児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

無罪が確定した前訴の一事不再理の効力が,後訴の本件に及ぶか否かについて前訴の訴訟経過を具体的に検討した上で判断し,前訴の一事不再理の効力は本件に及ばないとした事例(福岡高裁那覇支部判決平23.1.13)研修754号P479

児童淫行罪無罪判決(那覇支部H21.10.29)
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20091031#1256943563
の余罪として、3項製造罪を起訴したらしいです。

 児童淫行罪と3項製造罪は併合罪とした判例は、最決H21.10.21で、微妙な日付です。
 判例が右往左往してた時期です。

研修754号P479
 那覇家庭裁判所に公判請求したところ,同裁判所は.平成21年1月26日, 「v女が18歳に満たない児童であることを知りながら, v女が養父たる自己の影響下にあることに乗じ.平成20年4月18日ころ,被告人方でV女をして被告人を相手に性交させ. もって児童に淫行させた」旨の前訴事実を認定し.児童福祉法違反により懲役2年の実刑判決とした。
 (控訴→無罪確定)
 その後,検察官は.平成22年5月10日, 平成19年5月21日ころ.被告人がV女を相手方とする性交に係る姿態等をとらせて携帯電話機で動画撮影し,その画像をSDカードに記録し, V女に係る児童ポルノを製造した」旨の児童ポルノ製造罪に係る本件事実を.那覇地方裁判所に公判請求した。

 同一児童に対する児童淫行罪は包括一罪なので、H19.5.21の児童淫行罪(「H19.5.21性交」)ももう起訴できません。
 ところで、3項製造罪の訴因の「性交に係る姿態をとらせる」というのは、被告人と児童は性交していることに他ならず、3項製造罪の実行行為の一部に「H19.5.21性交」が入っています。
 そしたら、形式的に、一事不再理効が問題になりますよ。