児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

迷惑防止条例の「卑わいな言動」罪と他罪との関係

 筆者は法律に対しては補充的性質と考えているようです。

風俗・性犯罪 シリーズ捜査実務全書9第3版
P373
「卑わいな言動」とは、いやらしくみだらな言語、動作で性的道義観念に反し、人に性的しゅう恥心、嫌悪感を覚えさせ、又は不安を覚えさせるに足るものをいう。
卑わいな言動の中にはわいせつな行為(いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かっ、普通人の正常な性的しゅう恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為〈最判昭27.4.1刑集6.4.573>)も含まれ、「卑わいな言動」は、わいせつな行為(例えば、陰部に手を触れる、女性の乳房を弄ぶ、接吻をするなど)よりも広い概念である。卑わいな言動のうち、わいせつに当たる行為が、公共の場所又は公共の乗り物の中で行われる場合、通常、公然性を有すると考えられるので、刑法第174条の公然わいせつ罪が成立し、本項違反は、これに吸収される。
しかし、わいせつな言語は、刑法第174条のわいせつ行為に含まれないとされているので、本項違反のみが成立する。したがって、卑わいな言動のうちわいせつ行為に当たらない卑わいな動作及びわいせつを含む卑わいな発言につき、本項違反が成立する。
例えば、卑わいな動作としては、臀部、太腿、膝頭に触る、スカートをまくる、スカー卜のチャックをはずす、スカートの下からのぞき見する、スカートの下からビデオカメラ等で股間を撮影するなどがあり、卑わいな発言としては、通行中の女性に「パンティーちょうだい」、「おっぱい触らせてJなどと申し向けるなどがある。
なお、スカートの下からのぞき見したり、ビデオカメラ等で股聞を撮影する行為が、便所等の人が通常衣服をつけないでいるような場所でなされた場合は、軽犯罪法第l条第23号が適用され、本条違反は成立しない。

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P375
他罪との関係
刑法との関係
1項について
前記のとおり、卑わいな言動のうち、わいせつ行為に当たらない卑わいな動作及びわいせつを含む卑わいな発言につき、第l項違反が成立する。公然性を有するわいせつ行為については刑法第174条の公然わいせつ罪のみが、暴行脅迫を伴うわいせつ行為については、刑法第176条の強制わいせつ罪のみが成立し、本項違反は、これらに吸収され、本項違反が成立する余地はない。したがって、強制わいせつ罪が成立するが告訴がない場合、本項違反で立件し得ないと考える。