児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

和歌山県青少年健全育成条例と性犯罪

 刑法の規制していない行為を処罰する趣旨とすれば法律優先なんでしょうね。

和歌山県青少年健全育成条例の解説H19
(いん行又はわいせつ行為の禁止)
第26条
1 何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を見せ、又はその方法を教えてはならな
い。
【要旨】
本条は、青少年に対するいん行又はわいせつ行為を禁止し、不健全性的行為な
ど青少年の福祉を害する行為の防止を図るため設けた規定である。
【解説】
1 「いん行j とは、各県の条例によって「みだらな性行為」、「いん行」など
表現の相違はあるが、この2つの言葉は同意語である。つまり、健全な常識の
ある一般社会人から見て、結婚を前提とせず専ら欲望を満たすためにのみ行う
不純とされる性交又は性交に類する行為をいう。
2 「わいせつ行為Jとは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめたり、その露
骨な表現によって性的差恥嫌悪の情を起こさせる行為をいう。
3 「してはならない」とは、青少年を相手として、いん行又はわいせつ行為を
行うことを一切禁止するもので、相手方となる青少年の同意、承諾の有無及び
対償の授受の有無を問わない。
4 「見せ」とは、自己又は他人のいん行又はわいせつな行為を直接青少年に見
せることをいい、映画、テレビ、図書等の媒体を通じて間接的に見せることは
含まない。
5 「教えj とは、いん行又はわいせつ行為の相手方とならないが、当該行為の
方法を直接的、具体的に教示することをいい、単なるわい談の一般的な教示は
含まない。
例えば、文書、図画、写真、ビデオ等を視聴させる行為等がこれにあたる。
6 現行法上、13歳以上の男女に対する暴行脅迫及び対償を伴わない姦淫(いん
行)及びわいせつ行為については何ら規制がないので、この条例により規制し
ようとするものである。
(1) 13歳未満の者に対する暴行又は脅迫を伴わないわいせつ、姦淫行為の処罰
規定はあるが、13歳以上の者に対するこれらの行為については処罰規定がな
い。(刑法第176条、第177条)
(2) 児童福祉法(第34条)は、18歳未満の者に「いん行させる行為Jを禁止処罰
するが、いん行する行為」については何ら規定していない。
(3) 売春防止法(第3条)は、売春すること、売春の相手方となることを禁止し
ているが処罰規定を設けていない訓示規定である。
(4) 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
(第2条第1項・第2項、第4条)は、18歳未満の者に対し、対償を供与し、供与を
約束して、性交等を行うことを禁止処罰しているが、対償を伴わない「いん行
又はわいせつな行為」の処罰規定はない。