児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

最判平成15・3・11刑集57巻3号293頁(山口厚 基本判例に学ぶ刑法各論)

 弁護人ですが、この最判以前にこんな議論はなかったですよ。
 判例変更があって、学説は専ら旧判例に賛成していました。判例が変わると、新判例に賛成するようです。

2 本件は,コンビニエンスストアが販売する商品の品質に対する社会的な信頼を段損したという事案である。本判決は,信用殴損罪「経済的な側面における人の社会的な評価」を保護するものであるとの理解から,信用の意義を従来の判例よりも広く解釈することによって,信用殴損罪の成立を肯定した。
人の名誉については,現にある社会的評価であれば,それがたとえ誤った評価であった(虚名)としても,保護されるのが原則である。「公共の利害に関する事実」について,それが真実である一定の場合に処罰を否定するという例外が認められているにすぎない。これに対し,信用については,虚偽の風説の流布又は偽計によらなければその毀損を処罰することはできず,真実の言明であれば,それによって見せかけの誤った信用が害されても処罰されることはないのである。すなわち,経済活動に係わる場面では,名誉とは異なり「虚名」保護の原則は妥当せず,むしろ,事実が明らかにされることにより,人に対する正しい評価が形成されることが期待されるといえる。
本罪の趣旨からしても,本判決が認めるように,信用は「経済的な側面における人の社会的評価」として広く捉えることが妥当であり「販売される商品の品質に対する社会的な信頼」も合まれると解されるべきことになろう。

8)したがって.信用を名誉として保護することには疑問があるといえよう。すなわち.真実の摘示なので信用担損罪は成立しないが.名誉毀損罪は成立すると解するのでは.信用の保護を限定的なものとしている趣旨に反するのではないかが問題となるのである。