児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

元教諭のわいせつ事件、賠償金を町が肩代わり[読売新聞]

 児童ポルノ製造罪も起訴されていますが、損害賠償命令申立の対象外になっています。
 損害賠償命令を得た人は300万、得てない人は200万という算定でしょうか。
 町の算定方法も、刑事裁判所の認定も、刑事判決と対比する限り、わいせつ被害の回数・程度に応じた算定ではないようです。

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110903-OYS1T00422.htm?from=popin
長崎県長与町の元小学校教諭による強制わいせつ事件で、同町は被害児童5人に計1300万円の賠償金を支払うことを決めた。今年度一般会計補正予算案に盛り込み、6日に開会する町議会に提案する。
 同町によると、国家賠償法に基づき、3人に300万円ずつ、2人に200万円ずつ支払う。元教諭は在職中だった昨年5〜9月、5人に対し計59回のわいせつ行為を繰り返したとして逮捕され、懲戒免職となった。今年2月に長崎地裁で懲役10年の判決を受け、現在は服役中。
 被害者のうち3人は、刑事裁判に伴う損害賠償命令制度の適用を申し立て、地裁は3月、元教諭に1人当たり300万円を支払うよう命じた。しかし元教諭に支払い能力がないため、町が肩代わりすることになったという。

町と被害者が和解したようですね。

町が1300万円賠償方針 元教諭のわいせつ事件
2011.09.03 共同通信 (全343字) 
 町議会関係者によると、賠償額は3人に300万円ずつ、2人に200万円ずつ。判決後に被害者の家族から損害賠償請求があり、弁護士を通じて和解協議を進めていた。町は「町立小の教諭が起こした事件で、監督責任は免れない」として、賠償する方針を決めたという。
 男は昨年5月から9月にかけて、担任する学級の女児5人に学校内でわいせつな行為をしたとして強制わいせつ罪などに問われ、今年2月に長崎地裁で懲役10年の有罪判決を受け、確定した。

 勤務中の事件の場合、被害者側は、国賠とか使用者責任を検討する必要があるということです。

国家賠償法
(昭和22年10月27日・法律第125号)
施行、昭22・10・27
第1条〔公務員の不法行為と賠償責任、求償権〕
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
②前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

被害の回数が、1回でも200万、10回でも300万、20回でも300万という査定はいい加減です。


 この刑事判決の罪数処理には判例違反がありますが、国選弁護人が気付いたかはわかりませんが、そのまま確定しています。
 ある日時場所における被害者2名に対するわいせつ行為が観念的競合とされてます。