児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の常習犯加重処罰規定について,その常習性の内容を検討し,常習性判断において強制わいせつ罪の前科を考慮した原判決の判断を是認した上,これが許容されない旨の弁護人の法令適用の誤りの主張を排斥した事例(福岡高裁H22.9.24)

 
「常習として前条第一項の違反行為をした者」というのは、性犯罪一般の常習性にまで拡大するようです。
 児童ポルノ・児童買春罪の前科は常習性になるんでしょうか?

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
判示事項
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の常習犯加重処罰規定について,その常習性の内容を検討し,常習性判断において強制わいせつ罪の前科を考慮した原判決の判断を是認した上,これが許容されない旨の弁護人の法令適用の誤りの主張を排斥した事例
判決要旨
改正前の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下「本条例」 という)の保護法益は基本的には社会的法益であるとみることができる。しかしながら,本条例6条違反の罪の保護法益の中には社会的法益だけではなく,個人的法益,すなわち,身体に触れたり(1号),着用している下着をのぞき見られたり(2号)した人の性的自由ないし性的人格権が保護法益として含まれていると解することができるから, 6条違反の罪の保護法益の一部は強制わいせつ罪(刑法176条)のそれと重なり合っているといえる。また,本条例10条2項が定める常習性は,犯罪を反復累行する者の属性ないし習癖をいうから, 6条違反の罪における常習性は,自己の性的欲求を満たすために他人の身体に触れる行為等を反復累行する者の属性ないし習癖をいうと解されるところ,そのような属性ないし習癖の発露として行った他人の身体に触れる行為等の中には,本条例6条が定める「卑わいな行為」にとどまらず,強制わいせつ罪が定める「わいせつな行為」にまで至るものがあることは明らかである。そうすると, 6条違反の行為について,本条例10条2項の常習性が認められるかどうかを判断するに当たっては,かつて処罰された前科の内容が強制わいせつ罪であったか, 6条違反の罪であったかにより区別する必要はないといえる。

http://www.police.pref.fukuoka.jp/data/open/cnt/3/1678/1/meibo001.pdf
(卑わいな行為の禁止)
第六条何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。
二他人が着用している下着又は衣服の中の身体をのぞき見し又は撮影すること、。
三前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
(罰則)
第十一条第二条又は第六条から第八条までの規定のいずれかに違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2第三条から第五条まで、第九条又は第十条の規定のいずれかに違反した者は、五十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第十二条 常習として前条第一項の違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2常習として前条第二項の違反行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下
の罰金に処する。