児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

城祐一郎「カンニング行為における偽計業務妨害罪等の成否」警察公論6月号

 カンニング軽犯罪法違反か偽計業務妨害罪だそうです。

では,これは刑事法的にはどのようなものと位置づけられるのであろうか。
上記のように民事法的には不合格という不利益を被る紡来となるが,刑事法的にはこれを直接的に処罰する規定は存しない。これはあくまで試験を実施する側とこれを受験する側との間の民事なものとして従えれば足り. 国家が刑罰権を発動してまで臨むべきものと考えられなかったことによるものと思われる。そうであるのなら.カンニング行為は,いかなる場合においても犯罪を椛成することはないのであろうか。今回. このような行為に対し,捜査当局は,偽計業務妨害罪という犯罪であるとして捜査に臨んだことから,まず,この偽計業務妨害罪の成否を検討した上, さらに, その他の犯罪の成否についても検討してみたい。
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したがって, 偽計業務妨害罪が成立すると認められるカンニング行為は,カンニング行為一般の中においても.類型的に違法性の程度が高いものと認められる手段を用いた場合に限定されると考えるべきではないだろうかと思科する。
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先の3において.偽計業務妨害罪の構成要件該当性について検討したが,その該当性がないと判断されたカンニング行為について,他に該当するような犯罪はないのであろうか。この点については.軽犯罪法1条31号において、「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」に対し, 拘留又は科料に処するとされていることを検討する必要がある。
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カンニング行為の違法性の程度によって, 偽計業務妨害罪が成立するか.軽犯罪法逃反が成立するかに分かれることになると考えられるべきであろう。したがって, 前述したように, 携帯電話を用いて外部から正解を得るなどという手段,方法は,類型的にその違法性の程度も大きく, 偽計業務妨害罪をもって臨むのが相当であるにしても. 単に暗記用ののペパーを手に隠しておいたり.また,手の平に何らかの記載をしておくなどというレベルのカンニング行為であれば,軽犯罪法違反にとどまると解するのが相当ではないかと思われる。