児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

社会的法益を侵害する情報を媒介した者の刑事責任

 奥村がもらった判決(児童ポルノ掲示板)を総務省がまとめてくれました。

http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/kenkyu/provider03siryo.html
http://www.soumu.go.jp/main_content/000097098.pdf
社会的法益を侵害する情報の取扱いについて

1.送信防止措置を行わなかった場合に責任を問われる可能性
これまでの裁判例(※)に鑑みると、プロバイダ等による開設・管理・運営に関する目的及び状況などを総合考慮し、違法な情報の流通について積極的に関与していると評価できる事例において、刑事上の責任が認められており、単に違法な情報の存在を認識したものの、これについて送信防止措置を講じなかったことのみを理由として刑事上の責任が認められた事例は見受けられない。しかし明確な基準が示されているわけではなく、今後の裁判例の動向等を注視する必要はある。
(※)平成15年12月15日横浜地裁判決、平成16年6月23日東京高裁判決、平成18年1月16日名古屋地裁判決、
平成19年1月10日名古屋地裁判決、同年7月6日名古屋高裁判決など
2.送信防止措置を行った場合に責任を問われる可能性
刑事責任
証拠隠滅罪(刑法104条)の構成要件に該当するおそれも考えられるが、送信防止措置が発信者との契約関係に基づくものであれば、正当行為(刑法35条)に該当することも考えられる。なお、送信防止措置を行ったことで訴追された事例は見受けられない。


 判例もまとめられていますが、作為義務の根拠と内容がわからないんだから、注意しようにもしようがないと思います。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000097100.pdf
プロバイダ等に関する刑事裁判例及びその傾向
プロバイダ等の刑事責任に関する裁判例の傾向(概要)
違法情報の書き込みがなされたことを認識していない場合に刑事責任が追及された裁判例はない。
違法情報のアップロードがなされた電子掲示板を開設・運営しているだけであったり、違法情報の書き込みがなされたことを認識していただけの場合に刑事責任が追及された裁判例もない。
プロ責法制定前の事例では、自ら違法情報のアップロードはしていなかったものの、違法情報がアップロードされていることは認識。また、会員にアップロードを奨励したり、アップロードしやすくなるよう金銭的な特典を付与したり、違法情報にアクセスしやすくなるよう、違法情報を分類したりするなどして、電子掲示板を管理・運営。
①の事例では、(児童)買春情報を掲載する目的で開設した電子掲示板において、児童ポルノ画像がアップロードされている状況を認識しながらも、これを除外する手続きをとらなかった。また、児童ポルノ画像を自らアップロードすることはなかったが、ポルノ画像を自らアップロードしたり、児童買春に関する情報を書き込むなどしていた。
②の事例では、多数人に違法情報(児童ポルノ画像)を閲覧して欲しいという目的のもと、児童ポルノ画像を取り扱っていることが分かる名称を電子掲示板に付与した上、児童ポルノ画像をアップロードするようにうながしつつ、自らも児童ポルノ画像をアップロードしていた。
電子掲示板管理者が違法情報のアップロードがなされたことを認識していたことに加え、アップロードされた電子掲示板の設置目的や管理・運営状況、自らのアップロードの有無・内容等を総合的に検討し、違法情報がアップロードされるよう、積極的に関与している場合に、刑事責任を追及している模様。

 学説も紹介されていますが、奥村が見つける度にこのブログで紹介してきたのをパクったような感じです。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000097101.pdf
プロバイダ等の刑事責任に関する学説