児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

渡辺麻友写真集『まゆゆ』 の児童ポルノ該当性について

 表紙をぱっと見せられると、2条3項3号ポルノに見えますけど、きっと芸術性だとか、実は水着を着ている(巧みに隠していますが↑ なんか着てますよね。)とか、正当化事由があるんでしょうね。
 実物は予約しました。
 サンタフェ児童ポルノだという国会議員もいますので、微妙な領域です。ニーズはあるけど怖くてなかなか手を出せませんもんね。

渡辺麻友写真集『まゆゆ』 (タレント・映画写真集)
大型本: 96ページ
出版社: 集英社 (2011/5/13)
言語 日本語
ISBN-10: 4087806073
ISBN-13: 978-4087806076
発売日: 2011/5/13

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
第2条(定義)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

 京都地判がありますが、地裁レベルです。

京都地裁平成12年 7月17日
判タ 1064号249頁 
岩井宜子・ジュリ別冊 179号122頁(メディア判例百選
 二 児童ポルノ法二条三項三号の解釈
 児童ポルノ法二条三項三号にいう児童ポルノ(以下「三号児童ポルノ」という。)とは、写真、ビデオテープその他の物であって、?衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって?性欲を興奮させ又は刺激するものを?視覚により認識することができる方法により描写したものに該当するものである(数字は条文にはないが便宜上付け加えた)。本件では、?、?は客観的に判断することができることから、特に?の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の意味内容が問題となる。
 そもそも児童ポルノの販売等が禁止され、さらに、これらの目的での児童ポルノの製造、所持等が禁止されているのは、これらの行為による児童に対する性的搾取及び性的虐待が、児童ポルノの対象となった児童の心身に有害な影響を与え続け、児童の権利を著しく侵害するからに他ならない(児童ポルノ法一条参照)。
 このように、児童の権利を保護することの重要性にかんがみて、児童ポルノ法は、刑法におけるわいせつの定義、すなわち、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」という最高裁判所判例最高裁昭和三二年三月一三日大法廷判決参照)によって確立されている定義とは異なった観点から児童ポルノの範囲を定め、性欲を興奮又は刺激せしめる点は必要であるが、しかし、「徒に」興奮又は刺激しなくても処罰の対象とし(この点で刑法よりも規制対象を拡大しているといえる。)、また、禁止される行為の範囲も業としての貸与、頒布等の目的での製造等にまで広げ、国内外を問わず処罰することとしたのである(同七条参照)。
 そうだとすると、問題となっている写真、ビデオテープ等が、ことさらに扇情的な表現方法であったり、過度に性的感情を刺激するような内容のものである場合などに限るなど、特別な限定をしなくても、性欲を興奮させ又は刺激するものと認められる以上は、三号児童ポルノに該当すると解すべきである。弁護人は、「性欲を興奮させ又は刺激する」との規定の意味を、児童のポーズが意味もなく局部を強調するものであったり、構図などから男女の性交を暗喩していると認められるような場合に限定すべきであると主張するが、そのように限定して解釈すべき理由はない。
 三 判断の方法
 そして、性欲を興奮させ又は刺激するものであるか否かの判断は、児童の姿態に過敏に性的に反応する者を基準として判断したのではあまりにも処罰範囲が拡大してしまうことから、前記のとおり、児童ポルノの定義から最高裁判所判例の掲げる「普通人の正常な性的羞恥心を害し」という要件が割愛されているとしても、法の一般原則からして、その名宛人としての「普通人」又は「一般人」を基準として判断するのが相当である。
 もっとも、三号児童ポルノの範囲が拡大すると、表現の自由や学問の自由等の憲法上の権利を制約することになりかねないという懸念もあろう。児童ポルノ法三条も、この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならないと定めているところである。
 そこで、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態(以下「児童の裸体等」という。)を描写した写真または映像に児童ポルノ法二条二項にいう「性器等」、すなわち、性器、肛門、乳首が描写されているか否か、児童の裸体等の描写が当該写真またはビデオテープ等の全体に占める割合(時間や枚数)等の客観的要素に加え、児童の裸体等の描写叙述方法(具体的には、?性器等の描写について、これらを大きく描写したり、長時間描写しているか、?着衣の一部をめくって性器等を描写するなどして性器等を強調していないか、?児童のとっているポーズや動作等に扇情的な要素がないか、?児童の発育過程を記録するために海水浴や水浴びの様子などを写真やホームビデオに収録する場合のように、児童の裸体等を撮影または録画する必然性ないし合理性があるか等)をも検討し、性欲を興奮させ又は刺激するものであるかどうかを一般通常人を基準として判断すべきである。そして、当該写真又はビデオテープ等全体から見て、ストーリー性や学術性、芸術性などを有するか、そのストーリー展開上や学術的、芸術的表現上などから児童の裸体等を描写する必要性や合理性が認められるかなどを考慮して、性的刺激が相当程度緩和されている場合には、性欲を興奮させ又は刺激するものと認められないことがあるというべきである。

 別の控訴事件の裁判例もあります。
 これは公刊されてないと思います。
 成人女性の部分も含めて3号ポルノと認定されています。

阪高裁平成14年9月12日判決
判決
上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)違反被告事件について,平成14年京都地方裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官坂田米雄出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
本件控訴の趣意は弁護人奥村徹作成の控訴趣意書(平成14年7月1日付け),控訴理由補充書及び控訴趣意補充書3通に,これに対する答弁は検察官作成の答弁書に各記載のとおりであるから,これらを引用する(なお,弁護人は,控訴趣意書中に理由不備とあるのは,理由そごの趣旨である旨釈明した。)。
第1控訴趣意中,訴因逸脱認定の主張について
論旨は,訴因として全くあるいは具体的に主張されていない児童の実在性を認定した原判決には,審判の請求を受けない事件について判決をした違法がある,というのである。しかしながら,原判決は,その「犯罪事実」の項で,訴因と同じ事実を認定しており,何ら訴因を逸脱した事実を認定していない。論旨は理由がない。
第2控訴趣意中,理由そごの主張について
論旨は,(1原判決は,児童ポルノ販売罪(以下「本罪」という。)の保護法益が個人的法益であるとの立場に立っているから,①人相等の特徴で個々の被撮影者を特定しなければならない,②被撮影者が販売時に実在していなければならない,③本罪は被撮影者ごとに成立する,④被撮影者の承諾があれば,本罪は成立しない,⑤被撮影者の数,その承諾,被害の程度等が量刑の重要な要素になるとの結論にならなければならないのに,これらをいずれも否定したり,また,個々の被撮影者を特定する必要はないとしながら,その一方で,犯情の軽重を判断する際には被撮影者数を考慮したりしている,さらに,(2)原判示別紙一覧表番号4の事実について,児童ポルノに当たると問われているのは全被撮影者の写真であると考えられるところ,原判決は,訴因として個々の被撮影者を特定する必要はないとしながら,その一方で,Kカメラマンや制服を着用している者の写真は児童ポルノに当たらない旨判示している,したがって,これらの点で原判決には理由にそごがある,というのである。
しかしながら,(1)の点については,原判決は上記⑤の結論を否定していない上,児童ポルノが本件のように複数の写真が掲載された写真集である場合には,そのうちの1枚の写真が児童ポルノ法2条3項3号の要件を満たしてさえいれば,その余の写真がその要件を満たしているか否かを問わず,その写真集は児童ポルノに当たると解すべきである(なお,所論は,写真集も児童ポルノに当たると解すれば,表現の自由を不当に侵害するし,複数の写真が一冊にまとめられることによって児童の保護も後退すると主張する。しかしながら,1冊にまとめられた複数の写真は,販売等の際には同じ運命をたどるから,これを一体のものとしてみることはその実態に適っている上,所論がいうように個々の被撮影者を特定しなければならないとすれば,そのために多大な時間と労力を要し,ひいては写真集を児童ポルノ法による規制から逃れさせることになり,かえって,児童の保護に適わず,不合理である。)から,本罪の保護法益が個人的法益であるからといって,上記①ないし④の各結論が当然に帰結されるものではないし,また,写真集が児童ポルノに当たり得るからといって,犯情の軽重を判断したり,刑を量定したりする際に,その要件を満たす写真や被撮影者の数を考慮することができないと考える根拠もない。したがって,原判決には所論のような理由のそごはない。なお,上記②の結論については,被撮影者が写真撮影時に実在していれば足りると解されるし,上記④の結論についても,原判決が説示するとおりである。また,(2)の点については,その前提が失当であることは既に説示したとおりである。この論旨も理由がない。
第3控訴趣意中,公訴の不法受理及び訴訟手続の法令違反の主張について
論旨は,訴因について,(1)併合罪であるはずの複数の販売行為が包括一罪として記載されている,(2)被撮影者ごとに本罪が成立し得ると考えられるのに,単に写真集のタイトルが記載されているだけで,どの被撮影者の写真が児童ポルノに当たるのか不明確である,(3)個々の被撮影者を特定する必要があると考えられるのに,「児童ポルノである写真集4冊を販売した」旨記載されているだけで,被撮影者の数やその特定事項,更には,全被撮影者の各写真が児童ポルノに当たることが,具体的に記載されていない,(4)「実在」の事実が氏名,年齢,人相等を用いて具体的に記載されていない,(5)どのような児童の姿態が「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により蒸識できる方法により描写した児童ポルノ」に当たるのかが,具体的に記載されていないとした上,そうであれば,本件公訴は元来棄却されるべきものであったのに,これをせず,有罪の判決をした原審裁判所の措置には,不法に公訴を受理した違法及び判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というのである。しかしがなら,(1)の点については,仮に,検察官の意思が所論のとおりであるとしても,本件訴因は各販売行為ごとに特定されており,何ら特定を欠いてはいない。また,(2)及び(3)の各点については,いずれもその前提が失当であることは既に説示したとおりである。次に,(4)の点については,児童が,本件でいえば,写真撮影時に実在していたことが当然の前提であり,しかも,その写真が存在することによってその時に実在していたことも明らかである上,前記一覧表番号1ないし3の各写真集は,いずれも1名の児童を主対象として撮影されたもので(この点,所論は,被撮影者は日本人ではなく,各写真集に表示された人名が被撮影者の氏名であるとは限らないし,上記写真集3冊の被撮影者は合計23名もいて,1名のものはないと主張する。しかしながら,芸名等であっても特定に用いることができるし,また,より多くの写真が掲載された被撮影者が主対象の児童であることを当然の前提としている。),これらの児童がそれぞれ訴因の対象となっていることも訴因の記載から明らかであって,原判決が説示するとおり,本件訴因の特定は,検察官が起訴当時の証拠に基づきできる限り特定したものであるといえる。さらに,(5)の点については,所論のような記載は何ら必要でない。なお,所論は,①被撮影者数を明らかにし,これを特定する必要がないとすれば,児童ポルノ法12条や同法13条の児童への配慮や児童の保護規定は無意味なものになる,②訴因が不特定のため,被告人側は全被撮影者の写真について児童ポルノに当たるか否か広範囲の防禦活動を強いられたなどと主張する。しかしながら,①の点については,被撮影者の実名や所在等が明らかである場合には,それらの規定は無意味なものにはならない。また,②の点については,原審検察官請求証拠に照らせば,検察官が本件各写真集のどの写真に着目して児童ポルノと判断して起訴したかは明らかであるから,被告人側の防御活動に差し支えがあったとは静められない。したがって,所論は採用できない。この論旨も理由がない。
第4控訴趣意中,訴訟手続の法令違反の主張について
論旨は,(1)本件全被撮影者259名の写真について,それぞれ児童ポルノに当たるか否かを判断しなければならないと考えられるのに,原判決が,複数の被撮影者の写真が掲載されている場合には,1名の被撮影者の写真が児童ポルノに当たれば写真集全体が児童ポルノとなるとして,その余の被撮影者の写真についてそれを認定判示していないのは,罪となるべき事実の摘示方法として許されない,(2)一罪として起訴された事実につきこれを併合罪として処罰するには,訴因変更手続が必要であると考えられるのに,原審裁判所は,検察官が包括一罪として起訴した複数の販売行為について,訴因変更手続を経ないまま,これを併合罪として処罰しているとした上,これらを理由に,原審裁判所の措置には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というのである。しかしながら,(1)の点については,その前提が失当であることは既に説示したとおりである。また,(2)の点については,仮に,検察官の意思が所論のとおりであるとしても,訴因事実と同じ事実を認定し,単に罪数的評価が異なるという場合を羊は,訴因変更手続は不要であるから,その前提も失当である。この論旨も理由がない。
第5控訴趣意中,事実誤認の主張について
論旨は,(1)検察官は本件全被撮影者について児童に当たると主張するのであるが,①前記Kカメラマンの写真や陰毛が生育している者は児童に当たらないばかりか,Kカメラマンは製造及び本件犯行の各時点では既に死亡していて実在せず,また,②着衣を付けた又は顔だけを写した者の写真は,児童ポルノの要件を満たさないから,これらの写真について,本罪は成立しない,(2)本件各写真集はいずれも芸術作品であり,児童ポルノに当たらない,(3)本件各譲渡は,いずれも児童ポルノ愛好家という特定の者に対するもので,その数も4名と少ないから,本罪の「販売」には当たらないとした上で,それにもかかわらず,被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。そこで,記録を調査して検討するに,原判決が,その挙示する証拠によって,被告人を本件各児童ポルノ販売の事実につき有罪としたのは正当であり,また,その「争点に対する判断」の項において,上記(1汲び(2)と同旨の原審弁護人の主張を排斥するところも,相当として是認できるのであって,当審における事実取調べの結果によっても,この認定,判断は動かない。なお,(1)の点については,その前提が失当であることは既に説示したとおりである。
また,(2)の点についても,所論は,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響について,個々の写真ごとに検討すべきであるとの前提に立った上,本件各写真集は,いずれも,①表現方法に性器等を強調する僚向がない,②性欲を興奮又は刺激する内容がない,③児童のポーズに扇情的な要素がない,④児童の純真さを表現するという撮影者の意図が明らかである,⑤装丁も芸術作品に相応しいものであるから,児童ポルノに当たらないと主張する。しかしながら,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響については,本件各写真集をそれぞれ全体的に見て検討すべきである上,本件各写真集は,いずれも,全裸あるいは半裸姿の児童が乳房,陰部等を露出している写真が相当部分を占めており,上記①②及び④は妥当しないし,また,そのため,仮に,上記③及び⑤が妥当するとしても,本件各写真集が児童ポルノに当たらないとはいえない。したがって,所論は採用できない。
さらに,(3)の点については,販売とは不特定又は多数人に対する有償の譲渡行為をいうのであって,本件各譲渡がこれに当たることは明らかである。この論旨も理由がない。

第6控訴趣意中,事実誤認及び法令の解釈適用の誤りの主張について
論旨はまず,(1)「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断は,一般人を基準とし,(2)これに当たるには,その内容が「露骨な描写」であることを要するとする原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の解釈適用の誤りがある,というのである。しかしながら,(1)の点については,原判決の基準は正当である。つまり,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」と感じる者が多数いると考えられれば,それで足りる。また,(2)の点については,原判決は本件各写真集が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たる旨判示したにとどまり,所論のようなものであることを要するとはしていない。次いで,論旨は,被撮影者には五,六歳の児童もおり,このような児童の姿態は,どのようなポーズをとっても,一般人を基準とする限り,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たらないのに,これを肯認した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。しかしながら,本件各写真集に掲載された写真のうち,原判決が児童ポルノの要件を満たすと判断したものは,一般人を基準としても,いずれも「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といえる。これらの論旨も理由がない。
第7控訴趣意中,法令の解釈適用の誤りの主張について
論旨は,本罪は被撮影者(の写真)ごとに成立すると考えられるのに,原判決が,前記一覧表番号1ないし3について,本罪は写真集ごとに成立し,また,同番号4について,写真集ごとに包括して成立するとしているのは,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の解釈適用の誤りである,というのである。しかしながら,前記のとおり,本罪は,写真集の場合,被撮影者(同一人に限らない。)の写真が複数枚掲載されている場合であっても,写真集ごとに成立すると解すべきである(なお,原判決が,その「争点に対する判断」の項で,写真集という形式が選択されている場合には,その一部が児童ポルノであることが立証されれば,他の部分についてその要件を満たすか否か検討しなくても,その写真集は児童ポルノ法2条3項3号に該当する旨説示しているように,本罪は写真集ごとに成立するものであるから,同「法令の適用」の項に「包括して」との記載は,誤記(余事記載)と認める。)。この論旨も理由がない。(なお,原審裁判所は,その判決書7丁と別紙一覧表との間に契印したり,同表に丁数を付したりするなどして,同丁と同表とが連続するものであることを示す措置をとっていないから,その判決には訴訟手続の法令違反が存するが,同判決書は1丁から7丁までと同表とが綴じられて一体となっているから,この違反は判決に影響を及ぼさない。)
よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。
平成14年9月12日
大阪高等裁判所第4刑事部
裁判長裁判官白井万久
裁判官大西良孝
裁判官磯貝祐一

森山野田「よくわかる改正児童買春ポルノ法」P179
Q33
第2条第3項第3号に当たる児童ポルノとはどのようなものでしょうか。

第2条第3項第3号に当たる児畳ポルノ(いわゆる3号ポルノ)とは、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であっで性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物をいいます。
具体的な例としては、全裸又は半裸の児童に扇情的なポーズを取らせた姿態を描写した写真等が考えられ、これが牲欲を興葡させ又は刺激する姿態であることが視覚により認識することができるものであれば、児童の性器等が描写されておらず、又はその部分にぼかしが施されているものであっても児童ポルノに当たります。
この法律が施行された後、第2粂第3項第3号の児童ポルノに当たるか否かが争われ、裁判所が詳細にその判断をしている事例がありますので、その判断を紹介します。
京都地方裁判所2000年7月17日判決(判例タイムズ1064号249頁)
・・・・
これを踏まえて、各写真集等が3号児童ポルノに当たるか否かについて、詳細に判示していますが、紙幅の関係で省略します。
・・・・
Q36
 18歳未満のアイドルの水着姿を描写した写真は、児童ポルノですか。

この問題は、具体的な写真を見ない限り、結論が出せません。
いわゆる3号ポルノは、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であっで性欲を興奮させ又は刺激するものを描写した写真、ビデオテープ等です。全裸又は半裸の児童が扇情的なポーズをとっている写真がその典型例です。
ある物が児童ポルノに当たるかどうかは、個別具体的にこの要件に当たるかどうかを裁判所が判断して決定するものです。したがって、どのような水着であるか、どのようなポーズをとっているか等を見ない限り、児竜ポルノかどうかを判断することはできません。
一般論でお答えするなら、通常の水着を着用し、自然なポーズをとっている場合は、「衣服の全部又は一部を着けない」又は「性欲を興奮させ又は刺激する」の要件に当たらず、児童ポルノといえないことが多いのではないかと考えます。


追記5/19
 弁護士は、証拠物として1冊買った。
 後半にある表紙と同じ機会に撮影されたと思われる写真を拡大すると、両膝と両腕か交差する部分の奥に布のようなものが見える。