが簡単に送信される時代になりました。そこに画像や動画も簡単に添付されるようになりました。メールアドレスが簡単に第三者に取得をされるという、あってはならないような、情報が漏れるという時代にもなりましたので、偶発的に手にした映像、自分に思いのないものを手にしたところで、それを所持と言われることが人権と関係してどうなのかなというのは、率直に思うところでございます。

○あべ委員 おっしゃるとおりでございます。ここのところは非常に複雑なところでございますが、しかしながら、ただであれば、かつですから、何回繰り返してもただであればいいのか。
 例えば、ある子どもは入浴中の写真を盗撮されてしまった。それがネット上に流れるのではないか。小学生が、本当にいつも、自分の裸体がさらされるのではないかとネットを検索し続け、このままではお嫁に行けないというふうに悩んでいる子たちもいるやに聞いています。そうすると、有償でなければいいのかということに対して、大臣はどうお考えでしょうか。

蓮舫国務大臣 各党が国会に提出しているその法案の成否、あるいは修正について、私は発言をする立場にはおりません。ただ、一般論としまして、被害に遭ったお子さんの心理的圧迫感というんでしょうか、脅迫概念というのはよくわかります。
 政府が対応しようとしますと、何らかの形で、一人でも多くの方がサイトにアクセスできないような、いわゆるフィルタリングをかける、あるいは、実際のインターネットプロトコルサービスをやっているところ、あるいはさまざまな検索エンジンの事業者、あるいはそういうサーバーを提供している方たちがブロッキングをして、そういったところにアクセスできないように、事後的な部分にどうしてもならざるを得ないわけですね。それだと、事後的なものが間に合わなかったときに、被害に遭った方、あるいはその家族の方たちの心理的なものを考えたら、有償であるという条件が、その安定感というか安心感につながるかといったら、必ずしもそうではないのかなと思います。

○あべ委員 私は、今回蓮舫大臣に青少年の特別委員会の担当大臣としてお答えをいただきたいと思っているわけであります。特に、メールで勝手に送りつけられた児童ポルノをたまたま自分が所持していたからといって摘発されるか、そういう捜査権の濫用というのは確かに防がなければいけません。しかしながら、捜査権の濫用を防ぐという話と、単純所持であれば、無償で反復して持っていることがいわゆる罪にならないということは、私は、国際的にも日本が児童ポルノ大国として非難され続けること、また青少年特別委員会として子どもたちを守らなければいけないという立場からは決してあってはならないことだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 先ほど来のあべ委員の御趣旨はよくわかります。私も、青少年の担当大臣として、おっしゃるとおりの考え方は共有できるものがございます。
 ただ、各党間で法案をつくられて、そして国会で御議論をいただいていることに対して、行政府に身を置く私から、ここはこうあるべきだというのは、大変申しわけございませんが控えさせていただきたいと思います。

○あべ委員 この法案そのものに対してというよりも、青少年担当大臣といたしまして、児童を守るために、私たちは今、子どもたちのために何をしなければいけないかということでもあります。
 大臣、秋葉原児童ポルノの専門店があるのは御存じですか。

蓮舫国務大臣 具体的にどのような店舗かは存じ上げません。

○あべ委員 ここは、実は、平沢勝栄衆議院法務委員会筆頭理事、自民党筆頭理事が視察に行っております。一定額を購入するとイベント券がもらえるそうでございます。
 大臣、それは聞いたことはありますか。

蓮舫国務大臣 初耳です。

○あべ委員 イベント券をもらった、そのイベントの日に行くと、そのDVDに出ているか写真集に出ている子が出てきて、生で見られるらしいです、洋服はつけていると思いますが。
 かなりさまざまなことが言われておりまして、特にこの秋葉原のお店、大臣、一度視察に行きませんか。

蓮舫国務大臣 どのような店舗なのか、今いただいた断片的な情報ではなかなか具体的にイメージすることはできないんですが、いずれにしても、子どもを性商品化的なもので扱うような店舗が堂々と開かれているという御趣旨であれば、それはぜひ視察なりなんなり、一緒に行かせていただける機会を設けさせていただければ、最大限の努力をしたいと思います。

○あべ委員 子どもが性的虐待として、性的搾取とも言える対象になっているということは、私は、青少年特別委員会としては非常に大きな問題だと思っています。
 実はさまざま批判の記事がありますが、余りにも生々しくて、ここで言うことは控えさせていただきますが、ぜひ青少年特別委員会の、大臣と御一緒の超党派の視察ということで、お決めいただけたらと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

○稲津委員長 後ほど理事会で協議をさせていただきます。

○あべ委員 ありがとうございます。
 大臣が、ぜひ行きたい、一緒に行ってくださるということで、私は、児童ポルノ、このことに対して、ぜひとも日本が海外から批判されないように、ユニセフからもずっと批判が来ているところであります。日本の衆議院における、国会の青少年特別委員会で解決に向けてみんなで超党派で動いたという実績は、私は貴重なものだと思いますので、大臣、ここはお礼を申し上げます。ぜひとも御一緒に頑張ってまいりたいと思っています。
 また、この単純所持に関しましては、民主党でいらした大臣でありますから、また法案そのものは今から議論がされるところであります、そうした中にありまして、やはりどう考えても、単純所持は、私は、調べがつけられるところに関してはまた別問題でございまして、やはり制限をすべきではないかというふうに思っているわけであります。
 母親が子どものわいせつな写真を撮り、ネット上にアップをしていた例、販売していた例もございますが、想像を絶するようなことが起きている中、民主党は特にチルドレンファースト、子ども第一ということを言っていたはずだと思います。そうしたときに、まずあるのは、児童ポルノの、その見ているユーザーではなくて、被害に遭う子どもたちを守るという観点で、大臣、よろしいでしょうか。

蓮舫国務大臣 あべ委員の問題意識、深くうなずくところがございます。
 私ども政府は、去年の七月、平成二十二年の七月に、犯罪対策閣僚会議で児童ポルノ排除総合対策をまとめました。その中で、この対策を策定するに当たっての前段の部分で、犯行形態を見ますと、児童を守るべき実母による事犯、あるいは児童が信頼を寄せている教員や保育士等による事犯も発生して、極めて憂慮すべき事態に至っているという問題意識を書かせていただいた上で、さまざまな施策、省庁がまさに縦で分かれているものですから、この対策会議の中で、どこを優先で抜き出すというのではなくて、同時に対策しなければいけない。
 それはお子さんたちへのある種のメディアリテラシーもそうでしょう、保護者に対する問題認識の、現実を直視していただく部分の提案もそうでしょう、警察のサイバーテロと同じようなインターネットの取り締まりもそうでしょう、あるいは民間の社会活動を行っている法人かもしれません。企業活動かもしれませんけれども、それでも問題を政府と共有していただいて、子どもの人権を守るためであれば営利活動も一部制限をして、我々のブロッキングに御協力をいただくということも含めて、総合的な対策を三年間かけてまずは行っていこうとしておって、ここでは、委員の問題意識はよくわかりますけれども、どこだけを抜き出してということではなくて、総合的に、一体的に三年間進めていこうということを決めて、今ちょうど一年たったところでございます。

○あべ委員 園田政務官がほかの委員会で大変おくれて、午前中にお断りをいただいたわけでございますが、園田政務官にもお尋ねいたします。
 児童ポルノ禁止法の改正案が前国会で議論されたことは御存じでしょうか。

○園田大臣政務官 議員立法という形で国会に出され、そしてまた理事間も含めて議論はされているというのは承知をいたしております。

○あべ委員 このときに議論されていた自公案と民主案、大きな違いはどこだというふうに思っていらっしゃいますか。

○園田大臣政務官 単純所持を認めるか認めないかの違いではなかったかというふうに記憶をいたしております。

○あべ委員 さすが園田政務官
 単純所持に関しましては、政務官として園田先生はどのようにお考えでしょうか。

○園田大臣政務官 政務官といたしましては、まだ政府の中でしっかりとした議論をしているわけではございませんので、コメントは差し控えさせていただければと思っております。

○あべ委員 これは先ほども大臣に申し上げましたが、主要八カ国、G8で禁じていないのは日本とロシアだけでございまして、国際社会からも非常に批判のあるところなので、政府の方でしっかり議論を始めていただけたらと思いますが、大臣、この議論は全く政府の中ではされていないのでしょうか。

蓮舫国務大臣 私が今回のこの所掌、青少年を担当して、野田内閣で任命をされてからまだ一月半、九月の頭だったものですから、それ以降において今委員の御指摘のような会議を政府の中で持ったことはございません。

○あべ委員 これは国際的にも非常に注目を浴びることでございますので、先般の夏にはCNNかどこか海外のメディアが秋葉原の取材にもいらっしゃいました。児童ポルノ大国日本をドキュメントされているわけでございますので、ここをしっかり解決していく方向性はぜひお約束いただきたい。
 また、京都の府議会で単純所持を取り締まる条例が可決されました。また、奈良県でも、小学生が殺害された痛ましい事件の後でこの条例を可決しています。ですから、地方自治体が動き始めている中で国政が放置するということはできないので、大臣、ぜひこの国会で政府内で議論を始めるというお約束をしていただけませんか。

蓮舫国務大臣 先ほどあべ委員がおっしゃった、あってはならないことだと思いますが、我が子の映像であるとか写真や画像というものをある種商売の道具にしてしまう、それは私は一種のセクシャルアビューズだと思っています。あってはならないことです。
 ちょうど来月、十一月は政府としても児童虐待防止推進月間でございますから、この月間に合わせて、委員御指摘の問題意識を私も共有していますので、何らかの取り組みができないのか考えさせてください。

○あべ委員 おっしゃるとおり、子どもたちのわいせつな写真や画像が商品として出されることは大問題でございますが、それが有償でないからといって集中的にやりとりをされるということに関しても、私は、ここは、アニメーションの問題もさまざまございますが、人権がどのように考えられるかという人権尊重の観点からは、これは有償じゃなくても罪であるというふうに思います。
 大臣、これは子どもの人権を守るという観点から議論をしていただくというお約束をしていただいてよろしいでしょうか。

蓮舫国務大臣 ごめんなさい、私、ここは想像するしか今手段がないんですけれども、恐らく、御党が公明党さんと御提出になられた法案あるいは我が党が出した法案を修正に向けた御協議をいただくときに、やはりこういうときというのは人権と人権がどこかでぶつかるところが、どうしても議論としては避けられないんだと思いますね。
 ただ、今私が置かれている立場におきますと、やはり子どもの人権というのは子どもの権利条約でも認められておりますので、最優先で考えるということには変わりはございません。

○あべ委員 園田政務官、そこのところはいかがでしょうか。

○園田大臣政務官 今、大臣からも御答弁がありまして、私ども、大臣とともに、政府内における取り組み、そしてまた子どもの人権という部分においては、権利条約も含めてしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

○あべ委員 ありがとうございます。
 引き続きまして、性教育に関して、大臣に、また政務官にお尋ねしたいというふうに思います。
 実は、平成二十年、文部科学省の小学校、中学校の指導要綱の中に、性教育ということがしっかり入っています。
 先般、私、八月末に、HIVの国際会議に韓国・釜山で出席をしてまいりました。これは放置できない、日本における性教育がうまくいっているかどうかは別として、HIV、特に男性の感染者はふえているという結果が出ております。
 厚生労働省に調査をかけましたところ、十五歳未満の妊娠中絶が四百件、一番近いところでございます。一番多かったときは五百件ございます。母子保健課にお尋ねしましたら、これ以上の数は承知していないのかと言いましたら、そのデータは、違法なので、違法なことが日本にあるとは自分たちは承知していないという四角四面の答えでございました。
 地方の産婦人科医が、小学生の妊娠中絶がふえているということを実は何カ所かで私は聞きました。また、小学校の養護教諭、保健室の教諭でございますが、性教育は小学生の修学旅行の前でないともう間に合わないという声も聞きました。私は、それは全国の話かどうかということが余り把握できずに聞いておりましたが、最近そういう話がどんどん出てまいりました。そうしたときに、従来であれば、指導要綱は十年に一遍、次は平成三十年の変更だそうでございますが、これは待っていては手おくれになるというふうに思いました。
 新宿国立医療センターにHIVの専門クリニックがあります。そこの方にお話を聞きました。二十七歳の女性が、大学も出ております、HIVに感染をいたしまして、妊娠中絶、人工中絶も行っています。彼女は、避妊用具を使わなければHIVに感染するとも妊娠するともどこでも教わらなかったという驚いた発言をしています。
 そうした中で、性教育をどこまでやるかというのはかなり議論のあるところでございまして、保守の強い方は、結婚までそのような性交渉はしないので教えない方がいいという方もいらっしゃるわけであります。しかしながら、実態はそうではないわけでありまして、そうしたときに、性教育、どのようにこれからしていかなきゃいけないか、青少年特別委員会担当大臣としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

蓮舫国務大臣 現状におきましては委員御指摘の性教育ではございますけれども、学校教育活動全体を通じて、まさに子どもの発達の度合いに応じて、あるいは保護者の理解を得ながら適切に行われているものと認識をしております。
 ただ、他方、これからどういうふうにしていくかという部分で、我々、子ども・若者ビジョンをまとめたときにもこうした話は正直ございました。その中においては、思春期特有の課題への対応におきまして、人工妊娠中絶の実施率、性感染症罹患率等を減少させることを目標に、各種の取り組みを推進する、発達段階に応じた性に関する知識等について、学校教育における健康教育の充実と推進を図ることとして取りまとめたところでございます。

○あべ委員 そこの性教育の部分が、文部科学省の指導要綱に入っているけれども、どう実施されているかは実はほとんどわかっていない。
 私は、担任の先生が性教育をしていくのは、毎日顔を突き合わせるがゆえに難しいんじゃないかと思うんですね。ですから、ここから先は学校の養護教諭、保健室の方が担当していくのがいいのではないかというふうに思っていますが、大臣、いかが思っていらっしゃいますか。

蓮舫国務大臣 小学生で、まさに担任が全教科を持っているという特性があるところと、中学生の専任の先生、高校生の専任の先生、どうしても学校の体系によって、毎日顔を合わせる頻度は確かに違うと思います。その部分で、今文部科学省において、どのように指導を、把握しているのを知らないということはないとは思うんですけれども、その中で、おっしゃったように、担任よりも養護教諭の方が生徒にとっては比較的なじみやすいのかなという気はしております。
 ただ他方で、委員、私はこれはいつも悩むんですけれども、学校の教育にお願いをしたいところももちろんありますけれども、やはり家庭において、まずは一義的に、自分の家でどういうふうに教育をしていくんだろうか、あわせて学校でどういうふうにしていくんだろうか、両方あわせて考えるべきものではないのかなとこれは個人的に思っております。

○あべ委員 家庭における性教育、これは、デンマークスウェーデン、いろいろお聞きしたら、かなり自宅でしっかりやっている。ただ、蓮舫大臣のようにはっきりしたお母さんだけではないので。
 そうすると、親が必ず教えられるかという問題は結構難しいところがあって、特に、日本の社会がそういうことをオープンに話せるところであるのかとか。例えば先ほども、話はまた前後しますが、児童ポルノの話。私は朝から法務関係者に、児童ポルノを絶対通さなきゃいけないと七月ぐらいから言い続けているんですが、私が児童ポルノよろしくと言うと、周りの男性がみんなびくっとするんですね。ですから、それは身に覚えがあるのかないのかは別として、やはりそういうことを朝から言われるのがなれていないというのがあるわけであります。
 そうすると、担当教諭が男性だと多分教えにくい、女性の方がこれは教えやすいんだと私は思っています。さらに言えば、お母さんの方が教えやすいんでしょうけれども、では父子家庭はどうするのかとか、お母さんが非常に控え目というかおとなし目というか、余りそういうことをオープンに話さない方だったらだれが教えるのかとかいうのがあります。
 特に、オーストラリアの方にお聞きしましたら、ある州では幼稚園から、キンダーガーテンのときから教えるらしくて、それもさわり方から教える。グッドタッチ、バッドタッチ、さわり方の中でもいいさわり方と悪いさわり方がお友達同士であるんだよから始まって、小学生になったら、基本は教えるけれども、そこから先、例えばコンドームとか、いろいろなことを教えることをしてもいいかどうかは親が決めるんだそうです。
 私はそれは非常にいい仕組みだなと思っていて、なぜかというと、教えることによって逆に好奇心を喚起してしまうのではないかというふうに考える方もいまして、そこの時期と、だれが言うかということとどこまで教えるかというのは、やはりある程度親の選択が必要ではないかというふうに思うわけであります。
 ですから、家庭で教えることがいいというふうに大臣はおっしゃいますけれども、家庭で教えるようになるためには、日本文化の醸成ということも考えたときに、ぜひ大臣ここは、では御意見をどうぞ。

蓮舫国務大臣 誤解があってはいけませんので、何でもかんでも家庭で全部完結をするということではないと思っております。
 委員御指摘のように、やはり一人親の場合にはどうするか、あるいは、男の子の子どもに対しては母親が教えられるんだろうか、いろいろなものが家庭の事情にあると思います。そういう部分では、学校における教育で補完関係があるのが最も望ましいと思っています。

○あべ委員 おっしゃるとおりでございまして、特に性教育に関しましては、避妊と性感染症を防げば何をやってもいいかという話ではございませんで、ここはやはり、性とは何であるのか、人間同士のコミュニケーションとは何であるのか。倫理観も含めた道徳とのセットだと私は思っているわけでありますが、大臣、ここに関していかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 全く同感でございます。
 つまり、命の大切さ、命を紡ぐこと、この大切さ、それは当然、性教育の最も崇高な目的だと思っております。

○あべ委員 先ほども蓮舫大臣がおっしゃったみたいに、子どもたちがネットに非常にアクセスがしやすいということもあって、通常の性交渉が、ネット上に出ている過激なものが通常ではないかと、ちゃんとした教育を受けていないと思い込んでしまう節もあるやに聞いています。ですから、だからこそ最初の情報は、正しい、適切な、倫理観のある、道徳性のある教育をまずは行っていくということが大切だと思うわけであります。大臣、これに関していかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 先ほどいみじくもあべ委員がおっしゃいました、知識のない年齢のときに教えることが逆に知らしめてしまうのではないかという消極的な声があるのも事実だと思います。それとはまた違う考え方で、何も教えないことによって、情報が今はんらんしていますから、何も知らないところでいろいろな情報をうのみにしてしまって、それが結果として性感染症や妊娠の危険率というものに対して無知になってしまうということもあると思うんですね。
 だから、どれがベストな答えかというのはなかなか出しづらいとは思いますが、両者の意見がまだ日本にはあるんだと思います。だからこそ、これがベストだと押しつけるのではなくて、その時代に合わせた臨機的な対応というのが必要ではないかと私は思っております。

○あべ委員 本当に大臣のおっしゃるとおりだと思っております。ぜひ子どもたちに正しい情報、適切な情報をまずは与えなければいけない。特に、このように情報がはんらんするがゆえに、インフォメーションリテラシーといいますか、情報リテラシーといいますか、適切な情報を自分たちが取捨選択できるということが本当に大切なんだと私は思っております。ここは、青少年特別委員会担当大臣としてもぜひ御努力いただきたいところであります。
 次に移らせていただきます。
 先ほど馳委員が沖縄の問題を、一緒に視察に超党派で参りましたが、ほとんど質問をしてしまったので余り残らなくなってしまったわけでございますが。そういう中におきましても、やはり沖縄の子どもの置かれている現状というのが、離婚率が一番高い、離職率も一番高い、さらには幼稚園の就園率が、米国からの返還があっての部分で一番高い。ところが、逆に一番低いところが幾つかあって、一人当たりの県民所得、年間平均収入も低い、さらには高校進学率も低く、大学の進学率も低い。ところが、沖縄県の県議会では、基地問題が八割なんだそうであります。
 沖縄の基地問題、非常に重要なことでもございますが、次の沖縄を担うのは今の子どもたちであるということを考えたときに、私は、特に沖縄の公立幼稚園の問題に関しては沖縄特有の事情でありますので、全国一律の政策ではなく、沖縄は別として立てていくものがもっともっと必要なのではないかというふうに馳委員の質問を聞いていて思ったわけであります。
 大臣、先ほどの馳委員の質問の中で何かお感じになったことがありましたら教えてください。

蓮舫国務大臣 子どもは生まれる場所を選べないと思っております。生まれた地域性であるとか、特殊性であるとか、さまざまな事情によって、例えば全国一律に保障されているサービスを受けることができないというのはあってはならないことだと私は思っております。
 先ほど馳委員の質問の中でも園田沖縄担当政務官からも答弁がございました。だからこそ、認可外の保育所を認可にするべく、あるいは認可外の保育所の質をどうやって向上するかという具体的な基金を組んで、そこの部分のレベルを上げるための措置を講じ、来年度の予算、概算の中でもさらにここの中身を充実させ、一人でも多くの沖縄の子どもたちが幸せな時間を過ごせるための施策を講じているところだと思っております。

○あべ委員 おっしゃるとおりでございまして、ぜひとも大臣に、沖縄の子どもたち、次世代を担う子どもたちのために、御一緒に頑張っていただけたらと思います。
 きょうは大変ありがとうございました。特に、児童ポルノ秋葉原の専門店を御一緒に行っていただけるということで、私はとても楽しみにしておりますので、また、子どもたちをしっかりこの青少年特別委員会が守っていくという決意のあらわれだと思います。ぜひよろしくお願いします。
 ありがとうございました。