児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

模範六法2011の児童ポルノ

 お騒がせしております。

判例要旨〔刑訴247〕
9◎同一児童に対する児童ポルノ製造の際の淫行行為をいわばかすがいとして、児童ポルノ製造罪と児童淫行罪とが一罪になる場合でも、被害児童の心情への配慮、確実な証拠のあるものへの起訴の限定など合理的な理由があり、地方裁判所に起訴する児童ポルノ製造罪の量刑上併合の利益と二重評価の防止に配慮するのであれば、検察官がかすがいに当たる児童淫行罪を訴因に掲げずに、児童ポルノ製造罪を地方裁判所に、児童淫行罪を家庭裁判所に起訴する措置は是認できる。(東京高判平17・12・26判時1918-122)
「模範六法 2011」 (C)2011 Sanseido Co.,Ltd.

判例要旨〔刑175〕
14◎児童ポルノにも当たるわいせつ画像データを記録した光磁気ディスクを製造・所持した場合、それが同データを記録したハードディスクから販売用コンパクトディスクを作成する際に備えたバックアップのためであったとしても、本条後段にいう「販売の目的」で行われたものといえる。(最決平18・5・16刑集60-5-413)
「模範六法 2011」 (C)2011 Sanseido Co.,Ltd.

判例要旨〔刑訴199〕
一罪一逮捕一勾留の原則
4◎同一児童に淫行させた児童淫行罪とその姿態を撮影した児童ポルノ製造罪は、行為者の動態が社会見解上一個のものと評価されるから、観念的競合の関係にあり、さらにこれよりも半年後の特定日における児童淫行罪とも一罪の関係にあるが、後者で逮捕勾留した後に前者の児童ポルノ製造罪でも逮捕勾留したことについて、両者は時間的間隔がある別個の行為であり、しかも、児童ポルノ製造罪は異なる日あるいは時刻における一五回の行為であり、各行為についての証拠の収集が必要であることなどに鑑みると、児童ポルノ製造罪被疑事実による再逮捕・勾留は一罪一逮捕一勾留の原則の例外として許容される。(札幌高判平19・3・8高検速報167)⇒256条(15)
「模範六法 2011」 (C)2011 Sanseido Co.,Ltd.

判例要旨〔刑訴256〕
15◎被告人が同一児童に対し反復継続した児童ポルノ製造罪は包括一罪と評価され、その場合には訴因を特定するために製造された児童ポルノの個数を明示することは必要でなく、行為の始期および終期、行為の回数、児童の氏名・年齢、児童ポルノの種類および描写媒体の種類を明示すれば訴因は特定されている。(札幌高判平19・3・8高検速報167)⇒199条(4)
条文
「模範六法 2011」 (C)2011 Sanseido Co.,Ltd.

判例要旨〔刑45〕
21◎児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律二条三項にいう児童ポルノを、不特定または多数の者に提供するとともに、不特定または多数の者に提供する目的で所持した場合には、児童の権利を擁護しようとする同法の立法趣旨に照らし、同法七条四項の児童ポルノ提供罪と同条五項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。(最決平21・7・7刑集63-6-507)⇒54条(15)
条文
「模範六法 2011」 (C)2011 Sanseido Co.,Ltd.

判例要旨〔刑54〕
15◎児童ポルノであり、かつ、一七五条のわいせつ物であるものを、他のわいせつ物であるものも含め、不特定または多数の者に販売して提供するとともに、不特定または多数の者に販売して提供する目的で所持した場合においては、わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるところ、その一部であるわいせつ物販売と児童ポルノ提供、同じくわいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持は、それぞれ社会的、自然的事象として同一の行為であって観念的競合の関係に立つから、結局以上の全体が一罪となるものと解することが相当である。(最決平21・7・7刑集63-6-507)⇒45条(21)
条文
「模範六法 2011」 (C)2011 Sanseido Co.,Ltd.