児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

撮影型強制わいせつ罪と3項製造罪の判決のチェック事項

 奥村の場合、被告人が量刑に満足しても、法令適用がダメなら弁護人控訴します。この判例の状況で、長期だと、「その刑期はやむを得ない・上訴しても短くならない」とは自信持って言えません。

 形式的なチェック事項としては
1 児童ポルノの特定方法は適法か
2 強制わいせつ罪の訴因は全部「わいせつ行為」か
を見ます。

 さらに、こういう短期間の連続事案の場合は、
3 同一被害児童に対する強制わいせつ罪(176条後段)は包括一罪になっているか
4 同一被害児童に対する3項製造罪は包括一罪になっているか
5 同一被害児童に対する同一機会の強制わいせつ罪と3項製造罪は併合罪か観念的競合か
6 5で観念的競合説を採ると、3と4はかすがい現象で科刑上一罪になっているか。
を見ます。
 罪数処理については判例がないので、もし手元の判決が観念的競合で処理されていて、判例併合罪に落ち着くと、訴因不特定になるので、結構致命的欠陥となります。訴因変更で3項製造罪が加えられた場合も同様。
 理屈をこねて、労せずして刑期が短くならないかということを考えますね。福祉犯については、時々あるので。
 
 検察官も自信がないし、起訴状の記載方法で分かることなので、裁判所も弁護人も注意して欲しいところです。指摘するタイミングは別として。

http://mytown.asahi.com/nagasaki/news.php?k_id=43000001103010001
判決によると、被告は2010年5〜9月、当時7〜8歳の女児5人に対し、小学校内で衣服を脱がせて体を触るわいせつ行為をし、3人については様子をデジタルカメラで撮影し、画像を保存するなどした。いずれの女児にも7〜16回にわたり、わいせつ行為を繰り返していた。
 松尾裁判官は「今後の成長に取り返しのつかない悪影響を及ぼすことが強く懸念される」と非難。「動機は性的欲求を満たそうとしたもので、酌むべきものがみじんもない」と実刑選択の理由を説明した。

http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20110301ddlk42040597000c.html
判決によると、昨年5月〜9月にかけ、女子児童5人に対し59回にわたりわいせつな行為をした上、デジタルカメラで画像を撮影・保存した。
 判決は、児童の健全育成を担う教諭の立場で犯行を続けた点を指摘。「自分の性欲解消の道具のように扱った点は卑劣で強い非難を免れない。常習性も高い」「学校教育をも揺るがしかねない」と断じた

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110228-OYS1T00598.htm
判決によると、被告は昨年5月〜9月、女児5人に対して計59回わいせつな行為をし、うち14回はビデオカメラで撮影した。
 松尾裁判官は「被害児童の尊厳を踏みにじる卑劣な行為で、学校教育の根幹を揺るがしかねない事態だ」などと指摘した。代理人によると、被告は控訴しない意向という

 量刑については、59回であれば史上最高の件数なので、15年に張り付くのかと思ってました。(求刑12年)